意外と知らない!年金は何歳から支給される?

年金は何歳から受け取れるか知っていますか。受け取り開始の年齢は原則決められていますが、実は事前に手続きをすれば所定の範囲で何歳から年金をもらうか自分で選べます。
受け取るタイミングによっては、何歳から 年金を受け取っても将来もらえる年金が目減りすると話題になっている中、年金を何歳からもらうべきか気にする人が多くなっています。
そこで今回は、年金が何歳から受け取れるのか、繰り上げ受給や繰り下げ受給はどのようなメリットがあるのかなどについて詳しく解説していきます。
この記事は、次のような人におすすめの内容です。
- 何歳から年金を受け取れるか気になる人
- 繰り下げ受給や繰り上げ受給について知りたい人
- 繰り下げ受給は何歳から開始するとお得なのか気になる人
それではまず、日本に居住するすべての人が保険料を納める必要がある国民年金の仕組みから見ていきましょう。
目次
国民年金の仕組みを解説!いつから支払う必要がある?
国民年金は何歳から納付が必要かと言えば、原則、20歳の誕生月からで60歳になるまでの40年間です。
先に少し触れたとおり、日本に居住している20歳以上のすべての人が国民年金の被保険者であり、60歳になるまで保険料を納める義務があります。
国民年金の受給条件は老齢だけでなく、障害を負ったり 、死亡したりなどした場合でも 基礎年金を受給できる仕組みになっています。
学生などの間は国民年金の支払いを免除できますが、本来納めるはずだった年金保険料は未納分として扱われます。国民年金を満額受け取るためには、20歳から60歳までの40年間、480か月分の年金保険料を納めなければいけません。
国民年金に40年間加入して、全期間きちんと保険料を収めた場合に受け取れる金額は年額で78万円100円(2019年度)とされています。
国民年金の支払い期間は何歳からと言えば、20歳から60歳までと説明しましたが納付期間中に未納分がある人は、年金の猶予承認や免除を受けたときから10年以内であれば追納ができます。
追納とは、後から年金保険料を納めることで後から年金保険料を納めて受け取り年金額を増やす制度です。何歳からでも追納できるわけではないので注意しましょう。
また、未払い分は10年を超えても任意加入制度を利用することで、国民年金の受け取り額を満額に近づけられます。任意加入制度とは、60歳~65歳までの5年間に限って未納分の年金保険料を支払える制度です。
何歳からでも任意加入制度を利用できるわけでなく、次の必要条件を満たす必要があります。
- 日本に居所がある60歳以上65歳未満の人
- 年金保険料の納付月数が40年未満の人
- 老齢基礎年金の繰り上げ受給を受けていない人
- 共済組合や厚生年金保険などに非加入の人
任意加入制度は、共済組合や厚生年金などに加入している場合は利用ができないので注意しましょう。
したがって、国民年金を納付中に何らかの事情があって未納期間がある場合は、支払った保険料に応じて受給年金額が決定されます。
老齢基礎年金の未納分がある受け取り額の計算方法は、次の通りです。
78万100円×(年金保険料を納付した月数+年金保険料の免除受けた月数×受給割合)÷ 年金の加入可能年数×12か月
上記の計算式中で使う受給割合は、年金の免除割合によって異なっているので合わせて確認しておきましょう。
免除割合 | 受給割合 | |
2009年3月以前 | 2009年4月以降 | |
4分の1免除 | 6分の5 | 8分の7 |
半額免除 | 3分の2 | 4分の3 |
4分の3免除 | 2分の1 | 8分の5 |
全額免除 | 3分の1 | 2分の1 |
ちなみに、国民年金の受給資格は120か月以上の保険料の支払いが必要になります。2017年10月に制度が改正されるまでは25年以上だったため、現在は年金の受給資格条件が軽減されています。
年金の種類としてよく知られているのは、国民年金と厚生年金でしょう。今回国民年金について詳しく解説しますが、厚生年金の 支払い開始は何歳からと具体的に設定されていません。
厚生年金は国民年金と違って、ひとりひとりの受給額が大きく異なるので気になる人は年金事務所などに確認することをおすすめします。
ここまで、国民年金の支払いは何歳からなのかについて説明してきましたが、次に 受給開始は何歳からなのかを見ていきます。将来のために年金は何歳から受け取れるのかしっかりチェックしておきましょう。
何歳から年金は受給できる?
年金は何歳から受け取れるのか気になる人が多いでしょう。国民年金は何歳から受給開始かと言えば、原則65歳からです。
数年前は60歳から受給ができていたので、何歳から年金を受け取れるのかよく覚えていない人もいるわけです。2019年現在は、段階的に受給開始年齢が引き上げられている状況です。
何歳から年金を受け取れるのかは、年齢や性別によって異なるので事前にチェックしておくといいでしょう。
男性
生年月日(昭和) | 何歳から老齢厚生年金を受け取れるか |
---|---|
28年4月2日~30年4月1日 | 61歳~ |
30年4月2日~32年4月1日 | 62歳~ |
32年4月2日~34年4月1日 | 63歳~ |
34年4月2日~36年4月1日 | 64歳~ |
36年4月2日~ | 65歳~ |
女性
生年月日(昭和) | 何歳から老齢厚生年金を受け取れるか |
---|---|
33年4月2日~35年4月1日 | 61歳~ |
35年4月2日~37年4月1日 | 62歳~ |
37年4月2日~39年4月1日 | 63歳~ |
39年4月2日~41年4月1日 | 64歳~ |
41年4月2日~ | 65歳~ |
以上の通り、男性は2013年度~2015年度の期間中、女性は2015年度~2030年の期間中に年金の受給開始年齢が段階的に引き上げられています。
先に、年金の受け取り開始は何歳からという質問に対して、原則65歳と答えましたが、早めに年金を受け取りたい人は繰り上げ受給ができます。
次の章では年金の繰り上げ受給について詳しく見ていきます。繰り上げ受給は何歳からできるのか、どのような手続きが必要なのかなどを見ていきましょう。
早めに受け取りたい人は繰り上げ受給
公的年金の受け取りは何歳からという疑問に対して、原則65歳と説明しましたが、年金受給者が希望すれば60歳~65歳に繰り上げ受給ができます。
老齢基礎年金の繰り上げ受給には全部繰り上げと一部繰り上げの2つがありますが、それぞれの繰り上げ方法について順番にチェックしていきましょう。
年金の全部繰り上げ
年金の全部繰り上げとは、受給可能な年金をすべて繰り上げで受け取ることです。年金の繰り上げ請求をした月から65歳になる前月までの月数に0.5%をかけた数字が減額率になります。
年金の一部繰り上げ
男性は生年月日が昭和16年4月2日~昭和24年4月1日、女性は昭和21年4月2日~昭和29年4月1日の人は、年金が支給される年齢になる前に手続きをすれば老齢基礎年金を一部繰り上げして受け取れます。
年金の繰り上げは、以上の2種類がありますがが 、いずれもと先に説明した国民年金の任意加入や追納ができなくなったり、障害基礎年金の請求ができなくなったりなどするため注意してください。
何歳から年金の全部繰り上げをするかによって、年金の受給総額が減るため利用前によく検討することが大切です。
年金の繰り上げ受給を希望する場合は、年金事務所や役所の年金担当窓口で手続きをする必要があります。何歳から年金を受け取るか考えた上で繰り上げ受給をする場合、必要になる書類は次の通りです。
- 年金手帳か厚生年金保険被保険者証
- 戸籍謄本(抄本)か住民票
- 繰り上げ受給をする本人の名義の金融機関通帳
- 印鑑
- 国民年金・老齢基礎年金支給繰上げ請求書
国民年金・老齢基礎年金支給繰上げ請求書は、年金事務所や年金相談センターなどで調達できます。
なお、年金の繰り上げ受給をするための必要書類は市町村によっても異なるため、事前に担当部署に確認しておきましょう。
何歳から繰り上げ受給をするべきかしっかり考えた上で、手続きをすることをおすすめします。
繰り上げ受給はお得?
年金の繰り上げ受給は何歳からかを説明しましたが、お得とは言えないでしょう。
なぜなら、何歳から受け取り開始をするかにもよりますが、年金の受給額が最大30%減額されるからです。年金の繰り上げ受給をしても生涯受け取れる年金総額は変わりません。
そのため、繰り上げ受給をすると年金の受給期間が延びるので、何歳から繰り上げ受給をするかによって月額の支給額が少なくなる仕組みです。
繰り上げ受給の減額率は何歳から受け取るかだけでなく、1か月繰り上げるごとに0.5%減額されます。
年金の繰り下げの手続きをすると定められた減額率で、一生涯受け取り年金額が減額されます。何歳から年金を繰り上げ受給するかによって、どれくらい受給年金額が下がるかチェックしておきましょう。
何歳から繰り上げ受給をするか | 年金の繰り上げ受給の減額率 |
---|---|
64歳11か月 | 0.5%減 |
64歳0か月 | 6.0%減 |
63歳0か月 | 12.0%減 |
62歳0か月 | 18.0%減 |
61歳0か月 | 24.0%減 |
60歳0か月 | 30.0%減 |
年金は繰り上げ受給だけでなく、繰り下げ受給にも対応しています。繰り下げ受給とは、年金の受け取り開始年齢を遅らせることです。
繰り下げ受給は何歳からできるかというと66歳以降に定められていて、2019年現在は、繰り下げ受給は最大70歳までに設定されています。
年金の繰り下げ受給も定められた利率に合わせて、一生涯受け取り年金が増額されます。年金の繰り下げ受給の増額率は1か月あたり0.7%です。何歳から繰り下げ受給をするかによって、どれくらい年金が増額するかをまとめたのが次の表です。
何歳から繰り下げ受給をするか | 年金の繰り上げ受給の減額率 |
---|---|
70歳0か月 | 42.0%増 |
69歳0か月 | 33.6%増 |
68歳0か月 | 25.2%増 |
67歳0か月 | 16.8%増 |
66歳0か月 | 8.4%増 |
年金の繰り下げ受給はお得に感じられますが、必ずしもそうとは言えません。例えば、受給開始を後にして早期に死亡すると繰り下げた分の年金が受け取れません。
何歳から年金を受け取れるかと言えば、原則65歳です。2019年は希望制で年金を何歳から受け取るかタイミングを変えられますが、今後は年金の受給開始年齢が繰り下げられる可能性があることを念頭に置いておきましょう。
自分の状況に応じて何歳から受給するか検討するべき
年金の受け取り開始は何歳からと言えば原則65歳からですが、手続きをすれば繰上げ受給や繰り下げ受給ができると紹介しました。
国民年金は何歳から加入するかは決まっていますが、人によって未納期間があるため年金の状況は人によって異なると言えます。したがって、何歳から年金をもらえうべきかと言えばケースバイケースと言えるでしょう。
そもそも、年金は保険の一種で貯金とは性質が異なるため、損得を考えたくなる気持ちは分かりますがあまり意味がないでしょう。
例えば、医療保険に加入すると保険料を支払う必要がありますが、必ず保険金を受け取れるとは限りません。体調を崩したり、事故に遭ったりして手術や入院する必要がある場合に、医療保険からいくらかの保険金が支払われます。
保険金が受け取れる可能性がなくても医療保険に加入する人が多いのは、将来のリスクに備えたいと考えるからです。
年金は、長生きをしたときにお金が無くなるリスクに備えるための保険だと考えるべきでしょう。したがって、退職後のセカンドライフに必要なお金を自分でしっかり貯めておくことが大切です。
日本に居所がある人が加入する国民年金やサラリーマンが被保険者になる厚生年金以外にも、iDeCoや企業年金などの私的年金があります。
夫婦で何歳から老後資金を貯めるか考えた上で、公的年金を何歳から受給するか決めましょう。必要に応じて、何歳から私的年金に加入するかも考えるといいでしょう。
何歳から将来のお金を準備するか考えよう
何歳から年金を受け取れるかについて解説してきました。公的年金は原則、65歳から受け取りができますが、 所定の手続きをすれば繰り上げ受給や繰り下げ受給ができるので、何歳から年金を受け取るか自分である程度選べるようになっています。
年金はひとりひとり加入状況などが異なるので、繰り上げ受給にすると損で、繰り下げ受給なら得、とは一概に言えません。何歳から年金を受け取ればメリットがあるのか気になる人は、一度プロに相談することをおすすめします。
セカンドライフに必要なお金を用意するために、私的年金に加入する人が増えています。何歳から老後資金を準備するべきか迷う人がいますが、できるだけ早くから対応しておくと安心です。
保険商品のご検討にあたっては、「契約概要」「注意喚起情報」「ご契約のしおり」「約款」などを必ずご覧ください。
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