ネットなどで「借金救済制度」という言葉を目にすることがありますが、借金救済制度とは具体的にどのようなものかわからないという方も多いのではないでしょうか?
この記事では「借金救済制度ってどんな制度なの?」「具体的にどんなメリットがあるの?」などの疑問がある方のために、借金救済制度として使える債務整理手続きについて詳しく解説していきます。
また、注意したい借金救済制度のデメリットについてもあわせて紹介していきますので、借金問題に悩みを抱えている方は、その解決策としてぜひ参考にしてください。
借金救済制度(借金救済措置)とは?メリットや流れを解説
借金救済制度とは、合法的な方法で借金の負担を軽減したり、借金を0にしたりする方法のことで、いわゆる「債務整理」手続きのことを指します。
債務整理手続きには主に3つの方法があり、借金の金額や返済能力、所有する財産などによってどの債務整理手続きを選ぶかが変わってきます。
まずは「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3つの債務整理手続きについて、基本情報を解説していきます。
任意整理
任意整理手続きとは、債権者との交渉だけで借金の将来利息のカットなどが可能な債務整理手続きです。
裁判所への申し立てが不要なため手続きに手間がかからず、かかる費用も大きく抑えられるということから、債務整理手続きの中ではもっとも多くの方が利用しています。
ただし、手続き後も返済を続ける必要があるため、ある程度の返済能力がなければ手続きできません。
任意整理の流れ
任意整理手続きは先にも触れたように裁判所での手続きが不要なため、個人再生、自己破産より手続きにかかる期間が少なく済みます。
任意整理手続きの具体的な流れは以下のとおりです。
- 弁護士または司法書士に手続きを依頼
- 債権者に受任通知を送付し、取引履歴の開示請求をする
- 取引履歴をもとに引き直し計算
- 過払い金がある場合は返還請求を行う
- 和解案を作成して交渉開始
- 和解契約を締結し返済開始
手続きは債権者との交渉のみとなるため、書類作成などの手間が少なく、弁護士や司法書士への依頼費用も比較的少なく済みます。
ただし、債権者との和解内容に納得がいかない場合は訴訟手続きに移行し、その場合は別途費用がかかるため注意が必要です。
個人再生
個人再生とは、裁判所に申し立てをすることで借金を5分の1程度まで減額可能な債務整理手続きです。
裁判所への申し立て手続きや裁判所での面談などかなり手続きに手間がかかり、まとまった費用も必要ですが、借金を大きく減額できるというメリットがあります。
ただし、個人再生も毎月の返済が残るため、返済能力がなければ手続きできません。
個人再生の流れ
個人再生は裁判所に申し立てが必要なことから必要書類も多く、個人再生委員との面談などが発生することもあり、手続きが終わるまでに1年から1年半程度かかる場合があります。
個人再生手続きの具体的な流れは以下のとおりです。
- 弁護士や司法書士に依頼
- 債権者に受任通知を送付し、取引履歴の開示請求をする
- 取引履歴をもとに引き直し計算
- 個人再生申立てに必要な書類を準備する
- 裁判所に個人再生の申立てをする
- 個人再生委員と面談・手続きの開始決定
- 裁判所に再生計画案を提出
- 裁判所より再生計画案が認可される
- 再生計画に基づいて借金の返済が開始
自分で用意が必要な書類も多く、裁判所で個人再生委員との面談が発生することもあります。
手続きを少しでも早く終わらせるためには、弁護士事務所と綿密にやり取りをし、必要書類などをしっかりと準備する必要があります。
自己破産
自己破産とは、裁判所に申し立てをすることで借金の全額免除も可能な債務整理手続きです。
裁判所での手続きや裁判官との面談など手間と費用がかかりますが、借金を「0」にできるため、今後の生活の立て直しができるという大きなメリットがあります。
また返済能力がなくとも手続き可能なため、現在無職の方や病気で仕事ができない方でも手続きが可能です。
また資格制限も発生するため、対象の職業(士業、生命保険外交員、警備員など)をしている方は手続きが終わるまで仕事ができなくなる可能性が高いです。
自己破産の流れ
自己破産は裁判所での手続きが必要となるため、手続きに時間がかかるケースもあります。
手続きにかかる期間は同時廃止事件か管財事件になるかで大きく変わりますが、同時廃止事件の場合は3~4カ月程度、少額管財事件の場合は半年程度、管財事件の場合は1年程度かかることが多いです。
具体的な手続きの流れは以下のとおりです。
- 弁護士・司法書士に依頼
- 債権者に受任通知を送付・取引履歴の開示請求
- 取引履歴をもとに引き直し計算
- 申立て書類の作成
- 裁判所に自己破産の申立て
- 裁判所で破産審尋を受ける
- 免責許可決定(同時廃止事件の場合)
- 破産管財人による財産の調査・清算
- 債権者集会・免責審尋
- 免責許可決定(管財事件の場合)
同時廃止事件になった場合は費用も少なく、手続きにかかる期間も短くなりますが、同時廃止事件になるか管財事件になるかを決めるのは裁判所のため、事前に知ることができません。
参考までに、同時廃止事件に該当する条件には以下のようなものがあります。
- 現金で33万円未満でなおかつ20万円以上の財産を所有していない
- 免責不許可事由に該当しない
- 個人事業主や法人の破産ではない
また、管財事件であっても「少額管財事件」であれば費用も比較的少なく済みますが、少額管財事件を取り扱っていない裁判所もあるため注意が必要です。
借金救済制度(借金救済措置)に共通するデメリット
合法的な借金救済制度として使用できる債務整理手続きですが、どの手続きにも共通するデメリットがあります。
ここでは、債務整理手続きをする前に知っておきたいデメリットについて解説します。
ブラックリストに登録される
債務整理をすることで、ブラックリストに登録されてしまうというデメリットが共通して発生します。
実際には「ブラックリスト」というリストではなく、個人信用情報に「異動」情報として記録されることを意味します。
個人信用情報に異動の記録が残っていると金融機関のあらゆる審査に通らなくなるため、長期間生活に大きな影響が出てしまいます。
クレジットカードを作成できなくなる
個人信用情報がブラック状態だと、新規のクレジットカードの審査にも通らなくなります。
なぜなら、クレジットカード会社は会員規約に「信用状態が悪化した会員は会員資格を取り消す」といった記載をしているためです。
債務整理をすることで、少なくとも5年程度はクレジットカードが使えない生活が続くことを認識しておく必要があります。
新たなローンを組めなくなる
債務整理をするとクレジットカードの審査だけでなく、あらゆるローン審査にも通らなくなります。
特に家族がいて自分が世帯主だという場合は、住宅ローンが組めないと住宅を購入できない可能性もあるため、債務整理をするときは家族にも相談しておく必要があるでしょう。
スマホや携帯電話の分割払いができなくなる
債務整理をして個人信用情報がブラックになると、ローンが組めないだけでなく、スマホや携帯電話本体購入時の分割払いの審査にも通らなくなります。
スマホの分割払いができないと一括払いをする必要がありますが、スマホの機種によってはかなり高額な場合もあるため、一括で費用を用意できない場合は購入する機種にもかなり制限がかかってしまいます。
【手続き別】借金救済制度(借金救済措置)のデメリット
借金救済制度である債務整理手続きにはメリットもたくさんありますが、手続き前に知っておきたいデメリットも存在します。
ここでは、債務整理手続きのデメリットに焦点をあてて詳しく解説していきます。
任意整理
任意整理手続きは、裁判所での手続きが不要なため、特にデメリットがなさそうに感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、任意整理にもいくつかのデメリットがあるため、事前に確認しておくことが大切です。
任意整理のデメリットには以下のようなものがあります。
- 返済能力がなければ手続きできない
- 個人信用情報がブラックになる
- 借金が大きく減額できない
- 和解交渉に応じない業者もいる
先にも触れましたが、任意整理は手続き後も返済しなければならないため、返済能力がなければ手続きできません。
任意整理後に残った借金は3年(最大5年)で完済する必要があることにも注意が必要です。また、任意整理は債権者との交渉が必要となりますが、和解交渉に応じない業者もまれにですが存在します。
ほかにも、任意整理では思ったように借金が減らないこともあるため、事前に弁護士や司法書士と相談し、自分の借金額ではどの債務整理手続きに向いているのかをしっかり相談しておきましょう。
個人再生
個人再生手続きは、住宅ローンを手続きの対象から外せる、大きく借金を減額できるというメリットがあるものの、いくつかの大きなデメリットもあります。
個人再生のデメリットは以下のようなものがあげられます。
- 個人信用情報がブラックになる
- 住宅ローン以外はすべて対象になるため、保証人付きの借金があると保証人に請求がいく
- 官報に名前と住所が掲載される
- 返済能力がなければ手続きできない
- 手続きの専門性が高く複雑な手続きが必要
個人再生は住宅ローンは手続きから外せますが、それ以外はすべて対象になるため、万が一保証人付きの借金がある場合は保証人に請求がいくことになります。
事前に相談していなければ保証人とトラブルになる可能性があるため、保証人付きの借金がある場合は注意が必要です。
また、個人再生手続きをすると官報に名前と住所が掲載されます。
官報は一般人が見ることはほとんどないため知人に見られるリスクは少ないですが、官報の情報を元にDMを送る業者も中にはいるため、個人再生手続き後にさまざまな業者からのDMがくる可能性があります。
さらに、個人再生は特に手続きの専門性が高く、債権額の調査や資産価値の把握、再生計画案の作成など複雑な書類作成が必要となります。
自己破産
自己破産は、借金が全額免除になるという大きなメリットがあるものの、債務整理の中ではもっともデメリットの多い手続きとなるため、注意が必要です。
自己破産手続きのデメリットは以下のようなものがあげられます。
- 個人信用情報が長期間ブラックになる
- 大きな財産は没収される
- 保証人も債務整理しなければならない可能性がある
- 官報に名前と住所が掲載される
- 資格制限が発生する
- 手続き中の郵便物が管理される(管財事件の場合)
自己破産をすると持ち家や車などの財産が没収されることは先にも触れましたが、基本的に20万円以上の財産は没収対象です。
また、自己破産も保証人に請求がいくため、自己破産の金額によっては保証人も同時に債務整理手続きが必要になる場合もあるでしょう。
ほかにも、自己破産手続き中は一部の資格が制限されることや、管財事件の場合は手続きが終わるまで破産管財人に郵便物が転送されるといったデメリットもあります。
郵便物は返却してもらえますが、他人に郵便物を監視されると不安な気持ちになってしまう方もいるでしょう。
借金救済制度(借金救済措置)の利用に必要な費用相場
借金救済制度として利用できる債務整理手続きは、弁護士や司法書士への依頼費用や、裁判所に払う費用などが発生します。
どの程度の費用がかかるか心配な方のために、ここではそれぞれの債務整理手続きで必要となる費用の相場を紹介します。
あくまで費用相場ですので、実際にかかる費用は依頼する弁護士・司法書士事務所に確認ください。
任意整理
任意整理は裁判所での手続きが不要なため、裁判所に払う費用が不要となり、かかる費用が比較的費用が安く済みます。
一般的な費用目安としては、債権者1社につき、弁護士に依頼した場合は50,000円~100,000円程度、司法書士に依頼した場合は30,000円~50,000円程度かかります。
また、弁護士事務所よりも司法書士事務所に依頼した方が費用が安く済む傾向にあるため、できるだけ費用負担を抑えたいなら司法書士事務所に依頼するのもおすすめです。
個人再生
個人再生手続きは裁判所への申し立て手続きなどで費用が高くつく傾向にあります。
個人再生手続きの費用目安は以下のとおりです。
費用項目 | 金額 |
裁判所に払う費用目安 |
|
弁護士に払う費用目安 | 30~50万円程度 |
司法書士に払う費用目安 | 20~30万円程度 |
上記のように、弁護士・司法書士に払う費用のほかに、裁判所での手続きに費用がかかり、特に個人再生委員の報酬費用にまとまった費用がかかります。
弁護士・司法書士事務所によっては、一部費用の分割払いが可能な場合もあるため、支払いが心配な場合は事前に相談することをおすすめします。
自己破産
自己破産についても、裁判所への申し立てが必要なため、弁護士・司法書士への依頼費用と別に、裁判所へ支払い費用がかかります。
裁判所に払う費用は同時廃止事件か管財事件かどちらになるかで大きく変わります。
自己破産手続きにかかる費用の目安は以下のとおりです。なお、自己破産の場合は弁護士への依頼がおすすめのため、ここでは弁護士費用のみご紹介します。
裁判所費用 | 弁護士費用 | |
同時廃止事件 | 1万円~3万円程度 | 25万円~30万円程度 |
少額管財事件 | 20万円~ | 30万円~50万円程度 |
管財事件 | 50万円~ | 30万円~80万円程度 |
裁判所に払う費用は「予納金」として必要となり、同時廃止事件の場合は数万円程度で済みますが、少額管財事件で20万円以上、管財事件になると50万円以上用意しなければなりません。
それとは別に、弁護士に依頼するための費用が別途かかるため、自己破産手続きにはかなり高額の費用がかかることがわかります。
ただし、裁判所によっては少額管財事件の取り扱いがないこともあるため、事前に確認が必要です。
借金救済制度(借金救済措置)の対象になるもの・ならないもの
借金救済制度として利用する債務整理は、どんなものでも対象になるのではなく、対象にならないものもあります。
ごのようなものが対象になるのか、逆に対象外になるのかを確認しておきましょう。
借金救済制度(借金救済措置)の対象になるもの
借金救済制度として利用する債務整理手続きは、あらゆるローンや分割払いなどが対象になります。
具体的には、以下のようなものが対象となります。
- カードローン
- 住宅ローンや車ローンなど
- クレジットカードのキャッシング利用分
- クレジットカードのショッピング利用分
- 奨学金
- 個人からの借入
など
商品の購入やサービス利用などのために組んだローンをはじめ、クレジットカードの分割払いやリボ払いなど、あらゆるものが対象となります。さらに、個人からの借金についても債務整理の対象となります。
また、ギャンブルでの借金については対象外だと思われがちですが対象外ではなく、債務整理は可能です。
ただし自己破産の場合は、ギャンブルによる借金が裁判所の判断で免責許可がでない可能性があるため、その点だけ注意が必要です。
借金救済制度(借金救済措置)の対象にならないもの
それでは逆に、借金救済制度となる債務整理が利用できないものについても確認しておきましょう。
債務整理の対象にならないのは以下のようなものです。
- 税金や年金
- 国民健康保険料や国民年金保険料
- 養育費や慰謝料(悪意のある不法行為の場合)
など
税金や年金、国民健康保険料など国に納める必要があるお金は「非免責債権(免責されない債権)」として債務整理ができません。
慰謝料については債務整理できる場合とできない場合があり、離婚時の慰謝料であれば債務整理できる場合があります。
一方で、悪意のある暴力や名誉棄損などによる慰謝料については、債務整理できない可能性があります。
借金救済制度(借金救済措置)を利用した人の口コミの傾向
最高裁判所事務総局の調査によると、借金救済制度として債務整理を利用し自己破産をした方は、2020年には約7万8000人※でした。
また、任意整理をする方は正確な人数は不明ですが、年間約200万人程度の方が手続きをしていると言われています。
このようにたくさんの方が債務整理手続きを毎年行っていますが、実際にした方はどのような感想を持っているのでしょうか?
ここでは、ネット上で見つけた債務整理を経験した方のリアルな声をいくつかご紹介します。
- 任意整理のおかげで借金癖やギャンブル依存が少しずつ改善されているように感じる
- 借金200万あったが任意整理をして現在ほとんど返済し終わった
- 自己破産したら生活が楽になった
- 100万円の借金を任意整理したら今後の利息全てカットになり、終わりが見える気がして気が楽になった
債務整理を経験した方の多くは、債務整理をしたことの後悔の声より「楽になった」「借金が減った」という声の方が多く見られました。
債務整理にはさまざまなリスクもあり、決して安くない費用もかかるため、依頼するのをためらってしまう方も多いです。
しかし、借金は返済期間が長くなればなるほど増えていき、後回しにするほど負担が増えるばかりです。
借金の返済が困難な状況になってしまったら、まずは弁護士または司法書士に相談して、今の自分に必要な手続きを相談してみましょう。
借金救済制度(借金救済措置)の相談ができる窓口
毎月の借金の返済が困難な状況になってしまったら、借金救済制度として利用できる債務整理手続きを早めに検討しましょう。
ここでは、債務整理について相談ができる窓口をいくつか紹介していきます。借金問題を一人で抱えて誰にも相談できない方は、ぜひ参考にしてください。
弁護士・司法書士事務所
借金問題の相談なら、弁護士や司法書士事務所にまず相談してみましょう。
弁護士・司法書士事務所の中には、相談料無料で何度でも相談できるところもあります。
また、依頼費用が心配な方は、費用の分割払いに対応している事務所もあるため、事前に支払い方法について確認しておくことをおすすめします。
法テラス
法テラスとは、国によって設立された法的トラブルを解説するための相談窓口のことです。
法テラスを利用することで、無料の法律相談を受けられるほか、費用の立て替え制度を利用することができます。
ただし、法テラスの無料法律相談と費用立て替え制度は、法テラスが定める条件に該当した方のみが対象となります。
つまり誰でも利用できるわけではなく、収入や財産が一定基準以下の方でなければ利用できません。
無料法律相談を利用するには、法テラスでの電話受付後に日程を予約し、無料相談であれば1回につき30分程度、1つの問題につき3回まで相談できます。
市役所などの公共窓口
無料の法律相談は、全国の市役所などの公共窓口でも受け付けています。
市役所では無料の法律相談を実施しているところが多く、事前に予約しておけば30分程度の短い時間ですが、弁護士や司法書士に法律相談が可能なケースがあります。
各市町村によって対応が違うため、市役所の窓口に電話で問い合わせをしてみましょう。
借金救済制度(借金救済措置)は弁護士・司法書士への相談がおすすめ!
借金救済制度として債務整理を利用するなら、一人で手続きするのではなく、弁護士や司法書士に相談するのがおすすめです。
ここでは、弁護士や司法書士に手続きをお願いするメリットについて紹介していきます。
自分に合った手続きを提案してもらえる
弁護士や司法書士に相談することで、自分の場合はどの債務整理手続きが向いているのか、的確なアドバイスをしてもらえます。
債務整理に強い弁護士や司法書士は、借金を抱えて悩んでいる多くの方の相談を聞き、解決してきた実績があります。そのため、それぞれの事情にあわせてどの債務整理方法が適切かを判断し提案してもらえます。
借金額だけではなく、収入や家族構成、守りたい財産の有無、保証人付きの借金の有無などすべて話した上で、自分にあった債務整理方法について相談してみましょう。
債権者からの催促を一時的にストップできる
弁護士や司法書士に依頼すると、担当の弁護士や司法書士は、債権者に対してすぐに「受任通知」を送付します。
受任通知を受け取った債権者は、それ以降督促行為をすることが法律で禁止されています。
また、返済についても一時的に止められるため、債務整理手続きが終わるまで、督促や返済に悩まされずに済みます。
債権者との交渉がスムーズに進む
任意整理手続きは、弁護士や司法書士に依頼せず、自分で債権者と交渉して手続きをすることもできますが、自分自身で交渉すると不利な条件で交渉が進んでしまう可能性が高いです。
任意整理の相手は「人」のため、いかに相手とうまく話をすすめるかが大きなポイントとなります。
過払い金の調査をしてもらえる
債務整理手続きをする前に、まずは過払い金がないかを調べることが大切です。
過払い金が発生している場合は対象の債権者に過払い金請求をすることで、過去の払いすぎた利息を請求できる可能性があります。
弁護士や司法書士に依頼すれば、過払い金の調査をしてもらえますし、中には無料で調査が可能な事務所もあるため、心当たりがある方はまずは過払い金の調査をお願いしてみましょう。
複雑な手続きを代行してもらえる
債務整理手続きは、債権者や裁判所とのやり取り、たくさんの書類提出など複雑な手続きが必要です。
その点、弁護士や司法書士に依頼することで、複雑で煩雑な手続きをすべてお任せできるため、自分自身にかかる負担が最小限で済みます。
ただし、任意整理とは違い、個人再生と自己破産手続きでは、弁護士、司法書士、認定司法書士の誰に手続きを依頼するかで、対応できる業務に違いがあります。
弁護士、司法書士、認定司法書士の対応業務の違いは以下のとおりです。
司法書士 | 認定司法書士 | 弁護士 | |
1件あたりの債権額が140万円以下の相談・交渉・訴訟 | 対応不可 | 対応可能 | 対応可能 |
1件あたりの債権額が140万円超えの相談・交渉・訴訟 | 対応不可 | 対応不可 | 対応可能 |
司法書士の場合は書類作成業務にしか対応できませんが、認定司法書士は簡易裁判所での140万円以内の手続きでのみ法律相談・交渉・訴訟に対応できます。
ただし認定司法書士についても、1件あたりの債権額が140万円を超えると対応できません。
一方で弁護士であれば金額に制限なく、簡易裁判所だけでなく地方裁判所の手続きでも対応可能です。
そのため、任意整理手続きであれば司法書士や認定司法書士でも問題なく対応してもらえますが、個人再生や自己破産の場合は、弁護士でなければ対応できない業務が多いため、できれば個人再生と自己破産手続きは弁護士に依頼することをおすすめします。
借金救済制度(借金救済措置)の相談におすすめの弁護士・司法書士事務所5選
東京ロータス法律事務所
- 債務整理に特化した弁護士事務所
- 7,000人以上の豊富な受任実績あり
- 和解後の返済代行もお任せできる
- 相談は何度でも無料対応
東京ロータス法律事務所は「債務整理の身近な窓口」として、特に借金問題解決を得意としている法律事務所です。
また、任意整理の和解後に残った借金は、東京ロータス法律事務所が代行返済してくれるため、自分で債権者とやり取りをする必要がなく債権者からの郵便物も自宅に届かないことから、家族に内緒にしたい方に特におすすめです。
主な対応業務 | 債務整理、相続、離婚、刑事事件、民事事件など |
対応時間 | 平日 10:00~20:00 土日祝 10:00~19:00 |
任意整理の料金(税込) | 着手金 : 1件 22,000円~ 報酬金 : 1件 22,000円~ 減額報酬 : 11% 過払い金報酬 : 過払い金回収額の22%(訴訟の場合は27.5%) |
個人再生の料金(税込) | 着手金 : 330,000円 報酬金 : 330,000円 諸費用 : 55,000円 住宅ローン特則あり : 110,000円 |
自己破産の料金(税込) | 着手金 : 220,000円 報酬金 : 220,000円 諸費用 : 55,000円 管財人引継予納金 : 200,000円~ |
無料相談 | ○ |
対応地域 | 全国 |
所在地 | 東京都台東区東上野1丁目13番2号成田第二ビル2階 |
出典:東京ロータス法律事務所
はたの法務事務所
- 相談料・着手金無料で対応可能
- 全国への出張相談に対応してもらえる
- これまでの相談実績20万件以上と豊富な実績を誇る
- 費用の分割払いも相談可能
はたの法務事務所は、これまでの相談実績20万件以上と長年の豊富な実績と債務整理ノウハウを持つ老舗の司法事務所です。
また、費用の一括払いが難しい方のために、依頼費用の分割払いにも対応しているため、まとまった費用を用意できない方も安心です。
主な対応業務 | 債務整理、登記業務 |
対応時間 | 平日 8:30~21:30 土日祝 8:30~21:00 |
任意整理の料金(税込) | 基本報酬 : 1件 22,000円~ 減額報酬 : 11% 過払い金報酬 : 過払い金回収額の22%(10万円以下の場合は14%)※別途11,000円の計算費用がかかります |
個人再生の料金(税込) | 報酬 : 385,000円~ (再生委員への費用としてプラス220,000円~) |
自己破産の料金(税込) | 報酬 : 330,000円~ (※ただし少額管財事件の場合はプラス220,000円~) |
無料相談 | ○ |
対応地域 | 全国 |
所在地(東京本店) | 東京都杉並区荻窪5-16-12 荻窪NKビル5階(受付)・6階 |
出典:はたの法務事務所
ひばり法律事務所
- 債務整理手続きに特化した法律事務所
- これまで2,000件以上の豊富な実績あり
- 相談は何度でも無料で対応
- 女性弁護士が在籍しているので女性も相談しやすい
ひばり法律事務所は、債務整理手続きをメインで取り扱っており、借金問題に関するコラムもホームページにたくさん掲載するなど、借金トラブル解決に力を入れています。
また、女性弁護士も在籍しているため「男性には話しづらいトラブルがある」といった女性も相談しやすい環境が整っています。
主な対応業務 | 債務整理 |
対応時間 | 10:00~19:00 |
任意整理の料金(税込) | 着手金 : 1件 22,000円 報酬金 : 1件 22,000円 減額報酬 : 11% 過払い金報酬 : 過払い金回収額の22% 経費 : 1社あたり5,500円 |
個人再生の料金(税込) | 着手金 : 1件 330,000円~ 報酬金 : 1件 220,000円~ 経費 : 1社あたり5,500円 その他諸費用あり |
自己破産の料金(税込) | 着手金 : 1件 220,000円~ 報酬金 : 1件 220,000円~ 経費 : 1社あたり5,500円 その他諸費用あり |
無料相談 | ○ |
対応地域 | 全国 |
所在地 | 東京都墨田区江東橋4丁目22-4 第一東永ビル6階 |
弁護士法人響
- 東京のほか大阪・高松・福岡・那覇にも事務所を構える大手弁護士事務所
- 24時間365日、全国からの電話受付に対応
- 債務整理専門のチームで借金問題解決に対応
- 費用の分割払いにも対応
弁護士法人響は、東京に3支店を構えるほか、大阪や福岡など全国に4支店を構える大手弁護士事務所です。
代表弁護士ほか、さまざまな所属弁護士が多数のメディアに出演するなど、知名度の高さでも有名です。
相談は何度でも無料で対応してもらえる上に、費用の分割払いにも対応しているため、依頼費用の工面が難しい方も安心して依頼できます。
主な対応業務 | 債務整理、交通事故、離婚、相続問題、刑事事件、B型肝炎ほか |
対応時間 | 9:00~18:00 |
任意整理の料金(税込) | 着手金 : 55,000円~ 解決報酬金 : 11,000円~ 減額報酬 : 11% |
個人再生の料金(税込) | 着手金 : 330,000円~ 報酬金 : 330,000円~ ※住宅有の場合 |
自己破産の料金(税込) | 着手金 : 330,000円~ 報酬金 : 220,000円~ |
無料相談 | ○ |
対応地域 | 全国 |
所在地(西新宿オフィス) | 東京都新宿区北新宿2-21-1 新宿フロントタワー14階 |
サンク総合法律事務所
- 月に600件を超える債務整理の相談実績あり
- 借金の相談は何度でも無料で対応
- 初期費用は0円で分割払いも可能
- 女性弁護士も在籍しているので女性も相談しやすい
サンク総合法律事務所は全国からの相談に対応している、債務整理手続きを特に得意とする法律事務所です。
また、依頼費用に不安を抱える方のために、契約時に全額費用を用意する必要がなく、分割払いにも対応してもらえます。
主な対応業務 | 債務整理、離婚、相続、遺言、民事事件一般、刑事事件など |
対応時間 | 9:30〜18:30 |
任意整理の料金(税込) | 着手金 : 55,000円~ 報酬金 : 債権者1件につき11,000円~ 減額報酬 : 11% 過払い金報酬 : 過払い金回収額の22%(訴訟の場合は27.5%) |
個人再生の料金(税込) | 公式サイトに記載なし |
自己破産の料金(税込) | 公式サイトに記載なし |
無料相談 | ○ |
対応地域 | 全国 |
所在地 | 東京都中央区八丁堀4-2-2 UUR京橋イーストビル2階 |
出典:サンク総合法律事務所
債務整理以外にも借金救済制度(借金救済措置)はある?
ここまで借金救済制度として債務整理手続きを紹介してきましたが、ほかにも「借金救済」として活用できる制度はあるのでしょうか?
最後に、借金救済制度として活用できる可能性がある国の公的な支援制度をいくつか紹介します。
誰でも無条件で利用できる制度ではありませんが、対象に該当する方はぜひ活用してください。
緊急小口資金
緊急小口資金とは「生活福祉資金貸付制度」という公的制度の中の「貸付資金」として利用できる資金です。
緊急小口資金の貸付条件は以下のとおりです。
貸付限度額 | 100,000円以内(1,000円単位) |
貸付利子 | 無利子 |
措置期間 | 2カ月 |
返済期間 | 12カ月以内 |
連帯保証人 | 不要 |
また、貸付対象となるのは、低所得者世帯であること、急いで資金が必要な状況でなおかつ「一時的」であること、返済の見通しがたつことが条件となります。
つまり、返済ができる程度の収入があり、生活に困っている状況が「一時的」であることが条件となります。また、その「一時的」な状況には以下のようなものが該当します。
- 医療費や介護費用を支払ったことで生活費が必要
- 会社の解雇・休業による収入減
- 年金や公的給付などの支給開始までに必要な生活費のため
- 火災などで被災した
- 滞納していた税金や国民健康保険料、年金保険料、公共料金などの支払いで支出が増えた
など
申し込みや相談については、全国の社会福祉協議会まで問い合わせをしてみましょう。
総合支援資金
総合支援資金は、離職や減収などにより日常生活が困難な状況になった「世帯」の生活の立て直しのため、継続的な相談や支援とあわせて、資金の貸付を行う国の制度です。
再就職後に返済をする必要があるため、貸付にあたっては審査があります。また「世帯」を支援する資金のため、世帯の誰かの収入で生活が可能な場合は利用できません。
総合支援資金の貸付条件は以下のとおりです。
貸付限度額 |
|
貸付利子 | 連帯保証人を立てられる場合は無利子(それ以外は年1.5%) |
措置期間 | 6カ月 |
返済期間 | 10年以内(※最終償還年齢70歳まで) |
また、利用できる世帯の条件には以下のようなものがあげられます。
- 低所得世帯で、収入の減少や失業などにより生活が困難になっている
- 貸付を行うことで自立が見込まれる世帯である
- 住居が現在あること、または住居確保給付金の申請を行っていて住居の確保が確実に見込まれること
- 返済が可能なこと
ただし、債務整理の予定がある、または債務整理手続き中の方がいる世帯は利用できないため、債務整理を検討している場合は注意が必要です。
まとめ
借金救済制度として債務整理手続きを活用することで、借金の負担を軽減したり、借金が0になるといったメリットがあります。
しかし、債務整理には良い面だけでなく、個人信用情報がブラックになる、クレジットカードが持てないなどの共通したデメリットもあります。
債務整理の中で自身がどの手続きを選択すべきかは、借金の金額や返済能力、家族構成などによっても変わってくるため、まずは弁護士や司法書士の無料相談を利用してみましょう。
弁護士や司法書士への依頼費用が心配な場合は、分割払いが可能な事務所を選び、無理なく債務整理ができるように依頼する事務所選びは慎重に行うことをおすすめします。