相続税・贈与税とは?資産の相続や贈与でかかるお金について

いざ資産を相続・贈与する段階で計算しなくてはならない税金は、課税対象となるまでその実態を知らない人も少なくありません。
現金や預貯金以外にも不動産や有価証券などの財産があれば、予想以上の相続税額がかかることもあります。
今回は、相続税や贈与税の仕組み、いくらぐらいかかるのかといった算出方法から、各税金の税金対策までを考えていきましょう。
目次
相続税とは?課税対象となる財産と基礎控除額
相続税とは、「相続税法」に基づいた税金のことです。
人が死亡したことを原因として、財産の移転が必要となる際に、その財産を受け取った者に対して課税が行なわれます。
相続税の基本となるのは「富の再分配」という基礎思想です。これは国民がみな平等な経済状況が送れるよう政策として掲げられたもので、税金のほとんどは「富の再分配」の考えのもと、制定されています。
課税財産と非課税財産について
一言に財産といっても、「課税財産」と「非課税財産」に分けられるのはご存知でしょうか。どんな財産が課税対象となるのかを、まずは見ていきましょう。
課税財産
課税対象となる財産は大きく分けて2種類あります。
- 本来の相続財産
- みなし相続財産
本来の相続財産には、
- 金融資産(預貯金、現金、有価証券など)
- 不動産(土地・家屋、マンションやアパートなどの物件など)
- 動産(家具など)
- 各種権利(著作権、特許権など)
- 事業用財産(農具や機械、備品、商品など)
などが含まれます。課税財産は財産のうちのほとんどを占めており、相続財産の計算が分からない時は「すべての財産を特定し、課税対象にならない財産を除外」する方法が一般的です。
また、みなし相続財産は「被相続人の死亡によって得られ、かつ、お金に変えられるもの」を指します。被相続人が死亡してから一度現金化する必要があるため、忘れられがちな財産とも言えるでしょう。
- 生命保険の死亡保険金
- 死亡退職金
これらがみなし相続財産です。そして、本来の相続財産・みなし相続財産どちらにも基礎控除というものが存在しますが、これは後ほど説明していきます。
非課税財産
次に、非課税財産を説明しましょう。
- 礼拝道具や仏具
- 宗教・慈善事業などの公益事業に使用するお金
- 心身障碍者共済制度に基づき支給される給付金を受け取る権利
- 幼稚園・盲学校などの対象施設に使用されていた事業用財産
- 相続税の申告までに特定法人に寄付した財産
以上の財産は相続税がかかりません。
相続税は税率に段階が設定されており、1段階上がると税率が5~10%上がることが特徴です。数万円程度で税の段階区分が変わるのであれば、以上の非課税財産に含められるような公益のために使用すると、税金対策に繋がります。
相続税の基礎控除額
相続税の基礎控除とは、被相続人が保有していた財産のうち一定金額までは税申告を行わなくてもよい、という限度のことです。
控除額となる一定金額は、以下の算式を使用し計算を行います。
・3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
法定相続人のうち相続放棄をした者がいたとしても、その人数を含めて計算します。相続放棄を原因として新たに相続人となった者の人数は含めません。
基礎控除額が算出できたら、申告が必要かどうかを考えていきます。
相続税の申告が必要な場合と納める義務がある人
ここでは申告が必要なケースと、納める義務がある人は誰に当たるのかを確認していきましょう。
相続税の申告が必要な場合
相続税の申告とは、1.税金の納税と2.相続税申告書の提出のふたつを指します。
先ほど説明した「課税対象財産」と「基礎控除額の算式」を当てはめて、申告義務があるかどうかを考えていきましょう。
・本来の相続財産+みなし相続財産>3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
この場合は相続税を申告する義務が発生します。遺産の総額が基礎控除額よりも高額であれば、差額分が課税されると考えましょう。
・本来の相続財産+みなし相続財産<3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
以上のケースは、基礎控除額が遺産の総額を超えており、申告は不必要です。
相続税を納める義務がある人
相続税の納税義務が発生した際に、気になるのが「誰が払うのか」という点です。相続税は「遺産を相続した人」に課税されるため、親族であるかどうかに関わらず、課税対象の遺産を受け取った人には納税の義務があります。
相続税は税務署に申告することで納税となりますが、税額は相続人全員で均等に割るわけではありません。実際に相続した遺産の割合に応じて税額は異なり、遺産を多く相続した人ほど税額が高くなることを頭に入れておきましょう。
贈与税とは?相続税との違いは?
贈与税とは、贈与者が財産の一部を受贈者に譲るときに課せられる税金のことです。受贈者が自ら申告し、納税しなければなりません。このとき、相続時は除いて考えられます。つまり、贈与税と相続税の違いとしては、「自己(贈与税の場合は贈与者、相続税の場合は被相続人)が生存しているかどうか」という点が挙げられます。
- 死んだ人から財産をもらう:相続税
- 生きている人から財産をもらう:贈与税
これが、両者の最も大きな違いです。
他にも、基礎控除額の大きさも違いのひとつです。相続税には基礎控除額があるとお伝えしました。贈与税にも基礎控除額が設定されており、すべての贈与が課税対象となるわけではありません。贈与税の基礎控除額とは、1年につき110万円です。
1年間のうちに110万円以上の贈与が行なわれた場合は、超えた部分に贈与税がかかります。この110万円は、受贈者1人に対して算出された額です。例えば、2人の贈与者からそれぞれ100万円の贈与が行なわれた場合、一見、基礎控除額範囲内の贈与にも思えます。
しかし、受贈者が受け取る贈与総額は200万円なので、基礎控除額の110万円以上の贈与と計算され課税対象です。また、贈与額が大きくなるほど贈与税の税率は高くなります。
生前贈与には保険を利用するとお得?
相続税と贈与税の違いを知ると、贈与なら年間110万円以内であれば何年間にわたって贈与しても課税にならないため、「相続税対策には生前贈与が重要」であることが分かります。
何の知識もなくいざ相続税に直面すると、意外な納税額の多さに驚く人も少なくありません。生前に多額の財産が分かっている場合は、生前贈与で相続税の対策を講じておくとよいでしょう。
さらに生前贈与を上手に行うには、保険と組み合わせます。ここでは生前贈与に保険を利用するメリットをご紹介しましょう。
受取金額が支払金額より大きくなることも
受取金額が大きくなることがメリットのひとつです。生命保険に加入すると、契約者は保険料を支払います。支払った保険料に関しては、保険会社が運用することになりますよね。
死亡保険金を始めとした生命保険各種の受取金は、支払った保険料総額よりも、高くなります。定期貯金など預貯金よりも生命保険の利率が高い場合は、保険を活用する方がお得になります。
相続税ではなく所得税が課税される
支払う税金が安くなる可能性が高いという点も、メリットのひとつです。説明したように預貯金として財産を残す場合には、死後「相続税」がかかります。
一方で、保険料を生前贈与とするケースでは、受け取る保険金に課税されるものは「所得税」です。所得税の税率は相続税よりも低いため、支払う税金額を減額することができるのです。
受け取り時期を指定することができる
生前贈与は税金対策に有効ですが、例えば「受贈者である孫が未成年」「受贈者が浪費家である」などのケースでは、管理に不安が残ることもあるでしょう。
遺産は受け取る期間を指定できませんが、生命保険の場合は商品によって、「孫が成人したときに受け取る」「分割で受け取る」などの指定ができるものもあります。保険金の受け取り時期が指定できると生活や学業に役立てやすいため、保険金を生前贈与とするメリットと言えるでしょう。
相続放棄しても保険金なら受け取れる
例えば遺産の中に借金がある場合では、相続人が相続放棄を選択することもあります。すると、マイナスの遺産だけでなく、プラスとなる遺産もすべて受け取ることができません。しかし、生命保険は遺産の範囲には入らないため、たとえ相続放棄をしても保険金の受取は可能です。
被相続人の財産になるもののうち、マイナスの財産が生前に分かっていれば、保険を活用して生前贈与を行うとお得になるケースもあります。
相続・贈与におすすめの保険の加入方法
保険を活用して相続・贈与を行うには、支払いの仕組みと加入方法をチェックしておかなければなりません。おすすめの保険加入の方法を見ていきましょう。
生前贈与のために保険に加入する方法
生命保険を生前贈与に活用するには、以下のように設定します。
- 契約者→相続人
- 被保険者→被相続人
- 保険金受取人→相続人
まずは、被保険者が相続人名義で生命保険に加入します。被相続人が現金や預貯金を「保険料」として支払い、死亡時には相続人に死亡保険金を受け取ってもらう設定です。このとき、支払った保険料は「贈与」という名義になります。相続財産を減らし、節税することが可能です。
もしくは、先ほどの贈与税基礎控除に則って年間110万円以内の贈与を相続人(契約者)に行い、その範囲で保険料を支払うのもひとつの手段です。こちらも無税で保険料の支払い=生前贈与を続けることができるでしょう。
ただし、被保険者が病気をはじめとする既往症を持っていると、生命保険に加入することができません。既往症があることで、被保険者として認められないためです。この場合では、「個人年金保険」に加入する方法があります。個人年金保険への加入は、以下のように設定しましょう。
- 契約者→被相続人
- 被保険者→相続人
- 保険金受取人→相続人
この設定でも、被相続人が毎月・毎年支払った保険料を生前贈与とすることができます。
ただし、以上のような保険を活用して生前贈与を行う際には、気を付けなければならないことがあります。生前贈与を行うなら、被相続人は「生命保険料控除」が受けられません。もし控除を受けると「被相続人が自分自身のために保険料を支払った」とされてしまうからです。
相続のために保険に加入する方法
保険料を生前贈与することにより、贈与・相続税を軽減できることを説明してきました。生命保険を活用すれば、直接的な相続税の対策も可能です。
理由は、生命保険に加入すると死亡時に受け取れる「死亡保険金」にあります。死亡保険金には、大幅な相続控除額が定められているからです。死亡保険金はみなし相続財産として遺産総額に含められますが「死亡保険金の非課税」という税制上の特典があることを、忘れてはいけません。
・500万円×法定相続人の人数
これが非課税金額です。例えば夫が亡くなったときの死亡保険金が6,000万円あり、法定相続人が「妻・子ども1・子ども2」だったとしましょう。
・500万円×3人=1,500万円
つまり、相続税の課税価格に算入するのは
・6,000万円-1,500万円=4,500万円
となります。このような控除の制度は、死亡保険金だけに設定されているものです。なぜなら、死亡保険金には「残された家族(遺族)の生活の保障」という、大切な目的があるからです。現金や預貯金にはこうした控除はないため、生命保険に加入しておくと大きく相続税を減らすことができるでしょう。
この方法で相続税を軽減したい場合には、以下のように設定し生命保険に加入します。
- 契約者→被相続人
- 被保険者→被相続人
- 死亡保険金受取人→相続人
月々の保険料支払いは、被相続人本人です。
保険を利用して生前贈与する方法や相続税対策にはいくつかのパターンが考えられるため、個々のケースに応じてよりメリットが大きい方法を選びましょう。
まとめ:相続・贈与税は保険を活用して賢く相続を
相続や贈与には、それぞれ相続税と贈与税がかかることをお伝えしました。何も知らないまま資産を相続した場合、納税額の多さに驚くこともあるでしょう。
贈与税の控除額は年間区切りで設定されているため、知らないうちに課税対象となることも少なくありません。相続税は仕組みを知っていれば税金対策が可能で、保険を活用すれば生前に手段を講じることもできます。いずれの対策も、自分や家族にとってメリットがより大きい方を選択し、賢く相続をしていきましょう。
保険商品のご検討にあたっては、「契約概要」「注意喚起情報」「ご契約のしおり」「約款」などを必ずご覧ください。
本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。
本コンテンツの記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。
また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。