リフォーム瑕疵(かし)保険とは?リフォーム時に加入する保険

住宅リフォームを検討する際に、気になることのひとつが費用のこと。工事の規模にもよりますが、リフォームにかかる費用は決して安いものではありません。
それなのに、もし工事で不備が見つかったら…と不安に思う人もいることでしょう。そんなときに役立つのが「リフォーム瑕疵(かし)保険」です。
この保険は、一般的な入院保険や生命保険とは少し仕組みが異なっています。今回はリフォーム瑕疵保険に焦点を当てて詳しくご紹介しましょう。
どんな保険なのかを知って、家計の見直しや保険の見直しに役立ててみて下さいね。
目次
リフォーム瑕疵(かし)保険とは?誰が払うの?
まずは、リフォーム瑕疵(かし)保険がどんな保険なのかについて詳しくご紹介しましょう。
リフォーム瑕疵(かし)保険とは
冒頭でも述べましたが、住宅をリフォームする際にかかる費用は決して安いものではありません。
しかし、国土交通省が管轄している公益財団法人の住宅リフォーム・紛争処理センターの「住宅相談統計年報2018」を見てみると、2017年度におけるトラブルに関する相談件数は20,786件、そのうちリフォームに関するものは6,818件でした。
このような背景から、リフォーム業者や工事などに関して、不安を抱いている人も少なくありません。そんなときに役立つのが、このリフォーム瑕疵(かし)保険なのです。
まず、「瑕疵(かし)」という言葉があまり聞きなれないという人もいるのではないでしょうか。瑕疵(かし)とは、契約時に約束していた性能や品質を確保できていない状態を言います。
たとえば耐震化リフォームを例に挙げると、工事を終えた時点で一定の耐震性能の基準を満たしておかなければなりません。
しかし、工事後の検査で耐震の基準を満たしていないとなった場合、瑕疵(かし)であると判断されます。つまり「瑕疵(かし)」とは「欠陥」のことであり、リフォーム瑕疵(かし)保険は、リフォームした住宅に欠陥が見つかった場合において補修のための費用が保障される保険のことを指すのです。
誰が支払う保険?
このリフォーム瑕疵(かし)保険は、リフォーム工事に関する「検査」と「保障」がセットになっているのが特徴です。生命保険や自動車保険といった一般的な保険は、消費者を被保険者としています。
しかし、リフォーム瑕疵(かし)保険における被保険者はリフォーム会社。住宅リフォーム後に工事で欠陥、つまり瑕疵(かし)が発見された場合、施工業者に対して補修するための費用が保険金として無償で支払われる仕組みとなっています。
では、保険料の支払いは、リフォーム会社なのでしょうか。この点においては、明確な決まりがありません。なぜなら、リフォーム瑕疵(かし)保険は、任意で加入する任意保険であるからです。
しかし、たいていの場合は、施主側が全額支払うケース、もしくは発注先であるリフォーム会社との折半というケースが多いようです。
また、保険料がどれぐらいの相場であるのかも気になる人も多いでしょう。
保険料は工事内容によって変動するため、一概には言い切れませんが、50万円をかけてキッチンをリフォームする場合、加入費は25,000円ほど、外壁を200万円でリフォームした場合には5万円程度と比較的お手頃な価格となっています。
リフォームを失敗したくないという想いが強い人であれば、リフォーム瑕疵(かし)保険は活用すべきと言えるでしょう。
リフォーム瑕疵(かし)保険のメリット
リフォーム瑕疵(かし)保険に加入することで、私たちに一体どのようなメリットがあるのでしょうか。メリットについてまとめてみたので確認してみましょう。
メリット1:第三者によって検査を実施してもらえる
リフォーム瑕疵保険に加入すると、リフォーム工事完了後に専門の建築士によって現場検査が実施されます。
また、工事内容によっては施工中に検査が実施される場合もあるようです。検査は各工事の内容に沿った「設計施工基準」に基づいてしっかりチェックされ、その後保険証券が発行される流れとなっています。
もし万が一、瑕疵(かし)が見つかった場合でも、第三者である検査員が証明してくれるため、心強いでしょう。
メリット2:リフォーム会社が倒産しても請求可能
瑕疵(かし)が見つかった時点で、もし登録事業者であるリフォーム会社が倒産してしまっていたとしても、保険会社に保険金を請求することが可能です。
そのため、依頼していたリフォーム会社が倒産によって、保険金を請求できないと泣き寝入りするようなケースの心配がありません。
また、リフォームを請け負う業者は、小規模な工務店である場合も少なくないため、大規模のメーカーと比べると倒産リスクがあることも念頭に置いておきましょう。
メリット3:質の高いリフォームが叶うため安心
リフォーム瑕疵(かし)保険に加入していると、基準に沿って施工してもらえるうえ、工事完了後も保険対象部分の検査がしっかり行われることから、雑な仕上がりになる危険性が低くなると言えます。
また、保険に加入するためには、建設業許可を受けている、もしくは、3年以上継続してリフォーム工事業を営んでいるか、などさまざまな条件を満たしていないといけません。
これらの点から、リフォーム瑕疵(かし)保険は、安心料であると意見する人も見られます。
メリット4:リフォーム瑕疵(かし)保険の加入業者は公開されている
この保険に加入している業者は、実はそれほど多くありません。加入するためには、第三者機構による現場検査を受けなければならないこと、瑕疵(かし)に対する保障が義務化されていること。
この2点は消費者にとってはメリットではあるものの、リフォーム会社にとってはリスク負担となるからです。
そこで、保険への加入有無を知るために有効なのが、一般社団法人住宅瑕疵担保責任保険協会のホームページです。
このホームページを利用すれば、事業者名を入れて検索する方法もしくは、エリアから該当企業を絞ることができます。
リフォーム瑕疵(かし)保険は、リフォーム工事を依頼する際に、施工業者を選ぶ基準のひとつのなるほか、信頼・安心のひとつの判断材料ともなります。ぜひリフォーム検討の際に、こちらのツールを利用して取り扱いの有無を確認してみてください。
国土交通省が指定「住宅瑕疵担保責任保険法人」とは
住宅瑕疵(かし)担保責任保険法人とは、国土交通大臣が指定している住宅専門の保険会社のこと。
住宅は極めて、個別性・現場性の高いものです。
保険を引き受けるにあたって適切な運営が求められることから、先程もリフォーム瑕疵(かし)保険のメリットとして紹介したように、建築士等の第三者による現場検査が必要です。
その検査を引き受けるのがこの住宅瑕疵担保責任保険法人なのです。
実は現在、住宅瑕疵担保責任保険法人にされているのは以下の5社。
- ハウスプラス住宅保証㈱
- ㈱ハウスジーメン
- ㈱日本住宅保証検査機構
- 住宅保証機構㈱
- ㈱住宅あんしん保証
上記5社はいずれも全国を対象に業務を行っています。事業者はこの5社の中から、自由に選択して保険の契約を締結することが可能。保険料は各保険法人によって異なるため、詳しくは各社のネットで確認してみてください。
リフォーム瑕疵(かし)保険の対象住宅と支払対象費用
リフォーム瑕疵(かし)保険の対象としている住宅や費用について確認してみましょう。
リフォーム瑕疵(かし)保険の対象となる住宅
リフォーム瑕疵(かし)保険が対象としているのは、建物の一部にかかる増築や補修・改築の工事を行う既存の住宅が対象です。
これには個人の住宅だけでなく、店舗や事務所と兼用している住宅も含まれていて、建物の工法や構造、築年数などは問われません。
しかし、共同住宅においては、条件があります。共同住宅の適用条件は以下の通り。
共同住宅の規模 | 専有部分の保険対象 | 共有部分の保険対象 |
---|---|---|
階建て以下で、 500㎡未満の 共同住宅は専有部分 | 〇 | 〇 |
3階建て以下で、 500㎡未満の 共同住宅は専有部分 | 〇 (専有部分のリフォーム工事と 一緒に発注した窓やドアなどの 共用部分も含む) | × (「JIO大規模修繕かし保険」の 対象工事の範囲で あることが前提) |
また、戸建て住宅・共同住宅いずれの種類の住宅であっても以下の条件が定められています。
- 「住宅保証機構指定の保証書」において、「瑕疵担保責任」の契約を行っていること
- 住宅保証機構が定めている設計施工事基準に適合しているリフォーム工事であること
- 「構造耐力上主要な部分」のリフォーム工事である場合、新耐震基準に適合している住宅であること
また具体的な工事内容は、壁や屋根、トイレやキッチン、浴槽といった既存住宅と一体となっている設備が対象です。たとえば、工事例には、耐震リフォームや排水管の交換、床や壁の断熱工事などが挙げられます。
なお、解体工事や撤去作業、門や塀などの外構工事は対象外。そのほか、台風や地震、土砂崩れ、津波などの自然災害による損害についても対象外となっています。
保険の期間は、工事内容によって異なりますが、基本的に1年もしくは5年が一般的です。ただし、基礎を新設する増改築においての保険期間は10年間となっています。
リフォーム瑕疵(かし)保険の対象となる費用
リフォーム瑕疵(かし)保険の対象となる費用は、補修費用のほかにも以下のものが対象となります。
- 補修費用
- 材料費や労務費など欠陥を補修するために必要となった費用、または補修に代わる損害賠償金
- 仮住居費用・転居費用
- 欠陥の補修のために、一時的に移転が必要となった場合に生じる仮住居費用や転居費用
- 調査費用
- 欠陥が見つかった場合に、補修がどれぐらい必要でどんな方法で行うのか、金額はどれぐらいかなどを調査するために必要となる費用
- 求償権保全費用
- 保険金支払いの対象となる損害が発生した場合、その権利を保全する手続きに必要となる費用
- そのほか
- 瑕疵担保責任に関する争訟において必要となる訴訟をはじめ、和解・調停・仲裁や示談等に必要となる費用
また、リフォーム瑕疵(かし)保険で居住者が受け取ることのできる金額は、「(補修費・調査費-10万円)×80%」の計算式で算出されます。
ただし、リフォーム会社が倒産した場合は例外で、居住者には金額の100%が支払われるようになっています。
リフォーム瑕疵(かし)保険利用の流れ
では、実際にリフォーム瑕疵(かし)保険を利用するとなった場合、どのような流れで手続きすればよいのでしょうか。申し込みまでの流れと、瑕疵(かし)が発見された場合の請求の流れに分けてご紹介します。万が一の際でも、スムーズに手続きできるように確事前にしっかり認しておきましょう。
申し込みまでの流れ
申し込み書類を提出する
リフォーム瑕疵(かし)保険は、リフォーム工事の着工前に加入しておく必要があります。リフォームを依頼する業者や用意してくれた書類の説明を受けて、記名・捺印を行いましょう。基本的に、契約書類は業者より保険会社へ郵送してくれるところがほとんどのようです。
書類の控えを受け取る
工事完了後は、保険内容を記載した控えを受け取ります。万が一、欠陥が見つかった場合には、保証書をもとに保険法人に対して請求することとなります。
保険金請求・支払いの流れ
リフォーム会社に補修工事を依頼する
工事完了後に欠陥が見つかった場合は、まずはリフォーム会社に欠陥を補修するための工事を請求します。
補修工事の実施
補修工事を依頼されたリフォーム会社は、加入をしているリフォーム瑕疵(かし)保険の内容に基づいて、補修工事を行います。
保険金を請求する
補修工事を終えたら、リフォーム会社が加入している保険会社に対して「補修工事完了報告」を提出して保険金を請求します。
保険金の支払い
保険会社が「補修工事完了報告」の内容をチェックし、リフォーム会社に保険金を支払います。万が一、リフォーム会社が倒産していた場合には、リフォームの依頼主が直接保険会社に保険金を請求する仕組みとなっています。
まとめ:リフォーム瑕疵(かし)保険でリフォームにおける不安材料を解消しよう
リフォーム工事は、不具合や欠陥が自分では判断しづらいということが挙げられますが、リフォーム瑕疵(かし)保険に加入しておけば、その不安点をしっかりカバーすることが可能。
第三者のプロの目による「検査」と、万が一のことがあっても補修費用が「補償」されるため、リフォームにおけるリスクヘッジを行うことができます。
大切な住まいのために、そして家計のためにも味方となる有効な保険。ぜひ、リフォームを検討している人は、リフォーム瑕疵(かし)保険への加入を検討してみてくださいね。
保険商品のご検討にあたっては、「契約概要」「注意喚起情報」「ご契約のしおり」「約款」などを必ずご覧ください。
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