がん保険とがん共済はどちらがよいの?

がんに罹患するリスクに備えるため、がん保険の加入を検討している方は多いかと思います。
しかし、がんに備えるにはがん保険がすべてではありません。
「がん共済」という選択肢もあるのです。
がん共済は、少ない掛け金でがんに対する保障を得られるという商品です。
しかし、その分保障金額が低かったり、保険金の支払いに限度があったりする場合があります。
一長一短ともいえるがん共済ですが、うまく活用すれば十分なリスクヘッジをすることも可能。
今回は、がんに備える保障として使える共済に注目し、その仕組みや保障内容について詳しく解説していきます。
がん保険に加入を考えていた方は、共済という新しい選択肢も視野に入れてみてはいかがでしょうか?
ぜひこの記事を参考にして、検討してみて下さい。
共済と保険の違い
がんのリスクに備えるには、がん保険や医療保険をはじめとする保険が役立ちます。
しかし、がんのリスクに備えるには、保険だけでなく「がん共済」という選択肢もあることをご存知ですか?
そもそも共済とは、「相互扶助」を理念としており、組合員がお金を出し合い、困っている組合員に対して積み立てられた共済金からお金が支給される仕組み。
この仕組みの大枠は保険も同様ですが、保険の場合には「保険の契約者」がお金を出し合います。
共済に入るためには、出資金を支払って組合員になる必要があります。
出資金を出した本人だけでなく、その家族も対象とする場合もあります。
共済では、生命共済、医療共済、がん共済、こども共済など、一般の保険会社が取り揃えている保険と同じような商品が揃っています。
たとえば、中小企業の経営者・従業員向けの小規模企業共済や中小企業退職金共済など、一度は耳にしたことがあるでしょう。
以上のように、共済は保険と似ている部分があります。とはいうものの、全く同じというわけではなく、いくつか違いもあります。
大きな違いとしては、3つ挙げられます。
根拠法令と監督官庁の違い
まず、保険と共済では、根拠法令と監督官庁が異なります。
保険会社が扱う保険の根拠法令は「保険業法」、監督官庁は金融庁とされます。
一方の共済は、種類によって根拠法令と監督官庁が変わります。たとえば「都道府県民共済」や「全労災」では、根拠法令は消費生活協同組合法、そして監督官庁は厚生労働省。「JA共済」では、根拠法令は農業協同組合法で、農林水産省が監督官庁となっています。
用語の違い
2つ目の違いとして、保険と共済では使用される用語が異なります。
たとえば、保険では保険に加入する人を「契約者」と呼びますが、共済では「加入者」と言います。
また、保険の「保険料」や「保険金」は共済では「掛け金」「共済金」と呼ばれ、保険の「配当金」は「割戻金」と呼ばれます。
これは用語が違うだけで、それぞれが指す内容については大きな違いはありません。
営利・非営利の違い
3つ目の違いとして、営利・非営利の違いが挙げられます。
保険は、保険会社が営利目的で行っている事業です。
しかし、共済は組合が組合員のために非営利で行っている事業となっています。
共済は営利目的ではないため、保険会社のように利益を追求した積極的な資産運用をせず、堅実に積立金を運用するという特徴があります。
保険と共済には、以上のような違いがあります。
制度や用語に多少の違いはあるものの、「リスクに対して備えることができる」という点では同じ。
そのため、がんに備える場合には、保険会社のがん保険だけでなく、がん共済という選択肢も十分に考えられます。
では、がんに備える場合には、がん保険とがん共済のどちらが良いのでしょうか?
それを考えるために、まずは共済のがん保険とはどのような保障内容なのかを確認していきましょう。
共済のがん保険について
共済で扱っているがん保険は、「がん共済」と呼ばれます。
しかし、がん共済を単独で扱っている共済は少なく、医療共済に特約としてがん保障を付加するパターンがあります。
共済のがん保険では、下記のような保障があります。
がん診断共済金
がんと診断された時に一時金の形で支払われる共済金。50万円~200万円など、金額の範囲は幅広いです。
がん入院共済金
がんの治療を目的とした入院の際に、1日当たり5000円~1万円ほどの範囲で給付される共済金。支払日数に上限がないものが多く、入院1日目から何日でも受け取ることができます。
がん通院共済金
がんの治療を目的とした通院の際に、1日当たり5000円~1万円ほどの範囲で給付される共済金。商品によっては、通院保障がないものもあるため、商品の保障内容をよく確認しましょう。
がん手術共済金
がんの治療を目的とした組合の定める手術を受けた際に支給される共済金。手術1回当たり、入院共済金に一定の倍率をかけた金額が支払われます。
がん放射線治療共済金
がんの治療を目的とした放射線治療を受けた時に支給される共済金。1回あたり所定の金額が支払われるケースが多いです。支払金額に上限が設けられていることがあります。
がん先進医療共済金
がんの治療を目的に、先進医療を受けた時に先進医療にかかる技術料に応じて定める額が支払われる共済金。支払金額に上限があり、500万円~1000万円ほどの制限が設けられています。
代表的な保障内容を見てみると、保険会社のがん保険と似ている保障があります。
共済は、がん保険と同じように保障期間が一定期間のみの定期タイプも、一生涯続く終身タイプもあります。
定期タイプの場合には、1年、5年、10年などが一般的な保障期間です。
特徴としては、保険料(掛け金)が比較的安いという点。
安いものでは、月掛け金1000円程度で保障を準備できる商品もあります。
また、保険商品によっては、定期タイプで更新をしても掛け金が変わらない商品もあります。
しかし、共済の場合には、がん保険と比較して保険料が少なくすむ一方、支払われる保険金が少ないなど、様々な違いがあります。
では、がん共済はがん保険とどのような違いがあるのか、メリットとデメリットを見てみましょう。
共済のがん保険のメリット
共済のがん保険のメリットは、主に3点あります。
がん保険と比べて保険料(掛け金)が安い
がん共済は、掛け金が安いという特徴があります。安いものでは月々1000円~1500円で申し込みできるものもあり、年齢が上がっても掛け金は一定という掛け金一律のタイプもあります。
そのため、なるべく保険料を抑えたい人におすすめです。
商品がパッケージ化されており、加入もシンプル
がん共済は、単独で加入するのではなく、医療共済の特約のような形で加入するケースが多いです。
そのため、プランの内容がシンプルで、複雑な手続きが比較的少ないというメリットがあります。
割戻金がある商品がある
割戻金とは、毎年の決算で余剰金が生まれた際に組合員に対して支給されるお金のこと。
割戻金があるかどうかは商品によって異なりますが、割戻金がある場合には、自分の手元にお金が戻ってくる可能性があります。
保険料をなるべく抑えたいという方には、割戻金は非常に助かる制度と言えるでしょう。
共済のがん保険のデメリット
共済のがん保険には、メリットもあればデメリットもあります。
共済特有のデメリットとしては、主に下記の3点が挙げられます。
保障内容が比較的手薄になる傾向にある
がん共済は、掛け金が少ないというメリットがある反面、保障内容が手薄になる傾向があります。
たとえば、がん保険では、先進医療特約は保障の上限金額が2000万円ほどが一般的。
一方、がん共済の上限金額は500万円~1000万円という保障がよく見かけられ、上限金額が比較的小さめになっています。
そのほかの共済金についても、支給回数や支給金額に一定の上限が設定されていることがあり、がん保険と比較すると手厚さが劣るケースがあります。
高齢になるにつれ、保障内容が手薄になる可能性がある
がん共済は、商品によっては定期タイプでも掛け金がずっと変わらないものがあります。
しかし、高齢になると保障金額が減ってしまうなど保障内容が変更されることがあるのです。
つまり、保険料を変えない分、保障内容を変えてがん罹患リスクと掛け金、保障内容のバランスをとっているようなイメージです。
がん保険の場合には、加入する際の保険料は年齢が上がるにつれて上がっていくものの、保障内容は変わりません。
そのため、保障内容を重視したいという人にとっては、がん保険の方が向いていると言えるでしょう。
若者向きではない
先ほども説明しましたが、がん共済は年齢にかかわらず掛け金が一定の商品があります。
若い人も高齢の人も、支払う掛け金は同じ。
しかし、若い人と高齢の人では、がん罹患リスクが異なります。
そのため、みんなが同じ掛け金の場合には、若くがん罹患リスクの少ない人が、がん罹患リスクの大きい高齢の人の分まで余分に負担をおっているとも言えます。
このような点を考えると、若者の場合には定期タイプのがん保険に加入することを検討してみた方が良い可能性もあるでしょう。
がん保険の定期タイプであれば、若いうちは保険料をかなり抑えることが可能です。
また終身のがん保険であっても、若いときに加入しておけば保険料を抑えることができるケースがありますので、一度検討してみるのも良いでしょう。
共済はこんな人におすすめ
メリットやデメリットをふまえて、共済が適しているのはこのようなタイプの人です。
- 保険料を抑えたい人
- 子どもが独立した、貯蓄がある程度あるなどの理由で、保障が少なくて良い
がん共済の特徴は、がん保険よりも保険料が比較的低額という点。
そのため、経済的に余裕がない人は、がん保険よりも共済を考えてみることをおすすめします。
ただし、掛け金が少ない分、保障内容についてはがん保険と比較して少し劣るケースもあります。
子どもが独立し、今後そこまで大きな保障が必要ないという場合には問題ないかもしれませんが、小さな子どもがいる家庭などはあまりに保障が小さすぎると困ってしまうことがあるかもしれません。
加入する際には、カバーしきれないリスクがあることを承知の上で加入するようにしましょう。
保険料を抑えたい時には共済を検討してみよう
今回は、がん保険とがん共済の違いに注目して説明してきましたが、いかがでしたか?
病気リスクに対する保障は、保険だけではなく共済という選択肢もあります。
普段はあまり共済について考えることも少ないかと思いますが、比較的少ない掛け金で保障を得ることができるなどのメリットがあるので、検討してみる価値はあるでしょう。
がん保険と比較しながら、自分にはどちらが適しているのか考えてみて下さい。
保険商品のご検討にあたっては、「契約概要」「注意喚起情報」「ご契約のしおり」「約款」などを必ずご覧ください。
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