学資保険の返戻率はどれくらい?知っておきたい目安とは

学資保険に加入する際、重要なポイントになるのが「返戻率」。自分が払い込んだ保険料に対して、どれだけの金額が学資金として支給されるのかを示した割合です。
返戻率が高ければ高いほどお得な学資保険になるわけですが、実は返戻率は世間の景気や金融政策によって大きく影響を受けてしまいます。マイナス金利政策が実施されている今、今後の金融政策の動向によっては学資保険の返戻率が下がってしまうこともあり得ます。
しかし、学資保険は契約の条件や保険料の支払い方をちょっと変えるだけで、返戻率を上げることができるのです。今回は、学資保険に加入する際に必ず知っておくべき情報として、マイナス金利政策と返戻率の関係や、返戻率を上げる方法を解説していきます。
「できるだけ返戻率の高い学資保険が良い」と考えている方は、この記事をぜひ参考に、学資保険の契約条件などを見直してみて下さい。
目次
マイナス金利の影響による返戻率推移
学資保険は、学資金の返戻率が高く、効率的に貯蓄ができる点が人気。しかし、学資保険の返戻率は日本の金利政策による影響を受けるため、常に高い返戻率をキープできるわけではないということをご存知でしょうか?
学資保険が金利政策の影響を大きく受けたのは、平成28年から平成29年にかけて。日本では、平成28年2月にマイナス金利政策が導入され、その結果平成29年4月に各保険会社は保険料の改定を行いました。保険料は全体的に値上がりし、学資保険のような貯蓄性の高い保険商品は、保険金の返戻率が下がることになったのです。
なぜマイナス金利政策で保険料の値上がり・返戻率の下落が発生するのかというと、保険会社が保険商品を運用する仕組みが関係しています。
マイナス金利が返戻率に影響を与える仕組みとは
そもそも、保険会社が保険料を決める時には、「予定利率」に基づいて決定します。
予定利率とは、保険会社が保険料の運用によって見込める収益を予測した割合のことを指します。この予定利率は、金融庁が定める「標準利率」という利率がもとになっており、この2つの利率の増減は連動します。標準利率が上がれば予定利率も上がり、その反対に標準利率が下がれば予定利率も下がるのです。
マイナス金利政策が行われた時、標準利率は大きく下がりました。それはすなわち、保険料を決める予定利率も大きく下がったということ。
予定利率が下がるということは、保険会社がうまく保険料を運用できる確率が下がったということです。そのため、保険会社は軒並み保険料を上げざるを得ませんでした。そして、保険料が上がったことで、結果的に返戻率は減少したのです。
このように、マイナス金利政策によって学資保険の返戻率は下がってしまいました。しかし、マイナス金利以前から少しずつ標準利率は下がっており、返戻率もそれに合わせて低下してきました。今後も、金利政策や世間の景気によって、返戻率が変動する可能性があります。
現在加入している学資保険の返戻率は変化しない
ここまでの説明を聞いて、「今入っている学資保険も返戻率が下がってしまうのでは…」と心配された方もいるかもしれませんが、加入済みの学資保険については、心配しなくて大丈夫。保険料が値上がりしたり、解約返戻率が下がったりということはありません。
注意しなければいけないのは、これから入る学資保険についてです。
マイナス金利政策の影響を受けた現在でも、解約返戻率が110%ほどになる利回りの良い保険商品は販売されています。しかし、このような保険商品がずっと有り続けるかは分かりません。そのため、なるべく自分で「解約返戻率を高くできる条件で学資保険を契約する」ことが重要になります。
実は、学資保険に契約をする際には、保険料の払込期間や支払い方法などによって返戻率を上げることが可能。つまり、どのような条件で契約すれば解約返戻率が高くなるのかを知ってさえいれば、よりお得に学資保険で貯蓄していくことができるのです。
では、返戻率を上げるにはどのようなポイントに注意する必要があるのでしょうか?次の賞から、返戻率を上げるための条件についてみていきましょう。
学資保険の払込期間も重要なポイント
学資保険の返戻率を良くするためのポイントは、保険料の払込期間をできるだけ短くすることが挙げられます。
学資保険は、保険商品や加入時の子供の年齢にもよりますが、一般的には保険料は10年払い込みか18年払い込みのパターンが多いです。
10年で保険料の払い込みを完了させる場合、18年払い込みと比べて、保険会社に積み立てる金額は早く貯まります。つまり、保険会社はより多くの資金を早くから運用できることになるため、10年払い込みの方が解約返戻率が高くなるのです。ただし、10年払い込みにした場合、1回あたりに払い込む保険料が多少高額になってしまう点に注意が必要です。
学資金の受け取りを遅らせる方法もおすすめ
返戻率の良さには、先ほど説明したように「どれくらいの金額をどれくらいの長さ運用したか」という点が影響します。そのため、保険料払込期間だけでなく、学資金の受け取りタイミングを遅らせることも、返戻率を上げることにつながります。
たとえば、中学や高校進学の際に進学準備金を受給し、さらに満期学資金も受給するパターンと、進学準備金はなく、満期学資金だけを受給するパターンを考えてみましょう。この場合、満期までに運用できるお金の総額が異なるため、満期学資金だけを受給するパターンの方が、返戻率は良くなるのです。
以上のように、返戻率は運用に費やす期間の長さと金額の大きさがポイントになります。払込期間を短くして、より多くの保険料を早く運用させる方法と、学資金の受領を遅らせてできるだけ長く大きな金額を運用させる方法、2つを組み合わせてさらに返戻率を上げるのも良いでしょう。自分の状況に合った条件で学資保険を契約してみて下さい。
一括払いで運用成果を上げる
また、払込期間の短縮だけでなく、学資保険の契約時に保険料を一気に払ってしまう「一括払い」という方法もあります。
一括払いにすると、学資保険の契約時から保険期間の満了までの間、保険会社が大きな金額を長く運用することが可能です。そのため運用成果が上がりやすく、解約返戻率も上昇するのです。
ただし、一括払いができるのは保険契約時にすでにある程度の貯蓄ができている人です。そのため、学費をコツコツ貯蓄というよりは、「学費はすでに用意してあるので、お得に金額を増やしたい」という人に向いているでしょう。
これから貯蓄をしていく中で返戻率を上げていきたいという方は、先ほど紹介した10年払い込みがおすすめです。
銀行の定期預金で貯蓄するよりも学資保険の方がお得?
今後も金融政策によって学資保険の返戻率が低下する可能性があるなら、銀行の定期預金などもっと手軽な方法で貯蓄をした方が得なのではないか?と疑問に思う方もいるでしょう。
学資保険や定期預金の契約時の利率だけで言うならば、実際のところ、学資保険の方がお得であることが多いです。というのも、金利政策の影響を強く受けるのは銀行預金も同様で、現在はマイナス金利により定期預金の利率は0.01%~0.02%ほどが相場。
この利率なら、返戻率110%ほどの学資保険の方がお得です。もしマイナス金利が続き学資保険の返戻率がさらに下がったとしても、銀行の金利も同じように影響を受けて下がるはずです。
しかし、定期預金は学資保険と違って簡単に解約ができるため、金利が上昇した際にはより利回りのよい保険商品に乗り換えられる柔軟性があります。
一方の学資保険は、途中解約をすると学資金が元本割れを起こすリスクがあります。金利が上昇し、より良い保険商品が販売されたとしても、乗り換えることが難しい場合があるのです。
以上の点を踏まえると、学資保険と定期預金はどちらが絶対にお得とは言い切れません。将来的な景気の動向を考えた上で、自分に合った方に加入することをおすすめします。
返戻率を上げるなら外貨建てもありだが、注意も必要
学資保険の返戻率を上げるためには、外貨で運用する学資保険に加入してみるという選択肢もあります。
外貨で運用するため、為替レートの変動によって運用成果も変わります。投資と同じようなイメージで、運用成果が良ければ学資金が増え、逆にうまくいかなかった場合には学資金は減ってしまいます。場合によっては、元本割れを起こすことだってあるでしょう。
このように、外貨建ての学資保険は高い返戻率を狙うこともできますが、為替レートの変動次第で学資金が減ってしまうこともあります。他の方法でも貯蓄を行っているため多少チャレンジする余裕があるという方はいいかもしれませんが、堅実にしっかりと貯蓄をしたいという人は、外貨建ては向いていません。
学資保険は短い払込期間で返戻率アップが無難
今回は、学資保険の返戻率について解説してきましたが、返戻率をアップさせるポイントについてはご理解いただけたでしょうか?
学資保険の返戻率を上げるには、払込期間の短縮や一括払い、外貨建ての保険商品加入など様々な方法がありましたが、最もリスクや負担が少ないのは、払込期間の短縮でしょう。月々の収支状況に余裕がある場合には、払込期間を短くして学資保険に契約することをお勧めします。
また、「返戻率の良い保険商品が知りたい」「自分にとって最も良い条件で学資保険に契約したい」という方は、ファイナンシャルプランナー(FP)や保険代理店のスタッフに相談してみるのも1つの手です。様々な保険商品を比べた上で、あなたにぴったりの学資保険を紹介してくれるでしょう。
保険商品のご検討にあたっては、「契約概要」「注意喚起情報」「ご契約のしおり」「約款」などを必ずご覧ください。
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