学資保険にはどんなメリットがある?保障内容や税金の控除を解説

子供にかかる費用の中で、特に金額が大きいのが教育費。
大学まで進学させるための貯蓄をどうしようか、早いうちから様々な貯蓄方法を検討しているご家庭も多いでしょう。
貯蓄方法の中でも、メリットの大きい方法の1つとしておすすめしたいのが、学資保険。
学資保険とは子供の学費を貯蓄するための保険で、進学のタイミングに合わせて進学準備金や満期学資金を受け取ることができます。
また、学資保険は将来のための貯蓄効果だけでなく、現在の税金対策にもなるもの。
うまく活用すれば、支出を抑えながら非常に効率的にお金を貯めていくことができるのです。
今回は、この子育て世代の強い味方となる学資保険について、どのようなメリットがあるのかを解説していきます。
目次
学資保険は銀行の定期預金よりも利回りが良い
学資保険のメリットとして一番に挙げられるのは、利回りの良さです。
貯蓄をするには、銀行の定期預金が手軽な方法として挙げられますが、定期預金と学資保険とでは利回りの良さが全く違います。
学資保険の場合、受け取ることができる学資金が払い込んだ保険料よりどれだけ増えるかは「返戻率」という値が指標になります。
保険商品によって返戻率の大きさは変わりますが、仮に保険期間の満期まで学資保険に加入し続けた際の返戻率を105%としましょう。
この時、10年間で100万円の保険料を払い込んだ場合、自分の手元に戻ってくる学資金は105万円。+5万円増えています。
一方の定期預金では、貯蓄したお金にどれだけ利息がつくかどうかは「金利」が指標となります。定期預金の金利は銀行によって異なりますが、近年は低金利政策のため日本の金利は非常に低く設定されており、0.01%~0.03%ほどが一般的。
仮に金利0.02%の場合、10年間で100万円を貯蓄した場合でも、2000円程度しか増えません。学資保険の+5万円と比べたら、利回りに大きな差があることが分かります。
より効率的に貯蓄をしたいという方は、利回りのメリットが大きい学資保険の方がおすすめです。
ただし、学資保険に加入して途中で解約をした場合には、返戻率は低下し高利回りのメリットは無くなってしまうため、注意が必要です。
親が死亡または高度障害になったら保険料の払込みが免除
学資保険の2つ目のメリットは、契約者である親に万が一のことが起こった場合、保険料の払い込みが免除になる特約を付加できる点です。
この特約は「保険料払込免除特約」と呼ばれ、親が死亡、もしくは所定の高度障害状態となって保険料の払い込みが困難になった場合に、それ以降の保険料が免除されるものです。
もちろん、保険料の払い込みが免除された後も、進学準備金や満期学資金は支払われます。
保険金払込免除特約を付加することで、親にもしものことがあった場合でも、子供が将来の学費に困らないように保障をつけることができるのです。
これは、定期預金による貯蓄にはないメリットと言えるでしょう。
また、保険料払込免除特約だけでなく、親が死亡・高度障害になった場合に年金の形で保険金が支給される「育英年金」が備わった学資保険もあります。育英年金も、親が死亡・高度障害になって以降の保険料の支払いが免除されます。万が一の保障がより大きくなった仕組みです。
ただし、学資保険には保険料払込免除特約や育英年金などの保障メリットがある反面、これらの特約をつけると学資保険の返戻率が少し下がってしまうというデメリットもあります。
そのため、特約をつける際には、保障のメリットと返戻率のバランスを良く考えて付加させることがおすすめです。
貯蓄よりも確実にお金が積立てられる
学資保険の3つ目のメリットは、預貯金よりもお金が貯められる点です。
当然ではありますが、学資保険は毎月保険料を払い込む必要があります。そのため、自分では「貯蓄」という意識をしなくても、強制的にお金が積み立てられていくのです。
一方、定期預金ではなく自分で口座に貯蓄を行う場合には、自分でいくら貯蓄をすると決めて毎月その分を自分の収入から分けなければいけません。今月は出費が多いから貯蓄はやめておこう…などと思ってしまえば、なかなか貯蓄は上手くいかないでしょう。
銀行の定期預金を使えば保険と同じように毎月決まった金額を積み立てていくことが可能ですが、それでも定期預金は簡単に解約することが可能です。
中途解約すると利子が減らされてしまいますが、そもそもの利息があまり高くないため大きなデメリットにはなりにくいのが正直なところ。定期預金をやめたいと思った時に、ためらう理由にはならないでしょう。
その点、学資保険は途中解約をすると返戻率が著しく下がり、解約返戻金として受け取ることができる金額が払い込んだ保険料よりも少なくなってしまいます。
そのため、解約せずに長く続けやすいのです。この点も、学資保険のメリットと言えるでしょう。
学資保険の満期金は一時所得で特別控除の対象
学資保険は、税金の面でもメリットがあります。
学資保険で満期学資金を受け取った際、学資金から今までに払い込んだ保険料の総額を差し引いた金額に対して「一時所得」という所得税が課税されます。
返戻率が100%を超える学資保険では、受け取る学資金が払込保険料よりも高額になるため、差額分が所得税の対象です。しかし、一時所得は50万円までは特別控除が適用されるため、差額が50万円を超えない限り、所得税は課税されないのです。
課税対象の所得=受け取る学資金-払い込んだ保険料-特別控除額(50万円)
学資保険の返戻率は、100%~110%ほどが大半。それを踏まえると、学資金と払込保険料の差額が50万円を超えるのはかなり高額の学資保険を契約した場合のみと言えます。一般的な家庭で契約する学資保険では、受け取る学資金が一時所得の対象となるケースは少ないでしょう。
このように、学資保険は学資金受取の際に税金がかかる可能性が少ないというメリットがあります。
年末調整や確定申告で税額控除が受けられる
学資保険で受けられる税金対策のメリットが発生するのは、学資金受け取りの時だけではありません。学資保険の保険料を支払っている間も、税金メリットを享受することが可能です。
学資保険に加入をしている場合、その年に支払った保険料に応じて所得税・住民税が控除されます。これは、生命保険などに加入している際の「生命保険料控除」の一種で、学資保険も生命保険の一つと見なされるため、同様の控除が適用されるのです。
生命保険料控除で受けられる税額控除は、下記の3種類。学資保険の場合は、「一般生命保険料控除」に分類されます。
生命保険料控除の種類
- 一般の生命保険料控除
個人年金保険(税制適格特約なし)、終身生命保険、定期生命保険、収入保障保険、学資保険など - 個人年金保険料控除
個人年金保険(税制適格特約あり) - 介護医療保険料控除
医療保険、がん保険、介護保険など
税金から控除される金額は、下記の通りです。
2012年1月1日以降(新制度)に契約・更新をした学資保険の場合
所得税
年間の支払保険料等 | 控除額 |
---|---|
20,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
20,000円超~40,000円以下 | 支払保険料等×1/2+10,000円 |
40,000円超~80,000円以下 | 支払保険料等×1/4+20,000円 |
80,000円超 | 一律40,000円 |
住民税
年間の支払保険料等 | 控除額 |
---|---|
12,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
12,000円超~32,000円以下 | 支払保険料等×1/2+6,000円 |
32,000円超~56,000円以下 | 支払保険料等×1/4+14,000円 |
56,000円超 | 一律28,000円 |
2011年12月31日以前(旧制度)に契約・更新をした学資保険の場合
所得税
年間の支払保険料等 | 控除額 |
---|---|
25,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
25,000円超~50,000円以下 | 支払保険料等×1/2+12,500円 |
50,000円超~100,000円以下 | 支払保険料等×1/4+25,000円 |
100,000円超 | 一律50,000円 |
住民税
年間の支払保険料等 | 控除額 |
---|---|
15,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
15,000円超~40,000円以下 | 支払保険料等×1/2+7,500円 |
40,000円超~70,000円以下 | 支払保険料等×1/4+17,500円 |
70,000円超 | 一律35,000円 |
例えば、保険料が毎月1万円の学資保険に加入している場合(2012年以降に加入)、年間保険料は12万円。
新制度の控除額と照らし合わせると、所得税で4万円、住民税で2.8万円の税額控除を受けられることになるのです。
このように、学資保険は保険料を支払っている間にも税金対策のメリットを受けられます。
税額控除を受けるためには、会社員の場合には会社の年末調整で、個人事業主などの場合には確定申告で控除の申請が可能です。
保険料を実際に支払っている期間はずっと控除が適用されるため、支払い期間中はぜひとも控除の申請をしてメリットを最大限活用しましょう。
ただし、保険料を一時払いなどで一気に支払った場合には、支払った年にしか税額控除は適用されないため、注意が必要です。
学資保険のメリットは利回りと税金対策がポイント
今回は学資保険のメリットについて説明してきましたが、いかがでしたか?
学資保険は、定期預金などよりも利回りが高く税金対策にもなるため、効率よく貯蓄できるメリットの大きな貯蓄手段と言えます。
近年は低金利が続いているため、金利の低い銀行に預けるよりも、利回りの良い学資保険を選んで税額控除を受けながら資金を貯めていく方が効率的でしょう。
ただし、学資保険には保険料払込免除特約や育英年金を付加させた場合、返戻率が下がり利回りが悪くなってしまいます。
保険料払込免除特約も育英年金も、学資保険の大きなメリットと言えますが、その反面利回りに関するデメリットをもっていることも忘れてはいけません。
もし付加させる場合には、返戻率がどれくらいになるのか、あらかじめ保険代理店のスタッフやファイナンシャルプランナー(FP)によく確認することをおすすめします。
特に保険代理店のスタッフは、様々な保険会社の保険商品に精通している保険のプロでもあります。
不安な点がある場合にはしっかり相談して、自分にとって一番メリットの大きい学資保険に契約するようにしましょう。
弁護士 石原 一樹
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