個人年金保険料控除とは?|上限やいくら戻るかシミュレーションしよう

個人年金保険に加入している方は、年末調整や確定申告の際に生命保険料控除として個人年金保険料も控除することができます。
また、具体的にいくら還付金として受け取れるのかを、モデルケースを用いてシミュレーションしていきますので、ぜひ参考にしてください。
個人年金保険料控除とは
個人年金保険料控除とはどのようなものをいうのか、また、申告する方法について確認していきましょう。
「生命保険料控除」のひとつ
生命保険料控除にはほかにも、一般生命保険料控除と介護医療保険料控除があり、以下のように分類されます。
一般生命保険料控除 | 終身年金、養老保険、学資保険など |
個人年金保険料控除 | 個人年金保険 |
介護医療保険料控除 | 医療保険、がん保険、介護保険など |
年末調整や確定申告で手続きする
個人年金保険料控除を受ける方法は、会社員の方は年末調整のときに、自営業や個人事業主の方などは確定申告のときに手続きをします。
毎年10月~11月にかけて、保険会社から「保険料払込証明書」が送付されてきますが、申告の際に添付して提出するため、紛失しないように保管しておきましょう。
会社員の方は11月や12月になると年末調整書類を受け取ると思いますが、その中に「給与所得者の保険料控除申告書」がありますので、必要事項を記入し「保険料払込証明書」を添付して提出します。
個人年金保険料控除の上限は?
なお、新制度と旧制度についてはこれから詳しく解説していきます。
「新制度」と「旧制度」の違い
平成22年度の税制改革の際に生命保険料控除制度も改正され、以下のように契約日に応じて「新制度」と「旧制度」とに分かれることになりました。
新制度 |
|
旧契約 | 平成23年12月31日以前の契約 |
個人年金保険料控除額は5万円→4万円に
さらに、生命保険料控除制度の改正では、控除上限額も変更されました。
以前は、一般生命保険料控除5万円+個人年金保険料控除5万円で合計最大10万円の控除額でしたが、新制度では、一般生命保険料控除4万円+個人年金保険料控除4万円+介護医療保険料控除4万円で合計最大12万円の控除を受けられることになりました。
個人年金保険料控除額は5万円から4万円に減額されましたが、生命保険料控除額全体でみると10万円から12万円に控除額が増額されています。
控除額の計算方法
ここで、新制度と旧制度の控除額の計算方法を確認していきましょう。
新制度の生命保険料控除額
新制度では、一般生命保険料、個人年金保険料、介護医療保険料のそれぞれで以下の金額を控除することができます。
【所得税】
年間払込保険料額 | 控除される金額 |
20,000円以下 | 払込保険料全額 |
20,000円超40,000円以下 | (払込保険料×1/2)+10,000円 |
40,000円超80,000円以下 | (払込保険料×1/4)+20,000円 |
80,000円超 | 一律40,000円 |
所得税では、一般生命保険料、個人年金保険料、介護医療保険料にそれぞれ8万円超の保険料を支払った場合、4万円×3で最大12万円の控除を受けられます。
【住民税】
年間払込保険料額 | 控除される金額 |
12,000円以下 | 払込保険料全額 |
12,000円超32,000円以下 | (払込保険料×1/2)+6,000円 |
32,000円超56,000円以下 | (払込保険料×1/4)+14,000円 |
56,000円超 | 一律28,000円 |
一方、住民税では、一般生命保険料、個人年金保険料、介護医療保険料にそれぞれ5万6,000円超の保険料を支払った場合、2万8,000万円×3で最大8万4,000円の控除を受けられます。
旧制度の生命保険料控除額
次に旧制度の生命保険料控除額を確認していきましょう。
旧制度では、一般生命保険料と個人年金保険料で以下の金額を控除することができます。
【所得税】
年間払込保険料 | 控除される金額 |
25,000円以下 | 払込保険料全額 |
25,000円超50,000円以下 | (払込保険料×1/2)+12,500円 |
50,000円超100,000円以下 | (払込保険料×1/4)+25,000円 |
100,000円超 | 一律50,000円 |
所得税では、一般生命保険料、個人年金保険料にそれぞれ10万円超の保険料を支払った場合、5万円×2で最大10万円が控除されます。
【住民税】
年間払込保険料 | 控除される金額 |
15,000円以下 | 払込保険料全額 |
15,000円超40,000円以下 | (払込保険料×1/2)+7,500円 |
40,000円超70,000円以下 | (払込保険料×1/4)+17,500円 |
70,000円超 | 一律35,000円 |
住民税では、一般生命保険料、個人年金保険料にそれぞれ7万円超の保険料を支払った場合、3万5,000万円×2で最大7万円が控除されます。
個人年金保険料控除でいくら戻るかシミュレーション!
【モデルケース】
- 35歳独身男性(会社員)、年収600万円
- 社会保険料:年間84万円(給料から天引き)
- 以下の個人年金保険(10年確定年金)に加入
払込方法 | 月払い |
月額保険料 | 1万円/月 |
払込満了年齢 | 60歳 |
年金受取開始 | 60歳から |
年金受取期間 | 10年間 |
基本年金額 | 50万円 |
35歳の独身男性(会社員・年収600万円)が、毎月1万円ずつ保険料を60歳まで払い込み、60歳から10年間、毎年50万円ずつの個人年金を受け取るというケースです。
なお、個人年金保険控除を受ける条件はすべて満たしていると仮定します(条件については後章で詳しく解説します)。
【計算の手順】
還付金としていくら戻ってくるのかの計算は、以下の手順ですすめます。
- 個人年金保険料控除額を計算する
- 課税所得を求める
- 「所得税の速算表」で税率を調べる
- 還付金を計算する
では、ひとつずつ計算していきましょう。
1.個人年金保険料控除額を計算する
まずは、モデルケースの内容をもとに個人年金保険料控除額を計算します。
毎月1万円ずつを月払いで支払っているので1年間の支払い保険料は12万円になります。
2.課税所得を求める
「課税所得」とは、所得税を計算するために必要な金額のことで、収入から給与所得控除などを差し引いた金額のことをいいます。
課税所得=年収-給与所得控除額-所得控除
モデルケースでは、年収は600万円とわかっていますのでそこは問題ありませんが、「給与所得控除額」と「所得控除」は計算する必要があります。
給与所得控除額を求める
給与所得控除額は、収入によって以下のように計算します。
給与等の収入金額(給与所得の源泉徴収票の支払金額) | 給与所得控除額 |
~1,625,000円 | 550,000円 |
1,625,001~1,800,000円 | 収入金額×40%-100,000円 |
1,800,001円~3,600,000円 | 収入金額×30%+80,000円 |
3,600,001円~6,600,000円 | 収入金額×20%+440,000円 |
6,600,001円~8,500,000円 | 収入金額×10%+1,100,000円 |
8,500,001円~ | 1,950,000円(上限) |
モデルケースでは年収600万円なので、「3,600,001円から6,600,000円まで」の欄に該当し、次の計算式を使用します。
給与所得控除額=収入金額×20%+440,000円=600万円×20%+440,000円=164万円
所得控除を求める
次に、所得控除額を計算しますが、計算に入る前に所得控除について簡単にご説明します。
所得控除には、「基礎控除(48万円)」や「配偶者控除」、「配偶者特別控除」、「扶養控除」、「医療費控除」、「社会保険料控除」、「生命保険料控除」など全部で14種類ありますが、このケースで利用できるのは「基礎控除」と「生命保険料控除」、「社会保険料控除」の3つです。
- 基礎控除:48万円
- 生命保険料控除:4万円(①より)
- 社会保険料控除:84万円
したがって、課税所得は以下のように計算できます。
課税所得=年収-給与所得控除額-所得控除=600万円-164万円(②)-136万円(③)=300万円
課税所得は300万円ということがわかりました。
3.「所得税の速算表」で税率を調べる
手順2で課税所得は300万円と計算できましたので、これを「所得税の速算表」に当てはめて税率を確認します。
【所得税の速算表】
課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000円~1,949,000円 | 5% | 0円 |
1,950,000円~3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
3,300,000円~6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
6,950,000円~8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
9,000,000円~17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円~39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円~ | 45% | 4,796,000円 |
課税所得金額300万円は「1,950,000円から3,299,000円まで」の欄に該当するため、税率は10%(④)です。
4. 還付金を計算する
いよいよ還付金の計算です。
個人年金保険料控除額は、(①)より4万円と計算できており、この課税所得分が減るので、
還付金=4万円×税率10%(④)=4,000円 と計算できます。
また、住民税は所得金額にかかわらず全国的に約10%の税率となっています。
還付金=28,000円×10%=2,800円 と計算できます。
したがって、このモデルケースでは、年間12万円の個人年金保険料を支払って個人年金保険料控除を受けた場合、所得税が4,000円、住民税が2,800円の合計6,800円が還付されるということになります。
個人年金保険料控除を受けるための条件
個人年金保険に加入していると、個人年金保険料控除を受けることができますが、実はすべての契約が控除対象となるわけではありません。
個人年金保険料控除を受けるには、以下の条件をすべて満たした契約でなければならないのです。
- 「個人年金保険料税制適格特約」が付いている契約である
- 受取人が契約者またはその配偶者である
- 受取人は被保険者と同一人である
- 保険料払込期間が10年以上ある(一時払いは対象外)
- 確定年金や有期年金の場合、年金受取開始が60歳以降で、かつ年金受取期間が10年以上ある
個人年金保険であっても、「個人年金保険料税制適格特約」が付いていない契約のものや「変額個人年金保険」は、一般生命保険料控除の対象になります。
また、これから加入するという方は、個人年金保険料控除を受けられるような契約内容にすると、節税効果を持たせることができます。
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まとめ
個人年金保険料控除とは生命保険料控除のひとつで、平成24年1月1日以降の新契約の場合、所得税が最大4万円、住民税が2万8,000円控除され、平成23年12月31日以前の新契約の場合は所得税が最大5万円、住民税が3万5,000円控除されます。
ただし、すべての個人年金保険が控除対象となるわけではなく、一定の条件を満たしていることが必要となります。
還付金の計算は、手順が長く難しいイメージがありますが、上手に節税するためにもこの機会に計算方法を理解しておきましょう。
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