貯蓄に個人年金保険は使える?他の貯蓄方法と比較したメリットとは
また、保険商品によっては、払い込んだ保険料よりも多くの年金が受け取れるので非常にメリットがあります。
この記事は、次のような人にピッタリの内容になっています。
この記事は5分前後で読めます。
目次
個人年金保険とは?仕組みや種類をおさらい
公的年金制度から給付される年金とは別に、自分で用意する年金を私的年金と言います。
基本的な仕組みは、一定の保険料を払い込むことで、将来、年金が受け取れるというものです。
民間の個人年金保険は、この年金の受け取り方によって、いくつかの種類に分類されます。
- 終身年金
- 有期年金
- 確定年金
- 夫婦年金
- 外貨建て年金
これらそれぞれについて見ていきましょう。
終身年金
終身年金は、生きている限り、一生涯、年金が受け取れるというものです。
一生涯年金を受け取り続けることができる安心感がある点がメリットですが、それだけの年金原資を用意しなくてはいけないため、保険料が高めになることがデメリットです。
有期年金
有期年金は、一定期間だけ年金が受け取れるタイプです。
5年間・10年間など、あらかじめ決めた年数の間だけ年金が給付され、もしも、契約者が受取期間中に亡くなってしまった場合は、そこで終了となります。
確定年金
確定年金は、有期年金と同じく一定期間だけ年金が受け取れるタイプですが、受取期間中に契約者が亡くなった場合でも決められた期間は必ず給付されます。
必ず決まった額が受け取れるので、払い損がありません。
遺族に少しでもお金を残したいという人に向いています。
夫婦年金
一部の個人年金保険は夫婦年金に変更が可能であり、また最初から夫婦年金として契約できるものもあります。
契約者一人だけが受け取る場合より受取総額は少なくなることが多いですが、自分が亡くなった後、配偶者のために年金を残せるというメリットがあります。
外貨建て保険
形としては、終身年金・有期年金・確定年金のいずれかですが、払い込まれた保険料を外貨として運用するのが特徴です。
外貨の高金利によって、将来受け取れる年金額が大きく増える可能性があり、通常の円建て個人年金保険よりも利率が良いことが多いです。
ただし、為替変動のリスクがあるため、必ず得をするとは限りません。投資の性格があるため、リスクをよく理解しておくことが大切です。
外貨建ての個人年金保険に興味があるという方は、必ずFP等プロのアドバイスを受けることをおすすめします。
個人年金保険は一括でも受け取りが可能
基本的に、すべての個人年金保険は年金形式(定期的にお金を受け取る)だけでなく一時金形式(お金を一度だけまとめて受け取る)でも受け取ることができます。
メリットとしてまとまった資金を一度に手にすることができる点が挙げられますが、一時金で受け取った場合の額は年金形式で受け取る年金の総額よりも少なくなります。
受け取り方に関しても、損をしたり、またご自身に適切でない方法を選んでしまったりする前にプロに相談をすることをおすすめします。
個人年金保険のメリット1:所得控除が受けられる
まず1つ目の個人年金保険の大きなメリットとして、生命保険料控除のひとつである個人年金保険料控除が受けられることが挙げられます。
生命保険料控除は、該当の年に払い込んだ保険料の金額に応じて負担が軽減されます。
税金は、課税所得額に所定の税率をかけて算出されます。
課税所得額は、所得額から各種控除を差し引いた金額で、この控除に生命保険料控除が含まれます。
生命保険料控除は次の3つに分類されます。
生命保険料控除の種類 | 該当する主な保険種類 |
---|---|
一般生命保険料控除 | 養老保険、生命保険(死亡保険)、収入保障保険など |
介護医療保険料控除 | 医療保険、介護保険、がん保険など |
個人年金保険料控除 | 個人年金保険 ※税制適格特約が付いているもの |
個人年金保険は基本的に生命保険料控除のうち個人年金保険料控除に該当しますが、税制適格特約が付いているものに限られます。
保険会社が取り扱っているすべての個人年金保険が個人年金保険料控除を受けられるわけではありません。
個人年金保険料控除が適用されるためには、契約する個人年金保険に税制適格特約が付帯されている必要があります。
税制適格特約を個人年金保険に付帯するためには、次の条件をすべて満たす必要があります。
- 年金の受取人が契約者か契約者の配偶者であること
- 年金の受取人と被保険者が同一であること
- 保険料払込期間が10年以上であること
- 年金の受取開始年齢が60歳以上かつ、受取期間が10年以上に設定されていること(確定年金・有期年金の場合)
税制適格特約は無料で付帯できる特約ですが、次の制限を受けるので注意しましょう。
- 年金開始日前に配当金を受け取れない
- 個人年金保険料控除の条件を満たさなくなる契約内容の変更はできない
- 年金額の減額(一部解約)があって返戻金が発生してもすぐに受け取れない
もう少し詳しく、個人年金保険における保険料控除に関する知識を解説していきます。
個人年金保険は、保険を契約・更新した時期に応じて旧制度と新制度の2つに分けられます。
制度分類 | 該当する保険契約の条件 |
---|---|
旧制度 | 2011年12月31日以前に契約・更新 |
新制度 | 2012年1月1日以降に契約・更新 |
旧制度と新制度とでは、それぞれ保険料の控除額の計算方法が異なっています。
2011年12月31日以前に契約・更新された旧制度の保険料控除額の計算方法は、以下の通りです。
旧制度
年間払込保険料額 | 控除される金額 |
---|---|
25,000円以下 | 払込保険料全額 |
25,000円超 50,000円以下 | 払込保険料×1/2+ 12,500円 |
50,000円超 100,000円以下 | 払込保険料×1/4+ 25,000円 |
100,000円超 | 一律50,000円 |
一方、2012年1月1日以降に契約・更新された新制度の保険料控除の計算方法、次のとおりです。
新制度
年間払込保険料額 | 控除される金額 |
---|---|
20,000円以下 | 払込保険料全額 |
20,000円超 40,000円以下 | 払込保険料×1/2+ 10,000円 |
40,000円超 80,000円以下 | 払込保険料×1/4+ 20,000円 |
80,000円超 | 一律40,000円 |
上記の表をもとに、具体例を出して個人年金保険の保険料控除の計算方法を簡単に紹介します。
今回は、次のケースにおける保険料控除の計算を見ていきます。
年収 | 600万円 | |
個人年金保険料の支払額 | 旧制度 | 50,000円 |
新制度 | 40,000円 |
所得税の控除額を求める式は、次のとおりです。
制度分類 | 控除額の計算式 | 計算結果 | 控除額の上限 |
---|---|---|---|
旧制度 | 50,000円×1/2+12,500円 | 37,500円 | 50,000円 |
新制度 | 40,000円×1/2+10,000円 | 30,000円 | 40,000円 |
旧制度と新制度を両方使って保険料控除を受ける場合は、37,500円(旧制度の控除額)と30,000円(新制度の控除額)を合算します。
この計算結果は67,500円になりますが、限度額が40,000円なので、個人年金保険の所得控除額は40,000円になります。
個人年金保険の生命保険料控除を受ける場合は、年末調整や確定申告のときに個人年金保険料控除の欄に記入して書類を提出する必要があります。
生命保険料控除を受けるために必要な生命保険料控除証明書は、例年10月~11月くらいに保険会社から登録の住所に郵送されます。
基本的に、年末調整や確定申告で保険料控除を申告するタイミングで生命保険料控除証明書の提出が求められるため、失くさないようにしましょう。
将来の資金の準備をしながら本来支払うべき税金が抑えられるので、個人年金保険に加入するメリットはかなり大きいと言えます。
個人年金保険のメリット2:銀行預金よりも利率が高い
個人年金保険は銀行の定期預金を利用して貯蓄をするよりも利率が高いので、効率良くお金を貯められるのが大きなメリットと言えます。
また、各行で定期的に金利キャンペーンが実施されることも多く、一般的な普通預金の利率は0.001%であるのに対し、定期預金は高いところで0.2%~0.3%になることもあります。
個人年金保険の場合は「返戻率」という言葉を使って利率を表しますが、返戻率が高い商品になると110%を超えることもあります。
定期預金と同様に100万円の個人年金保険を解約して110%の返戻率が適用されたとすると、100万円×110%で110万円分の年金が受け取れることになるので10万円増えることになります(税金や手数料を除いた計算)。
よって、個人年金保険を賢く使って運用すれば、銀行の定期預金でコツコツお金を積み立てるよりも利回りが良くなります。
生命保険文化センターの調査によると、老後の生活資金を準備するために有効な経済手段を尋ねるアンケートに対して、次のような結果が出ています。
老後の経済的準備手段 | 令和4年度結果 |
---|---|
公的年金 | 87.0% |
預貯金 | 71.8% |
企業年金・退職金 | 37.0% |
個人年金保険 | 29.7% |
有価証券 | 11.4% |
生命保険 | 10.5% |
つみたてNISA | 6.5% |
NISA | 5.0% |
損保の年金払積立傷害保険 | 4.5% |
不動産 | 3.4% |
参考:公益財団法人生命保険文化センター 令和4年度「生活保障に関する調査」
個人年金保険に注目が集まり始めてからそれほど時間が経っていないにもかかわらず、預貯金や生命保険などに並ぶポピュラーな老後の備えの手段になっていると指摘できます。
個人年金保険は、預貯金よりも貯蓄性があり、生命保険よりも分かりやすくて手軽であるので、将来のために加入するメリットは十分にあるでしょう。
個人年金保険のメリット3:老後資金を確実に準備できる
個人年金保険を現金化するためには原則保険を解約することになるので、貯金が苦手な人でも個人年金保険に加入すればセカンドライフに必要なお金を用意できます。
契約期間が短期間だと解約時に受け取れる解約返戻金が払い込んだ保険料よりも少なく、損をする可能性がとても高いです。
特に契約してから2年~3年の間は返戻率が低く、半分以下になることも珍しくありません。
返戻率とは払込保険料に対する解約返戻金の割合のことです。
たとえば、払込保険料が100万円で解約返戻金が70万円である場合の返戻率は70%になります。
銀行などの金融機関の定期預金であれば保険金が引き落とされても解約できるため、「なかなか貯金ができない」という人も多いです。
将来のお金を確実に準備したい人には、特に個人年金保険の加入をおすすめします。
個人年金保険のメリット4:死亡保障も備えられる
先に説明した通り、個人年金保険に加入すれば老後の貯蓄ができますが、それだけではなく死亡保障の備えもできます。
個人年金保険を契約すると、年金を受給するまでに保険料を支払うことになります。
個人年金保険の加入者が死亡したときに受け取るお金は2つの種類に分けられます。
- 死亡保障
- 死亡給付金
死亡保障は生命保険と同様で、払い込んだ保険料よりも多くの保険金が受け取れますが、死亡給付金は払い込んだ保険料が戻ってきます。
いずれにしても、個人年金保険に加入すれば将来のお金を積み立てられるだけではなく、貯蓄をしながら万が一の事態に備えられるのが大きなメリットです。
個人年金保険のメリット5:iDeCoより加入条件が少ない
iDeCoの場合は資金を引き出せる年齢や加入期間、掛金の金額などの条件が多く設定されています。
iDeCoは加入期間が10年以上かつ60歳になるまで一切お金を受け取れませんが、個人年金保険は契約を解約すれば受け取れます。
また、iDeCoの掛金は公的年金の状況や加入者の職業などによって上限が定められていますが、個人年金保険は特に定められていません。
なお、iDeCoの掛金の上限金額は以下のとおり設定されています。
国民年金 保険の 加入状況 | 具体例 | 掛金拠出額の 上限 |
---|---|---|
第1号被保険者 | 自営業者など | 月額6.8万円 年額81.6万円 |
第2号被保険者 | 会社に 企業年金が ない会社員 | 月額2.3万円 年額27.6万円 |
企業型DCに 加入している 会社員 | 月額2.0万円 年額24.0万円 | |
DBと 企業型DCに 加入している 会社員 | 月額1.2万円 年額14.4万円 | |
DBのみに 加入している 会社員 | ||
公務員など | ||
第3号被保険者 | 専業主婦(夫)など | 月額2.3万円 年額27.6万円 |
参考:※DC:確定拠出年金、DB:厚生年金基金、確定給付企業年金
イデコをはじめよう|国民年金基金連合会
まとめ
本記事では個人年金保険に加入するべき5つのメリットを徹底解説しました。今回解説した5つのメリットは、以下のとおりです。
個人年金保険のメリット
- 所得控除が受けられる
- 銀行預金よりも利率が高い
- 老後資金を確実に準備できる
- 死亡保障も備えられる
- iDeCoより加入条件が少ない
個人年金保険に加入すれば、公的年金にプラスして老後の資金を準備できます。
払い込む保険料よりも受取年金が多くなる場合もあることが、個人年金保険の加入を検討する人が多い要因のひとつでもあります。
将来充実したセカンドライフを送るためにも、個人年金保険の加入を検討してみることおすすめします。
保険商品のご検討にあたっては、「契約概要」「注意喚起情報」「ご契約のしおり」「約款」などを必ずご覧ください。
本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。
本コンテンツの記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。
また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。