老後資金はいくら必要?ゆとりある老後を送るための必要額の目安と貯め方

会社勤めの生活と定年後の生活との最大の違いは、毎月の給与所得が無くなること。
老後に必要な資金のシミュレーションによると、定年後に年金だけで生活することはかなり難しいようです。
ある日を境に老後生活がはじまるわけですが、それに伴って突然生活スタイルを変えることは難しいですよね。
そこで貯えておきたいのが、老後資金です。今回は老後にゆとりある生活を送るための必要額や資金の貯蓄方法をまとめました。
老後資金とは?老後資金の用途
近年、平均寿命のみならず健康寿命も延びてきました。
そのため定年を迎えても定年再雇用制度を利用したりや臨時職員として勤務したり、またはパートやアルバイトをしたりと、働き続ける人が増えてきたことも事実。
しかし一般的には、定年を迎えると同時に仕事を辞め、老後の生活をスタートすることになるでしょう。
働いているときには毎月の給与所得があるため、日々の生活に不自由さを感じる機会は少ないかもしれません。
しかし定年後には給与が無くなるため退職金や預貯金、年金等で生活していくことになります。
もしもそのとき、十分な貯えが無いとなると…年金のみを頼りに生活を送ることになり、困難を極めるというケースも考えられます。
そこで、働いている間に貯めておきたいのが老後資金です。
老後資金とは、その名のとおり老後の生活に活用するためのお金のこと。
老後資金は毎日の生活費はもちろんのこと、毎月必要な家賃や光熱費、また随時必要になる医療費や住居のメンテナンス費用などが当てはまります。
さらに冠婚葬祭やレジャー・趣味などの、意外と費用がかさむ臨時出費などにも当てられます。
このように老後も定年前同様のゆとりある生活を継続するためには、老後資金を早い段階から貯めておくことは必要不可欠と言っても過言ではありません。
老後資金の平均必要額と目安
老後資金を貯めるためには、まずは実際にどのくらいの資金が必要になるかを知ることが大切です。
一般的に、老後資金の平均必要額は約3,000万と言われています。この数字は年金収入以外に必要とされる金額。
では、約3,000万円という老後資金の具体的な算出方法をご紹介しましょう。
総務省の家計調査報告によると、高齢無職世帯の公的年金などの社会保障給付額ならびに家計調査による月々の出費は以下のとおりです。
夫65歳以上・妻60歳以上の夫婦のみ世帯の場合
- 社会保障給付:約19万円/月
- 出費:約27万円/月
- 不足分:約8万円/月
年間で考えると、8万円×12ケ月=96万円が不足するという計算になります。
例えば60歳で定年退職したとすると、各年齢では以下の金額が不足するということになるのです。
- 70歳:約960万円
- 80歳:約1,920万円
- 85歳:約2,400万円
そして上記の不足金額に、自動車の購入費用や自宅のメンテナンス費用、医療費などをプラスしてはじき出されたのが約3,000万円という金額。
老後には年金収入以外にもかなり大きな金額が必要ということがわかるでしょう。
老後資金をシミュレーションするには
老後資金の平均金額3,000万円という数字は、60歳で定年退職したことを想定して算出しました。
しかしながら、現在の定年は原則65歳であることは周知の事実。
よって、定年の年齢が上がれば、その分給与収入を得ることができ、かつ無職である期間も短くなるため、老後資金はより抑えられると考えられます。
このように必要な老後資金は個々人の環境により、変化することは言うまでもありません。
また退職金も老後資金を考える上で、重要なポイントとなります。
2018年現在、中小企業の定年退職時の退職金は約1,400万円と言われています。
対して、上場企業などの大手企業の場合は、約2,300万円。このようにまとまった資金は、老後にゆとりある生活を送る上で大切な資金となるでしょう。
ただし、上記記載の退職金の数値は最終学歴が大卒の場合の金額であり、高卒や短大卒などであれば9割程度になるそうです。
もちろん退職金の有無や金額は勤めている会社や勤務形態により異なりますので、あくまで目安となります。
そこで活用したいのが、老後資金シミュレーションです。下記の項目の金額を基に、現時点で必要とされる老後資金を算出することができます。
収入
- 公的年金 ※1
- 再就職などによる収入
- 配偶者の収入
- 退職金(総額)※2
支出
- 生活費
- ライフイベント資金(子供の結婚祝い・自宅のリフォーム・レジャーなど)
- ローン残高(総額)
- ローン返済額(月額)
正確な金額を知りたい場合には、インターネットの老後資金シミュレーションサイトを利用する、またはお近くのファイナンシャルプランナーに相談しているのも良いアイデアと言えます。
※2ハローワーク・インターネットサービスで、雇用保険制度について説明されています。
老後資金の貯め方
現時点で必要な老後資金がわかったら、次に知りたいことは「どんな方法で資金を貯めるのか」ということではないでしょうか。
では、老後資金づくりに役立つ4つの方法をご紹介します。
定期預金などの預貯金
ごく一般的な方法ですが、各金融機関での預貯金も老後資金づくりに活用できます。
「変動金利タイプ」や「固定金利タイプ」など、さまざまな種類の商品があります。
どの商品が自身に適しているかわからない場合には、各金融期間の窓口で相談しましょう。
資金を貯める際には、満期の定めがあり収益性の高い「スーパー定期」やまとまった資金を扱う大口定期、または毎月一定額を預金する積立預金などがおすすめです。
財形貯蓄制度を利用する
「財形貯蓄制度」とは、給与から天引き(賃金控除)する形で資金を積み立てる制度です。
財形貯蓄を利用すると自宅を建設する際に公的融資を受けることができるほか、「住宅財形」と「年金財形」と合わせて550万円までであれば、非課税制度を利用することも可能です。
少ない金額からでも積み立てることができることから、計画的な資産づくりにおすすめの制度と言えます。
また「財形貯蓄」には「一般財形貯蓄」「財形住宅貯蓄」「財形年金貯蓄」の3つのコースがあり、老後資金対策には「財形年金貯蓄」がおすすめです。
ただし勤務先によって利用できるコースが異なるため、事前に確認する必要があるでしょう。
では、財形貯蓄の3つのコースについて簡単にご紹介します。
1.一般財形貯蓄
使用目的は限定されず、自由に使える財形貯蓄です。
例えば車の購入やライフイベントなど計画的なものからケガや病気など突然の出費の際にも活用できることがメリットと言えるでしょう。
貯蓄開始から1年経てば、いつでも引き出すことができます。
2.財形住宅貯蓄
自宅の購入やリフォームなど住まいに関する資金づくりに活用できる貯蓄です。
「財形年金貯蓄」と合わせて、残高550万円までは非課税で資金を利用することができます。
ただし住宅の購入や建設、リフォーム以外の用途の場合は課税対象となります。
3.財形年金貯蓄
財形年金貯蓄は60歳以降に受け取る年金としての資金づくりを目的としたタイプ。
「財形住宅貯蓄」と合わせて、貯蓄残高550万円まで非課税で払い出すことができます。
老後資金づくりにぴったりの財形貯蓄です。
確定拠出年金制度を利用する
「確定拠出年金制度」は「DC(ディーシー)」とも呼ばれ、毎月掛け金を積み立てて運用し、老後資金を蓄えるための制度です。
「確定拠出年金」には、勤める会社が掛け金を負担する「企業型」と個人が掛け金を負担する「個人型」の2種類があります。
「個人型」の場合、積み立てるとき・運用するとき・給付を受けるとき、それぞれのステップにおいて税制上のメリットがあります。
- メリット1:掛け金は全額所得控除!所得税や住民税が軽減
- メリット2:資金運用により得られた利益は非課税
- メリット3:受給時も税制優遇
運用期間中は、通常20%となる利息や配当金が非課税となり、給付を受ける際に一括課税されます。
また受給時には、一時金として受給する場合は退職所得控除が、年金として受給する場合は公的年金等控除が適用されます。
ただし、毎月の積立額には上限が設定されているため、契約時にしっかりとチェックしましょう。
NISA(少額投資非課税制度)
「NISA(ニーサ)」は、2014年にスタートした個人投資家のための税制優遇制度。
毎年120万円(5年で最大600万円まで)の非課税投資枠が設定されており、設定金額内であれば株式・投資信託等の分配金や譲渡益などが非課税対象となります。
「NISA」が運用対象としている投資信託は、投資の専門家に資金を預けて運用してもらうというシステムになっています。
多数の投資家から資金を集めて運用することにより効率がアップするため、少額からはじめられることはメリットと言えるでしょう。
最近では勤務先の給与やボーナスから天引きするタイプの「職場積立NISA」という商品も登場しています。
老後資金を貯めるには保険をうまく使う
金融機関の資金を預けたり、投資家に自身の資金の運用を任せたりすることに対し、ハードルが高いと感じる人もいるかもしれません。
そんな人は、より気軽にはじめられる貯蓄型の保険を活用するのも良いアイデアと言えます。
例えば、以下のようなイメージに当てはまる場合にも、保険を使った貯蓄が向いていると言えるでしょう。
- 金融機関での資産運用に対し、難しいイメージを持っている
- 保険に加入し、さまざまな保障を受けながらお金を貯めたい
- 自分自身で計画的に貯金することは難しいと感じる
- 支払期限までは払い出し不可という条件下で、確実にお金を貯めたい…など/li>
このようなイメージを抱いている場合には、貯蓄型保険がおすすめです。老後の資金づくりに役立つ保険は、大きく分けて4種類あります。詳しくご紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
1.養老保険
生命保険の一種である養老(ようろう)保険は、貯蓄性が高いタイプの保険です。
保険期間内において死亡保障を受けることができ、さらに満期時には死亡保険金と同額の満期保険金を受け取ることができます。
満期には給付金を受け取ることができるため、老後にまとまった資金を受け取りたい人におすすめの保険と言えるでしょう。
ただし保険料が高い・終身タイプではない・保険の見直しがしにくいなどのデメリットもあります。
2.低解約返戻金型終身保険
終身保険は、死亡保障や高度障害保障が生涯続くことが特徴です。
その中でも低解約返戻金終身保険のメリットは、貯蓄型保険の中でも安価な保険料で加入できるということ。
ただし、早期に解約をすると受け取れる解約返戻金が払込保険料の総額を下回ることがあります。
しかしながら、保険料をなるべく安く抑えたいという人にはおすすめの貯蓄型保険です。
3.変額保険
変額保険は、返戻金の額が変動するタイプの保険です。
保険料は割安で、最低限の死亡保険金が給付されることなどから、老後の資金づくりに活用している人も多いようです。
ただし、返戻金は保険会社の運用次第で増額する場合もありますが、運用不調により減額するリスクがあることも念頭に置いておかなければなりません。
4.個人年金保険
個人年金保険は、老後資金を増やすために作られた保険です。
年金受給時までは死亡保障を受けることも可能ですが、一般的にはそれまで払い込んだ保険料相当額が死亡保険金額となります。
銀行の利率よりも高く、個人年金保険料控除も受けることができます。
だし満期までに解約すると元本割れを起こすデメリットもあります。
まとめ:ゆとりある老後生活を送るために今からできること
老後資金は定年間近にはじめても遅くはありませんが、20~30代のうちに準備をはじめる方が効率良く貯蓄することができおすすめです。
なぜなら老後の生活には想像以上の資金が必要になるためです。
ぜひ将来を見据えて、資金を管理・運用し、老後の資金づくりをはじめてみてください。
また自身で計画的に資産を運用することに不安がある人は、貯蓄型保険に加入するのも良いアイデアです。
明るい老後のための準備をスタートさせましょう。
保険商品のご検討にあたっては、「契約概要」「注意喚起情報」「ご契約のしおり」「約款」などを必ずご覧ください。
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