独身・夫婦の老後資金の目安はいくら?
定年を迎えると、一般的には仕事を辞めて老後を過ごすことになるかと思います。
老後を迎えて大きく変わるのは、年金生活がスタートし、給与ではなく年金をメインに生活していくことでしょう。
今回ご紹介するのは、老後資金として必要な金額の目安についてです。
しっかりと確認して、長生きリスクに備えましょう。
この記事は5分程度で読めます。
目次
老後資金は結局いくらあれば安心?必要額の目安
老後資金はどのくらい必要なのかについて、総務省が発表した「家計調査」をもとに検討していきましょう。
【参考:総務省「家計調査(2019年)」】
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_gaikyo2019.pdf
夫婦ふたりで生活する場合
総務省の家計調査によると、夫婦ふたりで生活する場合に必要なお金は毎月約24万円で、具体的な内訳は以下の通りとなっています。
合計 | 239,948 |
支出項目 | 金額(円) |
食 料 | 66,458 |
住 居 | 13,625 |
光熱・水道 | 19,983 |
家具・家事用品 | 10,100 |
被服及び履 | 6,065 |
保健医療 | 15,759 |
交通・通信 | 28,328 |
教 育 | 20 |
教養娯楽 | 24,804 |
その他の消費支出(交際費など) | 54,806 |
それに対して、1か月の実収入は年金やパートやアルバイト収入を合わせて237,659円となっていますが、そこから税金や社会保険料などが差し引かれ、自由に使えるお金(「可処分所得」といいます)は206,678円になります。
支出:239,948円
また、95歳まで生存した場合の30年間で計算すると、399,240円×30年間=11,977,200円となり、年金以外で少なくとも1千万円以上のお金を準備しなくてはならないことがわかります。
さらに、この金額はあくまでも平均的な家計収支であり、旅行や趣味などを楽しみたい方はもちろんのこと、病気や介護などに費用がかかるようになるとさらに高額な資金が必要になります。
単身で生活する場合
では次に、老後をひとりで暮らす場合の資金について見ていきましょう。
単身世帯では、同調査によると毎月の支出が139,739円で、収入が124,710円ですが税金や社会保険料を差し引いた可処分所得は112,649円となっています。
支出:139,739円
90歳までの25年間の場合は、325,080円×25年間=8,127,000円、
95歳までの30年間の場合は、325,080円×30年間=9,752,400円が不足することになります。
もちろん、旅行などの趣味を充実させたり、老人ホームなどの有料施設に入居したりする場合などは、さらに高額な費用が必要になります。
公的年金だけでいくら不足する?その差を埋める方法
では、公的年金はいくらもらえるのかを確認し生活費がまかなえるかどうかを計算してみましょう。
公的年金はいくらもらえるの?
厚生労働省の「厚生年金保険・国民年金事業の概況(令和元年度)」によると、老齢基礎年金と厚生老齢年金の平均受給額は以下の通りとなっています。
年金の種類 | 平均年金受給額(月額) |
老齢基礎年金 | 55,946円 |
老齢厚生年金 | 144,268円 |
参考:厚生労働省「令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
老齢基礎年金の平均受給額は月額55,946円なので、年額では671,352円となり、老齢厚生年金は月額144,268円なので、年額は1,731,216円です。
現役時代に自営業や個人事業主などで国民年金のみの加入だったは、方老後に受け取れる年金は老齢基礎年金のみとなるため、年額で約67万円程になります。
一方、会社員や公務員など厚生年金に加入していた方は、老齢厚生年金を受け取るため、年額で約173万円を受け取れることになります。
世帯ケース別の収支
老後の世帯構成によって、生活費にどのくらいの不足金が出るのかを計算してみましょう。
世帯構成は、①夫婦共働き②夫のみが働いていた場合③夫婦共に自営業④単身者の4つのケースで確認していきます。
夫婦共働きだった場合
夫婦共に共働きだった場合は、ふたりとも老齢厚生年金が受け取れるので、
月額144,268円×2人分=288,536円
前章でご紹介した通り、夫婦ふたりの生活費は平均239,948円ということなので、共働き世帯では赤字が出る心配はほぼないといえます。
夫のみが働いていた場合
夫のみが会社員として働き厚生年金に加入していた場合、夫婦の公的年金額は、
144,268円(夫)+55,946円(妻)=200,214円
したがって、約20万円の公的年金を受け取れることになります。
生活費の平均は239,948円なので、約4万円の赤字が出る可能性があります。
夫婦共に自営業だった場合
夫婦ともに自営業だった場合は、ふたりとも老齢基礎年金のみの受給となるため、
55,946円×2=111,892円
したがって、約11万円の公的年金の受け取りとなります。
夫婦ふたりの平均生活費である239,948円の半分も受給できないことになるため、公的年金以外の方法で老後資金を準備しておく必要があります。
単身者の場合
単身者の場合、平均生活費は139,739円なので、老齢基礎年金の場合は約8万4,000円の不足、老齢厚生年金の場合は5,000円ほど余裕がある計算になります。
老後資金の不足分を埋めるために
世帯ケース別に試算したように、夫婦共働き以外は毎月の生活費が赤字になる可能性が高くなります。
生活費の赤字分を埋めるためには、以下のような方法があります。
- 余剰資金を運用する
- 定期預金や積立定期預金をする
- 個人年金保険などに加入する
- iDeCo(個人型確定拠出年金)に加入する など
この中でもおすすめの方法は、個人年金保険などの保険商品を活用する方法と、iDeCo(個人型確定拠出年金)に加入して老後資金を準備する方法です。
長生きリスクを回避するために考えておきたい保険
長生きすればするほどお金がかかる長生きリスクですが、老後資金に備えることが可能な各種保険をチェックしてみましょう。
年金受け取り額をアップ!個人年金保険
万が一年金受取人が亡くなった場合、払い込み済みの保険料は死亡給付金として遺族に支払われることとなります。
貯蓄型医療保険
医療保険に加えて貯蓄の側面もあるのが、貯蓄型医療保険です。
また、年末調整で控除が受けられるのが大きなメリットです。
ただし、掛け捨ての医療保険に比べると毎月の保険料が割高になるケースが多いため、家計における保険料のバランスを考えて契約する必要があるでしょう。
貯蓄型でないと蓄えていけないので、どの保険会社の商品であれば有用かは専門家に相談するのが一番手っ取り早いかもしれません。
健康増進への取り組みをサポートする医療保険
老後を楽しく過ごすための最重要課題が健康増進や予防医学です。
その流れを受けて登場しているのが、保険加入者が疾病のリスクを減らすことに着目した保険です。
ポイント数によって保険料の軽減や割引サービス、キャッシュバックなどがあり、健康な人ほど得をする仕組みがあります。
これらを活用し、老後を楽しく過ごす準備をすることも必要でしょう。
保険以外で老後資金を準備する方法
生命保険の他にも、iDeCo(イデコ)やつみたてNISA(ニーサ)をはじめとする様々な方法で老後資金を準備が可能です。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
毎月、厚生年金に加入しているかどうかなどで異なる限度額まで積み立てることができ、出したお金は所得控除にできるため、節税効果を得ながら老後資金の準備ができます。
掛け金は、iDeCo口座内で自分が選んだ金融商品に投資します。
運用益は非課税のため、有利に運用できますが、一度出したお金は60歳以降になるまで引き出すことができない点は注意が必要でしょう。
つみたてNISA
ひとり一口座だけ持つことができます。
つみたてNISA口座内の投資信託は、その運用益・譲渡益が非課税になるため、有利に運用できます。
証券会社ごとに一定の基準をクリアした投資信託だけを購入できますが、比較的安全性が高く、長期投資に向いた銘柄だけが選ばれています。
定年後に働く
老後資金づくりにおいて、ある意味でもっとも効果的なのが「収入を増やすこと」です。
ただし、年金を受け取りながら働く場合、給与と年金の合計額が一定以上になると、在職老齢年金という仕組みにより、年金額が減額調整されますので注意が必要です。
固定費を見直す
生活費を節約して支出を減らすことは大切ですが、ムリやがまんを重ねるのも考えものです。
支出を減らしたいときは、「節約をがんばる」よりは、固定費の見直しを行いましょう。
定期的に生じる出費は、少しでも減らすことができれば、その後継続して効果が出るため、一度の見直しで大きな効果があります。
- 水光熱費
- 通信費(携帯電話料金など)
- 保険料
- サブスクリプションサービスの料金
小規模企業共済
小規模企業共済は、個人事業主や中小企業の経営者が、自身の退職金にあたるお金を積み立てるための制度です。
月額1000円~70000円の範囲で掛け金を積み立て、この掛け金はiDeCo同様、所得控除とすることができます。
積み立てたお金は、将来、退職や廃業の際に、一時金または年金として受け取ることができます。
生活費以外に必要な出費を考える
必要最小限の生活費以外に必要となる出費について考えてみましょう。
詳しく確認しましょう。
生活費以外にかかる住居費
住居に関する費用は、世帯により大きな差があるところです。
住宅を購入する年齢の平均は40歳前後と言われており、持ち家の場合、定年後にも住宅ローンが残っている世帯も少なくないようです。
また、住んでいるのが賃貸住宅の場合、老後も変わらず家賃を支払い続ける必要があるでしょう。
さらに、年齢を重ねていくにつれ、体の自由がきかなくなることも考えられます。
手すりをつける、段差をなくすなど、住みやすいようにリフォームする必要があるかもしれません。
老後にも必要な税金
老後にも税金の支払いはあります。
土地や自動車を保有している場合、毎年固定資産税や自動車税が必要になるでしょう。
また、退職金にも所得税と住民税がかかります。
所得税の場合、支払いは退職年度となり給与から差し引かれることとなりますが、住民税は退職の翌年の支払いになるため、確定申告して直接の支払いとなることも念頭に置いておきましょう。
より身近になる医療費
退職後は健康保険に自分で加入し、保険料を納めていくこととなります。
住んでいる場所や加入する保険組合により保険料は異なりますが、きちんと考慮しておかなくてはなりません。
また、若い世代よりも医療機関にかかる可能性も高まるため、思ったよりも医療費がかさむ可能性も十分あり、また定年後にも支払いの続く生命保険や医療保険を契約しているなら、保険料の支払いも継続します。
親や配偶者の介護が発生した場合、介護費用の負担もあるかもしれません。
介護は受給するサービスの種類や介護が必要な期間によっても差がありますが、場合によっては月に20万円程度必要になることもあります。きちんと確保しておく必要があるでしょう。
ゆとりのある老後資金に必要な金額の目安は?
平成28年度に生命保険文化センターの行った調査によると、「ゆとりのある老後生活費」として必要なお金の目安はひと月あたり14.3万円という結果になりました。
これは日常生活費とは別のため、20万円前後の生活費に加えると、老後資金の目安は月35万円以上のお金がかかることとなります。
ゆとりのある老後資金には、最低日常生活費に加えて以下の費用が挙げられます。
- 旅行やレジャー
- 趣味や教養
- 日常生活品の充実
まとめ
人生100年時代に突入した現在、老後は人生におけるセカンドシーズンとして、長い目で見た対策が必要になっています。
老後資金として必要なお金の目安をきちんと把握し、足りない部分をどう補っていくかを考えておくことが大切です。
保険の見直しも、老後資金の確保に有効な手段です。自分にとってベストな老後資金の貯め方を模索していきましょう。
保険商品のご検討にあたっては、「契約概要」「注意喚起情報」「ご契約のしおり」「約款」などを必ずご覧ください。
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