独身男性・女性の老後資金を徹底シミュレーション!有効な貯蓄方法や保険も紹介します

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目次
独身の方が必要な老後資金の目安とは
老後30年間に必要な生活費はいくら?
まずは生活費にはどのくらいの費用がかかるのか、総務省の「家計調査報告(家計収支編)2018年(平成30年)Ⅱ 総世帯及び単身世帯の家計収支」を参考にしてみていきましょう。
1か月の平均収入は約11万円
まずは1か月の収入金額について確認していきます。
収入は、実際に自由に使えるお金と考えると、「可処分所得」で考える必要があります。
家計調査報告によると、高齢独身者の実収入は123,325円ですが、そこから税金や社会保険料で12,392円が差し引かれるため、可処分所得は110,933円になります。
1か月の平均支出は約15万円
では次に1か月の支出金額について見ていきましょう。1か月の支出項目ごとの平均支出を以下にまとめました。
支出項目 | 支出金額(円) |
合計 | 149,603 |
食料 | 36,378 |
住居 | 18,268 |
光熱・水道 | 13,109 |
家具・家事用品 | 4,780 |
被服及び履物 | 3,766 |
保険医療 | 8,286 |
交通・通信 | 14,405 |
教育 | 0 |
教養娯楽 | 17,082 |
その他(交際費・諸雑費など) | 33,529 |
1か月あたり約4万円の赤字
1か月あたりの平均収入が約11万円、平均支出が約15万円なので、毎月約4万円の赤字となります。
60歳から90歳までの30年間、毎月4万円ずつの赤字を出す場合、1,440万円の資金が不足してしまいます。
参考:総務省「家計調査報告(家計収支編)2018年(平成30年)Ⅱ 総世帯及び単身世帯の家計収支」
介護費用や葬儀費用はいくら?
老後資金に必要なのは生活費以外にも、介護費用や葬儀費用などもあります。
具体的にどのくらいの費用がかかるのか確認していきましょう。
介護費用は1か月約8万円必要
生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」には、過去3年間に高齢で要介護状態の方を介護した経験がある方への調査結果が掲載されています。
介護経験者によると、介護期間は平均で54.5か月(4年7か月)で、「4年から10年未満」が28.3%と最も多く、次いで「2~3年未満」と「3~4年未満」がともに14.5%となっています。
また、介護に要した費用は、介護ベッドなどの購入や住宅の改築などの一時的な費用で平均69万円かかっています。
1か月あたりの介護費用は平均7.8万円で、「15万円以上」が15.8%と最も多く、次いで「5万~7万5千円未満」15.2%、「1万~2万5千円未満」15.1%となっています。
介護期間は平均54.5か月という調査結果となっているので、計算すると
介護費用=初期費用70万円+(7.8万円×54.5か月)=495万1,000円
介護費用には、約500万円が必要になる計算となります。
参考:生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査/平成30年度」
葬儀費用は約200万円
葬儀費用は地域によっても相場が異なりますし、ご自身がどのような葬儀にしたいのかによっても異なります。
日本消費者協会では「葬儀についてのアンケート調査」を行っており、葬儀費用の平均額は約195万円と発表しています。
老後資金には約2,200万円必要
以上から、高齢独身者の老後資金には以下の費用が必要になることがわかります。
- 生活費:1,500万円 介護費用:約500万円 葬儀費用:約200万円
合計で約2,200円の老後資金が必要になります。
もちろん、状況に応じて金額は異なりますので、あくまでも目安として参考にして下さい。
老後資金の必要額 計算方法
ここでは、以下と仮定した場合、老後資金として必要な額及び老後収入はいったいどれくらいなのか、計算していきます。
- 30代独身
- 賃貸住宅暮らし
- 65歳で退職
- 退職金2,500万円
- 85歳まで生きる
①生活費
まず、最も必要とも言える生活費。
独身者の生活費は、高齢無職夫婦の中でも最も支出の多い、60~64歳夫婦無職世帯の平均支出額である27万円の80%と計算します。
その結果、月の支出は21万6000円となります。
月々21万6000円の支出を、65歳から85歳までの20年間続けるために必要な生活費は、21万6000円×12ヶ月×20年=5,184万2000円です。
つまり、生活費は約5,200万円必要である、という計算になります。
②その他資金
続いて、その他の資金は以下のように考えます。
項目 | 金額 |
趣味・レジャー関連 | 500万円 |
車関係(保険、買い替え等) | 300万円 |
医療・介護費用 | 300万円 |
予備費 | 300万円 |
総額 | 1,400万円 |
①生活費5200万円+②その他資金1400万円=6,600万円
退職後の収入
続いて、独身者の退職後の収入を考えてみましょう。
公的年金は(老齢基礎年金+老齢厚生年金)×12ヶ月×20年で計算すると、(6万5000円+10万円)×12×20=3,960万円となります。
この計算式にあてはめると、退職後の収入は退職金2,500万円+公的年金3,960万円=6,460万円です。
退職後の支出から退職後の収入を引いた額が独身の老後資金として必要な額となるので、6,600万円-6,460万円=140万円。
つまり、独身者の必要な老後資金は140万円という計算になります。
この計算式は、現在の年金の給付水準をベースとして計算しています。
将来、給付額が減少してしまうと、その分老後資金に上乗せされます。
さらに、退職金を2,500万円と仮定して計算していますので、退職金がこれよりも少ない場合、もしくはまったくもらえない場合も想定しなければなりません。
より安心して老後を迎えたい場合は、やはり早めに老後資金を予測し、貯蓄していくことが大切です。
独身男性と独身女性の老後資金はいくら違う?それぞれを計算
さて、ひとくちに老後資金といっても、独身男性と独身女性によって、その金額は大きく異なってきます。
ここでは、独身男性と独身女性、それぞれに必要な老後資金はいったいいくらなのかを計算しましょう。
独身男性に必要な老後資金
前述した通り、総務省が実施した平成30年度の家計調査報告書によると、独身世帯の消費支出は約14万円です。
月々14万円を年間にすると、168万円。
退職を65歳と仮定し、なおかつ男性の平均寿命である81歳までの支出額を計算すれば、16年間で2,688万円。
しかし、家計調査報告書に記載されている支出の内訳を見てみると、住居費が約1万3000円とかなり低くなっています。
これは、調査対象の中に持ち家に住んでいる人が多いからだ、と考えられるでしょう。
もし、住居費が1万3000円を上回る場合は、その分を上乗せして老後資金を見積もる必要があります。
仮に6万3000円の賃貸住宅に住み続けるとしたら、住居費の平均値とは5万円の差額が発生します。と言うことは、老後資金も5万円×12ヶ月×16年=960万円追加で必要になるのです。
次に、老後に予想される収入の目安を考えましょう。
老後の収入は公的年金と労働収入が二本の柱となりますが、ここでは収入を公的年金のみに絞って計算していきます。
老後もらえる公的年金は、国民年金と厚生年金の2種類です。
どちらも年金を納めていた期間によって受給額が変わります。
また、厚生年金は公務員や会社員だった人がもらえるもので、受給額は平均年収を元に決定されます。
自営業者をはじめとする第1号被保険者とよばれる方たちは、厚生年金は受け取れないので注意が必要です。
2017年の支給額を元に試算してみると、勤続年数が40年かつ平均月収30万円の会社員の場合は65歳より、国民年金及び厚生年金合わせて年間156万円(月額にすると約13万円)が支給されます。
支給額から社会保険料や税金として10%を差し引いた額である約140万円が自分のために使える金額だと仮定すると、年金支給が始まる65歳から男性の平均寿命である81歳までの16年分にあたる2,240万円が、公的収入の目安です。
先ほど資産した支出(持ち家の場合2,700万円、賃貸住宅の場合3,660万円)から公的収入である2,240万円を引いた額が独身男性の老後資金である、と考えるとよいでしょう。
しかし、この計算額はあくまでも「仮定」であり、実際の収入や支出は生活環境や勤務状況、寿命によって大きく異なります。
さらに、物価の上昇、社会保障制度の変化などもこの先起こらないとは限りません。
独身女性に必要な老後資金
独身男性の老後資金に続いて、独身女性は老後資金がいったいいくらくらい必要なのかをシミュレーションしていきましょう。
総務省が行った2018年度の家計調査によると、65歳上の独身女性の1ヶ月の消費支出は約15万円です。
この消費支出の中には、食費や光熱費、医療費、被服費などが含まれています。
しかし、内訳を見てみると、「家賃・地代」いわゆる住居費が約5,000円しかありません。
これはアンケート対象者のおよそ8割の人が、持ち家に住んでいるためです。
そのため、賃貸に住んでいる人は、家賃も考慮しなければなりません。
つまり、家賃が5万5,000円の賃貸住宅に住んでいる人は、消費支出約15万円に加えて、平均家賃の上乗せ分の5万円をプラスした額、約20万円が1ヶ月の平均支出ということになります。
続いて収入を見てみましょう。
老後の収入の要となる女性の公的年金受給額は、厚生年金が約11万円、国民年金が約5万円です。
これを踏まえて、1年間で受給できる額を考えると厚生年金が約130万円、国民年金が約63万円、合計で約193万円です。
ただし、厚生年金は企業で正社員として働き、なおかつ厚生年金を納めていた人だけが受給できる年金です。
フリーランス、自営業等の人には厚生年金はありませんので注意しましょう。
それでは、支出、収入の平均額を踏まえて、独身女性の老後資金はいったいいくら必要かを計算していきます。
厚生年金の場合
11万円-15万円=-4万円
国民年金の場合
5万円-15万円=-10万円
つまり、厚生年金受給者の場合は月々約4万円、国民年金受給者の場合は約10万円不足する、ということになります。
女性の平均寿命は約87歳ですから、独身女性に必要な65歳から87歳までの22年間の老後資金は、厚生年金の場合
5万円×12ヶ月×22年間=1,320万円
国民年金の場合
10万円×12ヶ月×22年間=2,640万円
です。
加えて、60歳でリタイアした場合、60~65歳の間の老後資金も必要となります。
つまり、
15万円×12ヶ月×5年間=900万円の老後資金を上乗せして準備する必要があるのです。
老後資金の捻出の仕方や貯蓄方法とは
さて、ここで独身の方々が気にあるのは、老後資金をどうやって捻出したらいいのか?どのような貯蓄方法があるのか?ではないでしょうか。
そこで、ここでは独身の方向けの老後資金捻出及び貯蓄方法をご紹介していきます。
老後資金を貯める手段・方法を知る
まず大切なのは、老後資金を貯めるためにどのような手段や方法があるかを知っておくことです。
老後資金を貯める方法は探せばいくらでもあります。
タンス預金はもちろんのこと、銀行に預ける方法、株や投資信託などの資産運用…。
ひとくちに銀行に預金する、といっても預金金利や普通預金・定期預金外貨預金など、さまざまな預金の方法があります。
一般的に、夫婦世帯、独身世帯限らず老後資金を捻出するには時間がかかります。
そのため、少しでも自分に有利な条件でお金を貯めるように情報収集しておくことは、とても重要です。
タイミングを見てお金を貯める
老後資金作りは、10年単位の長い付き合いが必要になります。
長い人生、転職、怪我、病気など、何が起こるかわかりませんし、そのたびに予想外の出費が必要になります。
独身の人が老後資金を作るためには、まず「老後資金を貯めるべきとき」「老後資金以外の資金も貯めるべきとき」のタイミングを上手く見極めることが大切です。
昇給、昇格のタイミングが来たら積立金額を増やす、ボーナスが多めに出たら多めに貯蓄に回すなども重要です。
人生には波があるように老後資金作りにも波があるもの。
生命保険、個人年金保険、外貨建て保険を活用しよう
老後資金は早めに貯めた方がいい、とわかっていてもなかなか実行に移せない人も多いことでしょう。
特に独身の場合、どうしてもレジャーや趣味にお金をつぎ込んでしまい、なかなか老後資金にまで給料を回せない、という人も少なくないようです。
ここでは実際に、老後資金形成に活用できる貯蓄性のある保険を3つご紹介しましょう。
生命保険
生命保険の中でも、終身保険は保障が一生続く保険です。
解約すれば解約返戻金を受け取ることができるため、貯蓄性が高いと言われています。
一般的に、加入期間が長ければ長いほど返戻金額が大きくなります。
終身保険の中でも一括で保険料を払う商品を一時払い終身保険と言います。
通常、月払い及び年払いで支払う保険料をまとめて支払うため、保険料が安くなる上に通常の終身保険よりも早期のタイミングで保険料を上回る返戻金を受け取ることが可能になります。
個人年金保険
基本的に、公的年金と同様に保険料の積み立てが終了したら一定額の年金を10~15年に渡り受け取ることができる保険です。
個人年金保険には、払い込んだ保険料を外貨で運用するタイプの「外貨建て個人年金保険」もあります。
現時点では、日本で運用するよりも利回りがよい傾向です。
ただし、為替の相場変動による影響を受けることがあるので注意が必要です。
生命保険以外で老後資金を準備する方法
生命保険のほかに老後資金準備に適した方法はなにがあるでしょうか。
老後資金は必要になる時期まで長い時間をかけて貯めることができるので、積み立て形式で準備するのが向いていると言えます。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
「iDeCo(イデコ)」は、自分で将来の年金を準備するための積立投資の仕組みです。
企業が企業年金制度として仕組みを導入していることもありますが、制度のない会社に勤務している人や自営業の人であっても個人型を利用できます。
証券会社で専用の口座を開いたら、用意されている商品を自分で選び、積み立て形式で購入していきます。
10年以上利用すれば、60歳以降に年金または一時金として受け取ることができます。
選べる商品は、投資信託が中心ですが、預金や保険を選ぶことも可能です。
積立期間中に生じた運用益などはすべて非課税で、掛け金は全額が所得控除にできますので、節税効果があるのもメリットです。
反面、一度積み立てた掛け金は、60歳以降に受け取る以外には引き出すことができない点に注意が必要です。
つみたてNISA
証券会社に専用の口座を開き、積み立て購入するという点はiDeCoと同じですが、iDeCoとは違って、途中で解約することが可能です。
所得控除には使えないため、iDeCoほどの節税効果はありませんが、購入した投資信託の運用益・売却益は非課税です。
購入できる投資信託は自分で選びますが、比較的、長期投資に向いた安全性の高い商品がリストアップされているので、これから投資を始めるには良い制度でしょう。
預貯金の自動積立
たとえ利率が低くても、何もしないよりははるかに良いと言えます。
このとき、おすすめしたいのが「自動的に天引きで積み立てされる仕組み」にすることです。
意識的に貯蓄をするのは手間もかかりますし、つい使ってしまったりして、なかなか貯まりません。
利用している銀行で自動積立の制度があればぜひ検討してください。
もし、勤務先が財形貯蓄の制度を導入していれば、財形年金貯蓄もおすすめです。
給与から天引きで積み立てされ、将来、年金として受け取ることができます。
預貯金は利息に課税されますが、財形年金貯蓄は非課税です。
まとめ
独身の人たちにとって、老後資金の捻出は非常に悩ましい問題のひとつです。
将来が不安だけれど、どのように老後資金を貯めたらいいのかわからない…と思っている独身の人も多いはずです。
そんな独身の人たちにおすすめなのが保険を活用した老後資金の形成方法。
最近ではさまざまなニーズに合わせた保険商品もたくさん登場しています。自分に合った商品はどれか、早めに情報収集することがポイントです。
保険商品のご検討にあたっては、「契約概要」「注意喚起情報」「ご契約のしおり」「約款」などを必ずご覧ください。
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