万が一の入院費用の相場はどれくらい?早めに知っておきたい知識を解説

突然の事故や災害によって、入院をともなう伴うような怪我・病気をしてしまう可能性は誰にでもあります。
数日程度の入院で済むこともあれば、数か月にわたって入院が必要になることもあるでしょう。
長期入院の場合、1番気になるのは費用の問題ではないでしょうか。
ここでは、入院費用の相場と、お金が払えない場合に活用したい医療制度についてご紹介。
全体の相場と1日あたりの相場を確認し、どのような費用がいくらぐらいかかるのかを把握しておくと、いざという時でも安心です。
費用の相場観を知り、支払いの際に困ることがないよう備えておきましょう。
1日あたりの入院費用の相場はいくら?
入院にかかる費用相場は、怪我や病気の度合いによって異なります。
とは言え、おおよその相場観は知っておきたいところですよね。
まずは、生命保険文化センターが行った調査データ(https://www.jili.or.jp/research/report/chousa10th.html)に基づいて、入院費用の相場を見ていきましょう。
入院時の自己負担額相場は約20.8万円
令和元年の調査では、入院にかかった費用の自己負担額の相場は約20.8万円という結果でした。
全体の約3割が10万円~20万円と回答しています。
30万円以内と回答した人も含めると約7割となり、大抵の場合は30万円以内で収まることが分かります。
入院日数や治療内容によってかかる費用はもちろん変化しますが、全体の相場として約20万円程度と覚えておくと良いでしょう。
実際に入院した場合にかかった費用が、相場と比べて高いかどうかを検討する際の参考になるはずです。
この20万円という費用相場の中には、入院基本料の他にも食事代や差額ベッド代、入院中に必要な日用品費なども含まれています。
入院費用は保険が適用できますが、食事代や差額ベッド代は原則自己負担となります。
費用を相場よりも安くしたい場合は、大部屋を選んだり日用品を節約したりすることがポイントです。
入院時の1日あたりの自己負担額相場は約23,000円
続いて、入院費用を1日あたりで計算した場合の相場を見ていきましょう。
自己負担額を入院日数で割ると、1日あたりの相場は約23,000円となります。
割合としては10,000円~15,000円未満が約3割と最も高く、次いで20,000円~30,000円未満と回答した方が約2割となりました。
入院基本料や差額ベッド代は病院によって異なるため、一概にお伝えすることはできません。
一般的に、大部屋ではなく個室を選択した場合、相場として約7,000円~8,000円が追加でかかると考えておきましょう。
食事代は一食あたり一律460円となっています。(特定の条件に該当する場合や特別食の場合は料金が変動)
入院時の入院日数の相場平均 は約15.7日
令和元年のデータでは、直近の入院における入院日数の相場平均 は約15.7日となっていました。
一週間以内の割合が約5割、二週間以内の割合が約3割という内訳です。
医療技術の進化 進歩などにより、入院日数の相場 平均は年々短くなっていく傾向にあります。
また長期入院患者からの診療報酬を少なくするという国の政策もあり、経済的な理由から長期入院を抑制する動きが病院側にあることも一因です。
忘れてはいけない「逸失利益(いっしつりえき)」
逸失 利益とは、本来得られるはずだったものの、怪我や病気で得られなくなった利益・収入のことです。
会社員であれば有給休暇を利用したり、会社からの手当金を受けたりしてまかなうことができますが、自営業の場合はそうした保障がありません。
入院期間が長引くほど、その期間で失った収入は大きくなります。
目に見える出費だけでなく、入院中の収入減についてもきちんと向き合うことが大切です。
年齢や働き方にもよりますが、相場として5万円~20万円程度の逸失利益が発生すると考えておいてください。
公的医療制度と自己負担金額
入院費用の相場が分かったところで、より自己負担額を抑えるために知っておきたい制度について見ていきましょう。
ここでは、入院費用の自己負担額を軽減する際に役立つ公的補助制度を5つご紹介。
医療費の金額や働き方によって適用できる制度が変わってくるので、それぞれの仕組みと条件を理解して、自分が使える制度を把握しておきましょう。
高額療養費制度
高額療養費制度とは、医療費の自己負担額が上限を上回った場合に、超過した分について払い戻しを受けられる制度のことです。
通常、保険が適用される場合は医療費の3割を負担するだけで良いとされています。(70歳未満の場合)
しかし入院期間や治療内容によっては、保険を適用していても負担額が高額になる可能性があります。
そのため、所得や年齢に応じて支払う医療費に上限を設け、負担がかかり過ぎないように調整が行われているのです。
高額療養費制度の申請を行うと、1か月単位で上限を超えた医療費を戻してもらうことができます。
ただし、申請してから返金が受けられるまでには数か月かかる点に注意。
またあくまでも「払い戻し」のため、いったん 一旦は自分で建て替え払いをしなくてはいけません。
高額療養費貸付制度
高額療養費貸付制度とは、高額療養費として払い戻される金額の8割(国民健康保険の場合は9割)を無利子で貸し付けてもらえる制度のことです。
建て替え払いが難しい場合に活用したい制度となっています。
高額療養費貸付制度なら申請から2~3週間程度でお金を受け取ることができますし、利息もかかりません。
融資やローン組みと比べてリスクがないため、お金が用意できない場合はこちらを利用してみてくださいね。
高額療養費貸付制度を利用した場合、高額療養費制度で払い戻される金額は差額分のみとなります。
公的な健康保険に加入している方であれば利用できる制度ですので、覚えておくと良いでしょう。
医療費控除
医療費控除とは、1年間で支払った医療費の総額が10万円(所得が200万円未満の人は所得の5%)以上の場合に控除が受けられる仕組みのことです。
年末調整では適用できないため、会社員の方であっても確定申告が必要となります。
パートナーや子供など家族の医療費を全て合計できる他、保険よりも対象範囲が広いのが特徴です。
医療費控除の対象となる費用には以下のようなものがあります。
- 入院費用
- 診療代や処置料金
- 骨折の際の松葉杖など医療器具代
- 入院中の食事代(外食は除く)
- 通院で利用した公共交通機関の料金
- 妊娠・出産に係る費用
- 虫歯の治療費 など
また、以下のようなものは医療費控除の対象となりません。
- 美容目的の脱毛や歯列矯正
- 予防注射
- 定期健康診断や人間ドック
- 通院で利用した自家用車のガソリン代・駐車代
- 健康増進のために購入した医薬品 など
傷病手当金
傷病手当金とは、怪我や病気で長期にわたって会社を休んだ場合に支給される給付金のことです。
会社から支給されるお金のため、自営業の方など国民健康保険に加入している方は対象外となります。
傷病手当金では、毎月受け取っている給与額の3分の2を日割りで計算した金額が支給されます。
対象となる期間は会社を休んで4日目から、最長で1年6か月までとなっています。
申請する際には医師の診断書などが必要になる他、特定の条件に該当する場合は金額が異なるので注意が必要です。
一部負担金減免制度
一部負担金免除制度とは、特別な理由によって生活が困難と判断された場合に、窓口での支払額が軽減される制度のことです。
災害によって世帯主が死亡または障害を患った場合、また事業の廃止や失業を余儀なくされ著しい収入減が起きた場合などに認められます。
免除額は最大で10割となっており、医療費を払う余裕が一切ないという状態でも治療が受けられます。
ただし免除される期間は原則3か月で、その後はこれまで通りの自己負担が必要です。
最大6か月までは延長ができるため、3か月経過後も支払いが難しい場合は役所の保険年金課へ相談してみましょう。
負担を減らすためのポイント
上記の公的補助制度を活用する以外にも、自分自身で負担額を節約する方法があります。
ちょっとした手続きの違いで入院費用が大きく変わることがあるので覚えておきましょう。
差額ベッド代の負担について
差額ベッド代とは、入院の際に大部屋ではなく個室を選択した場合にかかる追加の室料のことです。
病院によって値段は異なりますが、相場としては1日7,000円~8,000円と言われています。
通常、差額ベッド代は保険適用外のため全額自己負担が必要ですが、手続き次第では保険を適用できるケースがあります。
個室の選択が自分の意思によるものかどうかが保険適用の有無を判断するポイントです。
差額ベッド代の自己負担が必要なケースとしては以下の2種類が挙げられます。
- 自ら個室を希望した場合
- 同意書にサインをした場合
一方、以下のようなケースでは差額ベッド代を支払わなくて済む可能性があります。
- 治療上の理由により病院側が個室をすすめた場合
- 大部屋に空きがないなどの理由でやむを得ず個室になった場合
- 同意書にサインをしていない場合
感染症を患っているなど、大部屋での入院にリスクがある場合は保険適用内で個室利用が可能です。
中には詳しい説明を行わないまま、自分の意思でないにもかかわらず同意書へのサインを促す病院もあります。
トラブルを防ぐためにも、事前に病院側と相談しておくことをおすすめします。
月またぎでの入院について
たとえ数日であっても、入院期間が月をまたぐ場合は注意が必要。
先ほど紹介した高額療養費制度は、1か月単位で金額の計算を行います。
合計では上限額を超えている場合でも、各月で見ると限度額に収まっているということであれば、払い戻しは受けられません。
入院期間が月をまたぐ場合は、費用を請求するタイミングを調整できないかどうか、病院側に相談してみると良いでしょう。
入院費用が払えない場合の対処法
入院費用が払えないとなった場合、病院側から以下のような措置をとられる可能性があります。
退院・転院をすすめられる
入院費用が払えない場合は、早期の退院や別の病院への転院をすすめられます。
入院しているだけだとしても日々の室料などは発生するため、必要なお金が払えない人をいつまでもおいておくわけにはいかないのです。
保証人や保険者に請求が移る
本人が費用を払えない場合、保証人や保険者に費用の請求が届きます。
自分が入院したり治療を受けたりしているわけでなくても、保証人となっている以上は支払いを代わらなければいけません。
裁判・財産の差し押さえ
入院費用を払うだけの財産があるにもかかわらず、意図的に費用を払っていない場合は裁判などに発展する可能性があります。
特にわざとお金を払っていないようなケースでは、裁判で勝てることはまずありません。
このようなトラブルを避けるためにも、先ほどご紹介した公的補助制度の活用は非常におすすめです。
また病院によっては分割払いやクレジットカード決済に対応してもらえることも。
一括で支払うことが難しいようであれば、分割払いができるよう病院側に相談してみると良いでしょう。
相場が高いと感じた方は医療保険の検討を
自己負担額の相場に対して、思っていたよりも高いと感じた方は、民間の医療保険を活用することも検討してみましょう。
民間の医療保険はサポート内容や支給額によって実に様々な商品が展開されています。
自分が必要とする保障内容が組み込まれたプランを選択できるよう、複数の保険商品を比較検討することが大切です。
例えば、医療費の自己負担額については高額療養費制度や医療費控除を活用することでほぼまかなうことができます。
これらの保障と内容が重複しているような保険に加入しても、あまりメリットを得られないでしょう。
先進医療の費用や日用品費用など、公的な健康保険や補助制度でカバーできていない部分に対応した商品を選ぶのがおすすめです。
また自営業の方であれば、逸失利益を考えた医療保険を利用するのも1つの方法です。
入院期間中に失った収入を補填してくれるようなプランを探してみるのも良いでしょう。
公的補助制度と組み合わせた際にきちんと効果を発揮する医療保険 を見極めることが重要となります。
まとめ
- 一回の入院でかかる入院費用全体の相場は約20万円
- 1日あたりの相場で見ると約15万円
- 入院期間が短くなったことで費用の相場は年々低下している
費用の相場は年々安くなっていく傾向にありますが、それでも家計に与えるダメージは少なくありません。
もしもの時に支払いで困ることがないよう、受けられる補助や自分自身でできる対策などをきちんと理解しておきましょう。
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