いざという時に知っておきたい入院費用が払えない時の頼れる公的制度

自分は大丈夫と思っていても、ある日突然怪我や病気に見舞われる可能性はゼロではありません。
ここでは、入院費用が払えない場合に起こりうるトラブルと、自己負担額を抑えるために有効な保障制度について解説しています。
目次
入院費用が払えない場合はどうなる?
まずは、入院費用が払えない場合、どのようなことになるのかを見ていきましょう。
1. 支払いの催促がある
入院費用の支払いをする期日までに支払いがなされない場合、入院している病院から電話や文書によって支払いの催促の連絡があります。
また、場合によっては患者の家まで直接訪問して催促をすることもあります。
もし「催告書」が送付された場合は、病院側が「訴訟を起こす意志がある」ことを意味し、催促状の送付日から6か月以内に裁判手続きをとった場合は時効が成立しなくなってしまいます。
訴訟を起こされてしまうと、家や車などを処分され入院費用に充てられることになります。
2. 身元保証人や保険者への請求がある
病院に入院する際には必要書類を提出することになりますが、その中には「身元保証人」を記入する欄があり、本人が入院費を支払えない場合、その身元保証人や保険者に請求が行くことになります。
そのため、状況によっては、身元保証人になってくれた方との今後の関係性にも影響が出てしまうかもしれません。
ちなみに、身元保証人は法律で決められた制度ではありませんが、病院が入院を引き受ける際には必ずといっていいほど指定を求められ、以下のような重い責任があります。
- 入院費用などの金銭の保証
- 退院や転院の手続き
- 死亡した場合の身柄引受
- 本人が意思表示できない場合の判断 など
3. 財産の差し押さえ
本人も保証人も病院からの請求に応じない、または支払えないといった場合は、財産の差し押さえをされることになります。
具体的には、お給料や金融機関の預貯金、解約返戻金のある保険などが対象となります。
また、お給料の差し押さえの場合は、「従業員(入院費用を滞納している人)が会社に対する『給料』という債権を持っている」ことになるため、その債権を差し押さえるためには勤務先への連絡が必要となり、入院費用を滞納していることが会社にバレてしまいます。
4. 退院や転院を勧告される
病院側からの度重なる請求にかたくなに応じない場合、退院や転院を勧められることも考えられます。
入院費用を未納している間も費用は1日ごとに発生し、病院が回収できないリスクが日に日に大きくなっていくためです。
とはいえ、即刻退院といった対応を求められるわけではなく、ある程度の猶予期間が設けられることが多いでしょう。
必ず知っておきたい高額療養費制度
ここからは、入院費用が払えないという事態を避けるために知っておきたい制度をご紹介します。
はじめに、支払った医療費の一部について払い戻しを受けられる「高額療養費制度」を見ていきましょう。
高額療養費制度とは
通常、医療費の自己負担額は3割となっており、あらかじめ負担を軽減する仕組み作りがされています。
高額療養費制度を活用すれば、医療費が自己負担限度額を超えてしまった場合に、超えた分の費用を払い戻してもらうことができるのです。
ただし、あくまでも「払い戻し」という形になるので、いったんは自分自身で入院費用を支払う必要があります。
また返金されるまでに数カ月かかることも多いため、すぐにお金が戻るわけではない点に注意しましょう。
高額療養費制度の対象者
高額療養費制度を適用するには、公的な健康保険に加入していることが条件となります。
また、扶養家族の方も対象に含まれます。
医療費に含まれないもの
以下の費用は高額療養費制度の計算に含めることができません。
- 入院中の食費
- 個室を選択した場合の室料差額
- 先進医療など一部の治療
これらは医療費として認められないため、全額が自己負担となります。
また、介護保険によるサービスを受けている場合は「高額介護合算療養費制度」を適用できる可能性があります。
介護保険と医療保険の自己負担額を合算し、その金額が一定額を超えている場合に支給が受けられます。
限度額認定証を取得しておくと、会計時の支払いが限度額までで済みます。
一時的に超過分を立て替えて払う必要がなくなるため、負担を抑えたい方はぜひ活用してみてください。
高額療養費制度の申請に必要なもの
高額療養費制度の利用申請をする際には以下の書類が必要です。
- 高額療養費支給申請書
- 医療費の領収書
- 健康保険証
高額療養費の請求期限は2年間となっているので、過去に高額の医療費を支払ったことがある場合は合わせて申請を済ませましょう。
書類の提出先は、会社員の方であれば所属する健康保険組合の窓口、その他の方は市区町村の役場になります。
払えない時に借りられる高額療養費貸付制度
続いて、建て替え分を貸し付けてもらえる「高額療養費貸付制度」を見てみましょう。
高額療養費貸付制度とは
全額をまかなえるわけではありませんが、立て替え払いが難しい場合には非常に有効と言えるでしょう。
申請してから2~3週間程度でお金を受け取ることができる他、金利がかからないという点もメリットの1つです。
ただし、高額療養費貸付制度を利用した場合、前述の高額療養費制度で返ってくるお金は貸付金との差額のみとなる点に注意が必要です。
立て替えができる場合は高額療養費制度、難しい場合は高額療養費貸付制度との組み合わせがおすすめです。
高額療養費貸付制度の対象者
高額療養費貸付制度を適用するには、高額療養費制度と同じく公的な健康保険に加入していることが条件となります。
また、国民健康保険も対象に含まれます。
高額療養費貸付制度の申請に必要なもの
高額療養費貸付制度の利用申請をする際には以下の書類が必要です。
- 高額療養費支給申請書(貸付用)
- 高額医療費貸付金貸付申込書
- 高額医療費貸付金借用書
- 医療機関等の請求書もしくは領収書のコピー
領収書や請求書が必要となるため、失くさないようにきちんと保管しましょう。
書類の提出先も高額療養費制度と同様で、会社員の方であれば所属する健康保険組合の窓口、その他の方は市区町村の役場になります。
会社員の傷病手当金制度・災害と失業時の一部負担金免除制度
会社に勤めている方であれば、会社からの傷病手当金を受け取ることが可能です。
また、自営業の場合は一部負担金免除制度を適用できる場合があります。
それぞれの制度について詳しく見ていきましょう。
傷病手当金とは
会社の健康保険に加入している方のみが対象となるため、国民健康保険の場合は適用できません。
また、保険に加入していない期間の怪我や病気にかかる入院費用は対象外です。
傷病手当金では、給料の3分の2を日割り計算した金額が支給されます。
手当金が支給される期間は、会社を休んで4日目から最長1年6か月までと決まっています。
傷病手当金の申請に必要な書類は以下の通りです。
- 傷病手当金支給申請書
- 医師の診断書
など
この他、妊娠・出産にともなう入院の場合、出産手当金として同様の金額が支払われることがあります。
両方を受け取ることができる状態にある場合は出産手当金が優先されます。
一部負担金減免制度とは
世帯主が災害によって死亡したり障害者になったりした場合、また事業の廃止・失業によって収入が著しく減少した場合などが対象となります。
ただし制度を利用できる期間は原則3か月間と定められており、その後は通常通りの負担が必要です。
状態によっては最大6か月まで延長できるので、医療費が払えない場合は市区町村役場の保険年金課へ相談してみましょう。
一部負担金免除制度の申請に必要な書類は以下の通りです。
- 一部負担金免除・徴収猶予申請書
- 収入申出書
- 家賃証明書
- 通帳の写し
など
一部負担金免除制度は、国民健康保険に加入している方のみが対象となります。
即日適用できるわけではないので、対象者となった場合は早めに手続きを行うようにしましょう。
その他の補助制度
ここまで紹介した補助制度以外にも、低所得者を対象とした無料低額診療事業や、精神的な病気を抱える方に向けた自立支援事業の活用もおすすめです。
また、確定申告で医療費の控除を受けられるケースもあります。
入院費用はいくらかかる?
「入院費用が払えないかもしれない。」という不安を抱えている方の中には、「実際に入院するとなるとどのくらいの費用がかかるのか知りたい。」という方もいるでしょう。
そこで、生命保険文化センターが行った「生活保障に関する調査(令和元年度)」の結果を参考にして、実際に入院した方がいくら入院費用を支払ったのか確認していきましょう。
参考:生命保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査」
入院にかかる費用は平均20.8万円
生命保険文化センターの「令和元年度 生活保障に関する調査」によると、入院経験がある方のうち、直近の入院時に支払った自己負担額は平均20.8万円という結果になっています。
詳しい費用の分布については以下の表をご覧ください。
入院費自己負担額 | 割合 |
5万円未満 | 7.6% |
5~10万円未満 | 25.7% |
10~20万円未満 | 30.6% |
20~30万円未満 | 13.3% |
30~50万円未満 | 11.7% |
50~100万円未満 | 8.4% |
100万円以上 | 2.7% |
最も多い自己負担額は「10~20万円未満」で全体の30.6%となっており、次いで多いのが「5~10万円未満」で25.7%となっています。
つまり、自己負担額「5~20万円未満」の方が全体の半数以上を占めていることがわかります。
1日あたりの自己負担額は平均で23,300円
入院した際の、1日あたりの自己負担額の平均額は23,300円となっています。
費用の詳しい分布は以下の表を参考にしてください。
1日当たりの入院費平均額 | 割合 |
5,000円未満 | 10.6% |
5 ,000~7,000円未満 | 7.6% |
7,000~10,000円未満 | 11.1% |
10,000~15,000円未満 | 24.2% |
15,000~20,000円未満 | 9.0% |
20,000~30,000円未満 | 12.8% |
30,000~40,000円未満 | 8.7% |
40,000円以上 | 16.0% |
なお、これらの費用には治療費のほかにも食事代や差額ベッド代、交通費(見舞いに来る人も含む)、衣類、日用品なども含まれています。
上表からわかるとおり、最も多いのは「10,000~15,000円未満」で24.2%、次いで「40,000円以上」が16.0%、「20,000~30,000円未満」が12.8%となっています。
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入院費用の分割払いは可能?
入院費用の請求は、1か月単位で行われることが多くm1か月以内の入院であれば退院時、長期入院の場合は1か月ごとに支払いが必要になります。
医療費が高額になり、一括では払えないようなケースでは、期日の延長や分割払いに対応してもらえることもあります。
ローンを組むわけではないので、基本的に利息がかかることはないでしょう。
入院費用が払えない場合、融資を受けたりカードローンを組んだりする前に、まずは病院側に掛け合ってみることをおすすめします。
大きな病院の場合は、前述した各保障制度について説明してくれる窓口が設けられていることも少なくありません。
また、入院費用が払えない場合の対応について、相談に乗ってくれるソーシャルワーカーが常駐している病院もあるようです。
費用が払えないからと言ってそのまま踏み倒そうとすると、冒頭でお伝えしたようなトラブルへ発展してしまいます。
まとめ
- 入院費用が払えないと強制退院や裁判などに発展する可能性がある
- 入院費用が払えない場合は公的な制度を利用して補助を受けるのがおすすめ
- 一括で払えない場合、病院によっては分割払いに対応してもらえることも
怪我や病気は誰にでも起こりうるものです。
万が一のときに入院費用が払えないという状態にならないよう、あらかじめ蓄えを用意しておくことが重要。
また自己負担額を最小限に抑えられるよう、自分が活用できる制度について理解しておきましょう。
保険商品のご検討にあたっては、「契約概要」「注意喚起情報」「ご契約のしおり」「約款」などを必ずご覧ください。
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