個人年金保険はデメリットもある!加入前に知っておくべきポイントとは

将来の生活資金を効率良く貯めるために、公的年金保険にプラスして個人年金保険に加入する人が増えています。これは少子高齢社会の影響を受けて、公的年金保険に不安を抱える人が増えていることが背景にあります。
個人年金保険は銀行などの預金と比較すると高い利回りが適用されるので、お金を増やせる可能性がある金融商品で非常にメリットが大きいです。ただ、個人年金保険のメリットには注目が集まっていますが、デメリットについてはあまり触れられないことが多いです。そこで今回は、個人年金保険に加入する前に把握しておくべきデメリットを詳しく解説していきます。
この記事は、次のような人にぴったりの内容になっています。
- 個人年金保険に加入しようと考えている人
- 個人年金保険にデメリットがないのか気になる人
- 将来のために資金計画を立てたい人
個人年金保険の加入を決めている人も、最後の確認としてデメリットを押さえることは大切です。メリットだけでなく、デメリットを把握して納得したうえで個人年金保険に加入することがポイントです。
それでは、個人年金保険のデメリットについて詳しく解説していきます。
目次
個人年金保険は途中解約すると損をする
個人年金保険のデメリットの1つ目は、途中で解約すると損をする可能性があることです。個人年金保険は途中解約すると解約返戻金を受け取れるのですが、戻ってくるお金が払込保険料に比べて少ないのです。
途中解約をしたからといって、必ずしも解約返戻金が払込保険料の元本を割るわけではありませんが、基本的に個人年金保険の解約返戻金は払込保険料よりも少ない額になります。特に保険に加入してから2年~3年以内の解約は返戻率が著しく低く、返戻率が半分を切ることも珍しくありません。
返戻率とは、払込保険料に対して解約返戻金がいくらあるかを表した割合のことです。たとえば、個人年金保険に対して100万円の保険料を支払って途中解約した場合に返戻率が80%であれば、解約返戻金は80万円になります。
個人年金保険の契約期間が2年ほどであれば、返戻率は50%になることもあるのでこのケースであれば、払い込んだ100万円のうち50万円しか手元に返ってこないことになります。
個人年金保険の加入期間が10年以上であれば返戻率が約90%になるものがあります。ただし、いずれの場合も個人年金保険を一度解約すると、将来年金を受け取れなくなることに注意しましょう。
急にお金の入用が発生した場合に、個人年金保険に手を付けなくてもすむ資金計画を立てることが大切です。
また、個人年金保険の解約返戻金自体で損をするだけでなく、お金を受け取るときに税金が発生することがあることも覚えておきましょう。ただでさえ、払込保険料に対して戻ってくるお金が少なくて損しているのにもかかわらず、税金が課されてしまうわけです。
解約返戻金に課される税金を具体的に挙げると、所得税や贈与税があります。保険契約者と受取人が同一であれば所得税がかかり、違っていれば贈与税が発生します。
まずは所得税について説明します。先に紹介した返戻率が100%を超える場合は所得税がかかりますが、その課税方法は次の2種類です。
確定年金を契約してから5年以内に解約した場合 | 源泉分離課税(税率20%) |
上記以外 | 一時所得、総合課税 |
源泉分離課税で税金が徴収されるのは、実質、一時払いの個人年金保険を解約した場合だと言えます。
契約時点で受取年金額が決められている確定年金を契約してから5年以内に解約し、解約返戻金に利益が発生すると利益に対して20%の源泉徴収がされます。
ただし、月払いの個人年金保険であれば契約してから5年以内に利益が出ることはほとんどありません。よって、月払いの個人年金保険を解約した場合に受け取る解約返戻金は、多くの場合で税金はかかりません。
一方、一時所得は50万円までであれば特別控除があります。よって、契約者が個人年金保険以外に一時所得がなく、解約返戻金による利益が50万円以内なら非課税になります。
続いて、解約返戻金にかかる贈与税について説明します。先に少し触れた通り、個人年金保険の契約者と受取人が違う場合は贈与税が課されます。ただし、贈与税は110万円の基礎控除があるため、解約返戻金が110万円以内であれば税金は発生しません。
個人年金保険を早い段階で解約した場合は、解約返戻金が少なくなるケースがほとんどなので、税金がかかる可能性は低くそこまで心配する必要はないでしょう。しかし、個人年金保険を契約途中に解約すると元本割れをすることがほとんどです。個人年金保険で損をしないためには、なるべく解約を避けることが非常に大切になります。
個人年金保険は途中解約すると損をすることが、デメリットのひとつであることを覚えておきましょう。
長期積立となり貯蓄はできるが現金化が困難
個人年金保険のデメリットの2つ目は、払い込んだ保険料を現金化するのが難しいことです。なぜなら、個人年金保険は10年~30年間にわたって長期積立をする前提で契約する金融商品だからです。
個人年金保険を現金化するためには、次の2つの方法があります。
- 個人年金保険の契約自体を解約
- 保険の契約者貸付を利用
それぞれの内容について詳しく解説していきます。
先に説明した通り、個人年金保険は最低でも約10年間契約しなければ払込保険料に対して解約返戻金の元本割れが発生します。預金であればATMや銀行などの窓口でお金を引き出せばすぐに現金を手にできますが、個人年金保険は自由にお金を手にできないことに注意が必要です。そのため、余裕資金で個人年金保険の保険料を拠出することをおすすめします。
個人年金保険は商品にもよりますが、契約者貸付が利用できます。利用可能か否かは保険を契約したときにもらった約款などを確認してみましょう。
契約者貸付は、制度利用申し込み時の解約返戻金の7~9割を借入上限額として、お金を借入られる制度です。上限額以内の借入であれば何度でも利用ができるだけでなく、保険会社への資金使途の申告はいりません、お金を借りるにあたって保証人を立てる必要もありません。
ただし、契約者貸付はあくまでもお金を借りる行為なので、借入期間に応じて金利を支払う必要があります。商品や保険会社によって異なりますが、約2%~8%ほどのところが多いです。
契約者貸付を利用するメリットとデメリットをまとめると、次の通りです。
【メリット】
- 保険契約を解約しなくてもお金を手にできる
- カードローンやキャッシング(3~18%)などよりは低い金利が適用される
- 審査が不要
【デメリット】
- そもそも契約当初は解約返戻金が少ないから借入上限額が少額
- 解約返戻金の金額を元利金が上回ると保険が失効する
- 個人年金保険は、保険料を月払いにすれば口座から自動的に引き落とされるので、貯金が苦手な人でも半強制的に将来のためのお金を貯められる金融商品ですが、払い込んだ保険料をもとに保険会社が長期的に資金を運用することを前提にしている商品でもあります。そのため、途中で現金化する場合は解約するか契約者貸付を利用するしかありません。
解約すれば元本割れする可能性が高いですし、契約者貸付は利息を支払わなければいけないので、いずれの方法でも損をしてしまいます。
よって、次のような人は個人年金保険に加入するのではなく、現金や預金で将来のお金を用意することをおすすめします。
- 自分で将来の貯金ができる人
- インフレに対応したい人
- 自由にお金が引き出したい人
近年は金利が非常に低い状態が継続しているので、普通預金の利息はほとんどないと言っても過言ではありません。定期預金のキャンペーンなどを利用して運用する方法もありますが、高くても0.2%ほどの金融機関がほとんどです。
個人年金保険は、長期積立が前提になるので貯蓄に繋がりますが現金化をするのが困難であることがデメリットのひとつになります。現金や預金ではなく個人年金保険で資産運用をするのに適した人は次のような場合です。
- 自分で貯金をするのが苦手
- 多少のリスクをとっても資産を運用したい
- 節税に繋がる資産形成がしたい
契約する個人年金保険にもよりますが、最終利回りが低かったとしても節税に繋がるのが大きなメリットです。
変額年金は運用結果によって元本割れするリスクがある
個人年金保険には定額年金の他に変額年金もありますが、この年金は運用結果によっては将来受け取る年金が元本割れするリスクがあります。これが個人年金保険のデメリットの3つ目です。
変額年金は、受取年金額が契約時に確定しておらず、年金や解約返戻金に最低保証がない特徴があります。一方で、運用成績が良ければ将来受け取る年金が他の個人年金よりも多くなる可能性があります。
その分、受取年金額に対して払込保険料が多くなって元本割れするリスクもあるので、変額年金は投資信託と年金保険が一緒になった金融商品だと考えるといいでしょう。
変額年金は年金保険というよりは、投資信託的な側面が強いことから「死亡保障がついた投資信託」とも言われることが多いです。投資性がある金融商品であることを念頭においたうえで、変額年金の契約をすることが大切です。
また、一般的な投資信託と比較すると資産の運用と保険の両方に手数料がかかるため、変額年金の方が手数料が高めに設定されていることにも注意しましょう。
一方、変額年金は死亡保障も兼ねた金融商品であるので、遺産分割協議書を用意しなくても受取人が相続できます。遺産分割協議書は、相続人が複数いる場合か遺言書がない場合に作成する必要がある書類です。
また、変額年金は他の個人年金保険と比較すると、インフレに対応できる可能性があります。先に説明したとおり、個人年金保険は固定金利で運用がされますが、変額年金の場合は変動金利が適用されます。そのため、将来インフレになった場合に、効率良く資産を運用できるメリットもあるのです。
変額年金は資産の運用結果によって将来もらえる年金や解約時の返戻金が増減する個人年金保険ですが、効果的に変額年金を利用したいのであれば、次の2つのポイントを押さえることをおすすめします。
- 保険料は一時払いではなく月払いを利用する
- 運用や保険にかかるコストを比較検討する
変額年金は運用結果によって元本割れするリスクがありますが、その分将来受け取れるお金が多くなる可能性もあるので賢く利用することが大切です。
外貨建て個人年金保険は為替レートの影響を受ける
変額年金よりも積極的に資産を運用したい人は、外貨建ての個人年金保険に加入することになります。外貨建ての場合、為替レートの影響を受けることが個人年金保険のデメリットの4つ目として挙げられます。
外貨建ての場合、個人年金保険の払い込みや年金の受け取りで、米ドルや豪ドルなどの外貨を使って運用します。特約を付加すると日本円で保険料の払い込みや受け取りができますが、原則は外貨で取引する個人年金保険です。
日本円よりも金利が高い外貨で運用するため、ハイリターンが期待できるメリットがある一方で為替リスクがあるのがデメリットとして挙げられます。そのため、安定的に資産を運用したい人は外貨建てではなく、日本円の運用で元本保証がある個人年金保険に加入することをおすすめします。
「リスク=危険」と考える人が多いですが、「リスク=振れ幅」とも捉えられます。確かに、外貨建ての個人年金保険は大きなマイナスを被ることもありますが、その分利益を得られる可能性もあるわけです。為替の状況や仕組みを理解したうえで、外貨建ての個人年金保険に加入すれば、将来必要な資産をしっかり運用できます。為替レートを賢く利用できる人は外貨建て個人年金保険に加入するといいでしょう。
老後への確実な貯蓄を実現するにはプロへの相談が必要
老後に必要なお金を用意するためには、保険会社やファイナンシャルプランナーなどのプロに相談する必要があります。客観的に将来を分析して資金計画を立てるのは、素人にはなかなか難しいものがあります。
個人年金保険に加入するにあたって、すでに加入している保険も一緒に見直すと保険料の無駄なく、適切な保障が得られるわけです。賢くお金を使って将来に備えたいと考えている人は、ぜひ一度プロに相談してみましょう。
デメリットを知ったうえで個人年金保険に加入しよう
個人年金保険のメリットばかりが注目されていますが、加入する前にデメリットをしっかり押さえておくことが大切です。個人年金保険のリスクを理解したうえで、加入するのであれば他の保険も合わせて見直すことをおすすめします。なぜなら、保険の保障は気付かない間に重複してしまうことが多いからです。
効率良く将来の生活に必要な資金を用意するために、ぜひ個人年金保険への加入を検討してみてください。
保険商品のご検討にあたっては、「契約概要」「注意喚起情報」「ご契約のしおり」「約款」などを必ずご覧ください。
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