生命保険は告知が必要!契約前に必ず知っておきたい注意点とは

生命保険に加入する際に行わなければならない「告知」とは、健康状態や病歴、自分の職業などについて回答するものです。
今回は、生命保険の告知に注目して、その必要性から告知の内容、回答内容を偽った場合や忘れていた場合の保険会社の対応などを網羅的に解説していきます。
そうならないためにも、「告知義務」とはどんなものなのか、よく確認してみてください。
目次
生命保険の告知義務の必要性
生命保険に加入する際には、被保険者が自分の健康状態や過去の病歴、職業について保険会社に包み隠さず伝える必要があります。
これを「告知義務」と呼び、告知をしないことには生命保険に加入できない場合がほとんどです。
保険というものは、それぞれの契約者が払い込んでいる保険料によって成り立っており、保険会社は公平に契約を成立させる必要があるのです。
もし、誰でも無条件に保険に加入することができてしまうと、健康状態が良くないことが分かっている人や、生命のリスクが大きい仕事に就いている人が保険金や給付金を受け取る可能性が高くなってしまいます。
このような理由から、生命保険の告知義務は必要であり、生命保険に加入する際には、ほぼ必ず告知が求められます。
では、具体的な告知内容はどのようなものがあるのでしょうか?確認していきましょう。
告知内容はどこまでの範囲が必要?
生命保険の告知義務は、被保険者に対して課せられます。
生命保険の告知として必要な内容は、大きく分けると以下のようになります。
- 過去の病歴
- 現在の健康状態
- 身体の障害
- 妊娠について(女性のみ)
- 被保険者の年齢・職業
病歴は、過去3ヵ月における往診履歴や、過去5年間における手術や入院の履歴、また、がんにかかったことがあるかどうかなどが一般的な質問事項です。
現在の健康状態や身体の障害については、今現在病院で検査や投薬の治療を受けているか、視力や聴力などに異常があるかといった自身の状態について聞かれます。
ポイントとなるのが「被保険者の職業」で、これは業務上生命が脅かされるリスクがある職業に就いていないかどうかを確認するための質問事項です。
- ダイバー
- 漁船漁業や海女など、海で行う業務に就いている人
- 地下作業、高所作業、採石作業、爆発物作業の従事者
- 高圧電気取扱業、とびや大工など、建設現場の作業者
- 林業従事者
- スポーツカードライバー
- 騎手、馬の調教師など
- 飛行機、トラック、バイク、バスなどの運転車
- 搭乗者、登山家、冒険者
- 格闘技選手など、肉体的負傷を伴うアスリート
- 産業廃棄物の処理に関わる人※危険な職種として指定される種類は、保険会社によって異なります。
告知をする際には、保険会社に対して書面を提出する必要があります。
生命保険募集人に対して、口頭で自分の病状を伝えても告知したことにはなりませんので注意しましょう。
また、告知には保険会社が指定した医師の診断を受けなければいけない場合もあります。
告知義務違反!虚偽があった場合どうなる?
生命保険の告知は病歴や健康状態を聞かれるため、生命リスクがある人は生命保険に入りにくくなってしまいます。
しかし、生命保険に入りたいからといって告知内容を偽って提出したり、告知を忘れてしまったりすると、「告知義務違反」となり、保険契約の解除、もしくは取消しをされる恐れがあります。
契約解除
自身の告知内容について、故意、もしくは重大な過失で事実を正しく告知しなかった場合、保険会社から契約を解除される可能性があります。
ただし、解除されるのは、生命保険の責任開始日から2年以内に保険会社が告知義務違反と知った場合です。
契約解除の際、保険金や給付金は支払われませんが、解約返戻金が発生していた場合には、解約返戻金のみ支払われるケースがあります。
契約取消し
告知義務違反の内容が重大な場合、詐欺として保険契約が取消しになる可能性があります。
また、責任開始日から2年以上たっていても、取消しをされるケースがあります。
一方で、告知義務違反の場合であっても、保険会社が契約を解除・取消しできないケースも存在します。
過失
保険契約を締結する際に、保険会社が契約解除の原因となるような事実を知っていた時、または過失によって知らなかった時に、保険会社は保険契約を解除・取消しできません。
不告知教唆
生命保険募集人に自分の健康状態を伝えたうえで、生命保険募集人が正しく告知をすることを妨げたり、内容を偽るよう勧めたりした場合、告知義務違反が見つかったとしても、保険会社は契約を解除・取消しできません。
ここまで説明してきた通り、生命保険の告知義務違反をした場合には、保険契約の解除・取消しという事態になります。
条件によっては、保険会社が解除・取消しをできない場合がありますが、詐欺につながる重大な告知違反の場合には、何年たっていようと保険契約は取消しとなります。
時効
被保険者が告知義務違反をしていた場合でも、生命保険の責任開始日から2年以内に保険金・給付金の受取事由が発生しなかった時、保険会社は契約を解除・取消しできません。
また、保険会社が契約解除となる原因を知った時から1ヵ月以内に契約解除・取消しの手続きを行わなかった時も、時効となってしまいます。
時効の場合、告知義務違反をしていても2年間保険金を受け取らずに保険が有効であり続ければ問題ないように見えますが、これは間違いです。
たとえば、2年以内に盲腸の手術をしたとします。
しかし、保険金の請求はすぐには行わず、2年が過ぎるまで待ってから行った場合、保険は2年以上有効になります。
しかし、これは支払事由である手術が2年以内に行われているので、時効の対象にはなりません。
故意ではなく忘れた場合も義務違反になる?
告知義務違反によって、保険契約が無効になる場合があることをお伝えしてきました。
告知義務違反は、「故意または重大な過失により事実を告げなかった場合」を指すとされています。
つまり、故意ではなかったとしても、「重大な過失」であれば、故意と同じく告知義務違反とみなすという意味です。
この「重大な過失」が、実際どの程度の過失なのかは明確に表現するのは難しく、結果として保険会社がどう判断するかにかかってしまうのです。
ただ、告知義務違反の場合にどうなるかは、状況に応じて幅があります。
悪質な場合は契約解除ということになるでしょうが、場合によっては、「保険金は支払われないけれども、契約自体は存続する」などという結果になるかもしれません。
ただし、保険金の支払事由と、告知義務違反とみなされた事実との間に因果関係がない場合、たとえば「骨折して入院したため保険金を請求した際、数年前にがんの治療を受けていて告知していないことが明らかになった」などという場合は保険金が支払われます。
5年以上前の告知忘れ・虚偽はどうなる?
これは、多くの場合、告知書で聞かれるのが5年以内の病歴であることや、保険法で定められている保険会社の契約解除権の時効が5年であることなどをもとにしているのでしょう。
告知義務違反とは、あくまでも、「告知すべきことをしなかった」「虚偽の告知をした」場合に違反とみなすものです。
そして、告知とは、基本的に保険会社が告知書で質問したことに対して答えるという形式で行われます。
そのため、「5年以内の病歴」を聞かれていて、5年以上前の病歴を答えなかったことは告知義務違反ではないのです。
ただし、告知書の質問のなかには、「今までに、がんにかかったことがありますか?」のように年数を限定しない質問もあるので注意してください。
また、「5年以上前に治療をして治った病気だが、今も定期的に検査を受けている」といった場合、「今現在も経過観察中」とみなし、現在も治療を受けているのと同等にみなされることもあります。
告知なしの生命保険はあるの?
しかし、一般の生命保険へ加入しにくいという人に対して、加入できる可能性がある生命保険があります。
引受基準緩和型保険
告知項目が簡素化されており、健康状態に不安がある人でも申込みしやすくなっています。
ただし、その分保険料が割り増しだったり、保険契約後1年間は給付金・保険金が半額になったりと、保障内容について一定の条件が設けられている商品もあります。
無選択型保険
保険会社が指定した医師の診断なども必要ありません。
しかし、無選択型保険は生命リスクがある人でも加入できるため、保険料が割高になっています。
また、契約後2年以内に死亡した場合には、死亡保険金がおりるのではなく、払い込み済みの保険料分だけしか保険金が支給されないなど、保障に制限が設けられています。
そのため、健康状態が心配だという方は、このような申込みしやすい保険商品を検討してみるのも1つの手でしょう。
また、健康診断で医師から指摘を受けたなど、健康面のちょっとした懸念がある方は、生命保険の加入前に一度事前審査をしてもらうこともできます。
この場合も告知書は必要ですが、保険加入の手続きを進める前に加入の可否が分かるので、検討の参考になるでしょう。
ご自身がどのような保険に加入できるのか、保険会社に聞く前に知りたい場合は無料で専門家に相談できる相談所を利用するのも良いでしょう。
告知内容や審査基準は各生命保険会社によって異なる
生命保険の告知内容や審査基準は、保険会社によって異なります。
そのため、条件が厳しい保険会社もあれば、優しい保険会社もあるのです。
また、書類を提出するだけで問題のない保険会社もあれば、医師の診断を受ける必要がある保険会社や保険商品もあり、ある特定の生命保険に加入できたからといって、他の生命保険にも加入できるとは限りません。
生命保険会社ごとに審査基準が違うため、「生命保険の告知はこうすれば通る」というようなものはありませんが、「告知の際に正しく審査してもらうポイント」はあります。
それは、以下の2点です。
ありのままの内容を記入すること
生命保険に加入する際、書類は必ず自分で記入し、聞かれている質問に対して全てありのままに回答することが最も重要です。
過去の病歴を書く際には、現在の状態も併せて書くこと
記入項目の中に、過去の病歴について「はい」「いいえ」で答える箇所があります。
「はい」と答えた場合には詳細事項を記入していく必要がありますが、その際には過去の状態だけでなく、今の状態も記入するようにしましょう。
正確な記録を用いて、曖昧な情報をなくすこと
項目によっては、あまり覚えておらず具体的に書くことができない場合もあるでしょう。
しかし、内容はできるだけ具体的に、誤解されないように書くことが大切です。
病院の診察券や診断書、お薬手帳などの正確な記録を確認しながら、曖昧な情報をできる限りなくして告知書に記入するようにしましょう。
まとめ
ここまで説明してきた通り、生命保険の告知は正しく行わなければいけません。
そうしなければ告知義務違反となり、保険契約が解除または取消しされてしまいます。
もし、正しく行ったつもりでも、告知忘れの内容があった場合には、後からでもきちんと保険会社に告知をしましょう。
それによって生命保険の保障条件が変わってしまう可能性もありますが、告知義務違反になるよりもずっと良いでしょう。
また、健康状態に不安があるという方に向けても、告知条件が緩和されている、もしくは必要ない保険商品が販売されています。
諦めずに、自分の状況にあった保険商品を選んで加入を検討してみてください。
保険商品のご検討にあたっては、「契約概要」「注意喚起情報」「ご契約のしおり」「約款」などを必ずご覧ください。
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