【徹底解説】公的介護保険が適用される介護サービスの種類

【徹底解説】公的介護保険が適用される介護サービスの種類

公的介護保険が適用されると、いろいろな介護サービスが受けられますが具体的にどのような種類があるのでしょうか。

この記事では、公的介護保険の要介護認定がされた場合に利用できる介護サービスを詳しく紹介します。また、どのような人が公的介護保険の保障を受けられるのか、利用条件も合わせてチェックできます。

この記事は、次のような人にピッタリの内容です。

  • 公的介護保険の介護サービスが気になる人
  • 介護サービスの具体的な種類が知りたい人
  • 公的介護保険が利用できる条件を把握したい人

介護保険で受けられるサービスの種類

公的介護保険が適用されると受けられる介護サービスは、大きく次の3つに分けられます。

  • 居宅(在宅)サービス
  • 施設サービス
  • 地域密着型サービス

介護保険の要介護区分に認定されると上記のサービス利用料の自己負担が減算されたり、ゼロになったりします。 公的介護保険が適用される詳しいサービス内容の違いを説明する前に、上記の3つのサービスを簡単に解説しておきます。

介護保険の居宅(在宅)サービスは、被介護者の自宅で介護サービスを実施するもので、訪問サービスだけでなく、通所サービスなども該当します。

施設サービスは、特定の施設で提供される介護のことでどの施設で介護サービスを受けるかによって介護保険適用のサービス内容が異なる特徴があります。

地域密着型サービスは、2005年に新しく導入された介護保険の制度です。被介護者の住まいがある地域で、既存のコミュニティをできるだけ維持しながら介護を受けられるように配慮された介護保険のサービスです。

介護保険適用のサービスは、その種類ごとにコードが決められています。
厚生労働省の「介護給付費等単位数サービスコード(令和元年10月施行版)(https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000542573.pdf)」によると介護保険がきくサービス種類ごとのコード表は次の通りになっています。

サービス種類コード サービス種類
11 居宅介護
12 重度訪問介護
13 行動援護
14 重度包括
15 同行援護
21 療養介護
22 生活介護
22 経過的生活介護
24 短期入所
32 施設入所支援
32 経過的施設入所支援
33 共同生活援助(グループホーム)
34 宿泊型自立訓練
35 自立生活援助
41 自立訓練(機能訓練)
42 自立訓練(生活訓練)
43 就労移行支援
44 就労移行支援(養成)
45 就労継続支援A型
46 就労継続支援B型
47 就労定着支援
52 計画相談支援
53 地域相談支援(地域移行支援)
54 地域相談支援(地域定着支援)
55 障害児相談支援
61 児童発達支援
62 医療型児童発達支援
63 放課後等デイ
64 保育所等訪問支援
65 居宅訪問型児童発達支援
71 福祉型障害児入所施設
72 医療型障害児入所施設

ちなみに、介護保険のサービス内容ごとにより細かくコードが設定されているのですが、そちらはサービス提供体制強化加算制度で使われることがほとんどです。

介護事業提供者には「サービス提供体制強化加算」という制度があって、介護サービスの利用者に対して一定基準のサービスを提供していれば、評価が加算される仕組みになっています。

介護保険におけるサービス提供体制加算の算定項目や単位数などの詳細が気になる人は、厚生労働省のサイトでコード一覧を見てみましょう。

この記事では、介護保険が適用される居宅(在宅)サービス、施設サービス、地域密着型サービスについて詳しく解説します。介護保険が適用される介護サービスの内容を押さえていきましょう。

家で受けられる介護

自宅で生活する被介護者のためのサービス全般に介護保険が適用される居宅(在宅)サービスです。

厚生労働省の「令和元年度 介護給付費等実態調査の概況(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/kyufu/19/dl/11.pdf)」によると、令和元年度の介護保険適用の介護サービスを利用した総数は約5,272千人で、そのうち居宅(在宅)サービスの利用者は 4,014千人です。

つまり、介護保険が適用される介護サービスの利用者の約75%が居宅(在宅)サービスを受けていることになります。

介護保険の居宅(在宅)サービスには多くの種類がありますが、大きく分けると次の4つになります。

  • 通所サービス
  • 訪問サービス
  • 短期入所サービス
  • その他のサービス

介護保険が適用されるそれぞれのサービスについて順番に紹介していきます。

通所サービス

介護保険の範囲で利用できる通所サービスの種類は次の通りです。

サービスの種類 サービスの内容
通所リハビリテーション(デイケア) 医療機関や介護老人保健施設などで介護を実施する
作業・理学療法などのリハビリや食事、入浴を日帰りで提供する
通所介護 通所介護施設であるデイサービスセンターで介護を実施する

なお、通所リハビリテーション(デイケア)は介護給付の適用は認められますが、予防給付は利用できない場合があるので注意しましょう。

訪問サービス

介護保険適用の訪問サービスの種類は次の通りです。

サービスの種類 サービスの内容
訪問入浴介護 介護職員や看護師が被介護者宅に簡易浴槽を持ち込み、入浴の介護を実施する
訪問介護
(ホームヘルプサービス)
ホームヘルパー(訪問介護員)が被介護者宅で食事や入浴などの介護を実施する
必要に応じて日常生活の世話や支援をする
訪問看護 看護師などが被介護者宅で診療補助や療養上の世話を実施する
居宅療養管理指導 通院ができない被介護者の自宅に歯科医師や医師、薬剤師が訪問して療養上の指導や管理を実施する
訪問リハビリテーション 作業療法士や理学療法士が被介護者に必要なリハビリテーションをする

訪問介護(ホームヘルプサービス)は介護給付の介護保険サービス対象ではありますが、予防給付は利用できない可能性があるので気を付けましょう。

短期入所サービス

介護保険適用の短期入所サービスの種類は次の通りです。

サービスの種類 サービスの内容
短期入所療養介護
(ショートステイ)
短い間だけ介護老人保健施設などに入所した被介護者に対して看護や介護をする
機能訓練や日常生活上の世話や支援を実施する
短期入所生活介護
(ショートステイ)
短い間だけ介護老人福祉施設などに
入所した被介護者に対して介護や機能訓練などを実施する

その他のサービス

介護保険適用の居宅(在宅)サービスには、他にも次のような介護サービスがあります。

サービスの種類 サービスの内容
特定施設入居者生活介護 ケアハウスや軽費老人ホームなどで介護や機能訓練、療養上の世話などを実施する
介護予防支援・居宅介護支援 被介護者が適切な支援を受けられるように、次のようなサポートを実施する

  • 施設の紹介
  • 要介護認定の各種手続きの代行
  • 苦情や疑問の受付・対応
  • 介護サービス計画(ケアプラン)の作成
福祉用具貸与 次の福祉用具を貸与する

  • 介護用ベッドなどの特殊寝台
  • 特殊寝台付属品
  • 車いす
  • 車いす付属品
  • エアーマットなどの床ずれ防止用具
  • 手すり
  • スロープ
  • 起き上がり補助用具を含む体位変換器
  • 歩行器
  • 歩行補助つえ
  • 階段移動用リフトを含む移動用リフト
  • 臨床センサーを含む認知症老人徘徊感知機器
  • 自動排泄処理装置(特殊尿器)
住宅改修費の支給 日常生活の自立や介護者の負担軽減などの目的で
自宅を改修工事する場合の費用を支給する
住宅改修費の支給される対象工事は次の通り

  • 扉の取り替え
  • 階段などの手すりの取り付け
  • 室内の段差解消
  • 床の滑り防止のための材料変更
  • スムーズな移動のための材料変更
  • 便器の取り換え

※事前に申請が必要

特定福祉用具販売 排泄や入浴に必要な福祉用具の購入にかかる費用を支給する
特定福祉用具販売が適用される品目は次の通り

  • 移動用リフトのつり具
  • 腰掛便座
  • 簡易浴槽
  • 入浴用介助ベルトなどの入浴補助用具
  • 自動排泄処理装置(特殊尿器)の消耗品

特定施設で提供される介護支援

介護保険の施設サービスとは、介護老人保健施設(老健)、特別養護老人ホーム、介護療養型医療施設の3つの施設で提供される介護サービスです。

厚生労働省の「令和元年度 介護給付費等実態調査の概況」によると、介護保険が適用される施設サービスの利用者は1,299千人で、介護サービスの利用者の約24%が施設サービスを利用しています。

なお、施設サービスは介護保険の介護給付のみ利用できるサービスです。予防給付では介護保険の施設サービスを利用できないので注意が必要です。

それでは、介護保険が適用される介護老人保健施設(老健)、特別養護老人ホーム、介護療養型医療施設の違いについて見ていきましょう。

介護老人保健施設

介護保険で利用できる介護老人保健施設では、被介護者に看護・医学的管理に基づいたリハビリや介護をします。必要に応じて医療や日常生活の世話をする施設で、地方公共団体や医療法人などが設置しています。

厚生労働省の「施設・居住系サービスについて参考:https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000044903.pdf」によると介護老人保健施設の施設数は3,994件、利用者数は349,900人で、施設数・利用者数ともに特別養護老人ホームが介護老人保健施設を上回っています。

特別養護老人ホーム

介護保険の特別養護老人ホームは、しっかりとした介護が必要な65歳以上の人の入所に対応した施設です。居宅で介護が難しい人の養護をするための施設で、主に地方公共団体や社会福祉法人が設置しています。特別養護老人ホームの介護は原則個室で行われる点が特徴です。

厚生労働省の「施設・居住系サービスについて」によれば、特別養護老人ホームの施設数は7,865件、利用者数は516,800人で3つの施設サービスの中で施設数・利用者数とも一番多くなっています。

介護療養型医療施設

介護保険の介護療養型医療施設は、医療が必要な被介護者を長期療養するための施設です。病院や診療所内で看護や介護、機能訓練などが行われていて、地方公共団体だけでなく、医療法人も介護療養型医療施設を設置しています。

厚生労働省の「施設・居住系サービスについて」によれば、介護保険が適用される介護療養型医療施設の施設数は1,575件、利用者数は70,300人になっています。2024年3月で介護保険の介護療養型医療施設でのサービスはすべて廃止される予定なので、利用する場合は最新の情報を確認することをおすすめします。

地域密着型はコミュニティを重視

介護保険適用の地域密着型サービスは市町村が運営をしていて、被介護者が住み慣れた地域で生活できるようにサポートするサービスです。地域の事情や特性に合わせてサービスが提供されるため、次のようなメリットがあります。

  • 緊急対応が迅速
  • 訪問時間や回数に制限がない
  • スタッフと顔なじみになれるので安心感が得られる

介護保険の通常の居宅(在宅)サービスと比較すると、地域密着型サービスは地域に根差しているがゆえに被介護者に合わせて柔軟にサポートしてくれる点が特徴です。厚生労働省の令和元年度 介護給付費等実態調査の概況の地域密着型サービスの利用者は1,202千人で、介護サービス利用者における割合は約22%になっています。

介護保険の地域密着型サービスのサービス種別は、次の通りです。

  • 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
  • 認知症対応型通所介護
  • 小規模多機能型居宅介護
  • 看護小規模多機能型居宅介護
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護

介護保険が適用されるそれぞれのサービスの詳細について詳しく紹介していきます。

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

認知症の高齢者が共同生活を送りながら介護を受けられるサービスです。5人~9人のグループで簡単な仕事を分担しながら、認知症の症状の進行を防ぎます。

認知症対応型通所介護

認知症の高齢者が定員12名以下の少人数施設に通所して、介護を受けるサービスです。食事や入浴だけでなく、レクリエーションや機能訓練なども受けられます。

小規模多機能型居宅介護

デイサービスが中心の介護で、ケースバイケースで介護職員が被介護者宅を訪問することがある介護サービスです。利用可能な事業所は1か所に限られますが、被介護者の施設宿泊もできます。

看護小規模多機能型居宅介護

先に紹介した小規模多機能型居宅介護にプラスして、訪問介護が受けられるサービスです。看護師が被介護者宅を訪問するため、医療を受ける必要がある人も安心して利用できます。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護

日中や夜間を問わず、緊急時でも訪問サービスや各種対応が受けられる介護サービスです。サービス事業者が密に連携しているため、介護だけでなく看護も受けられます。

介護保険のサービスを受けられる基準

公的介護保険は40歳になると強制的に加入することになりますが、介護が必要な状態になったからと言って誰でも介護保険の介護サービスを受けられるわけではありません。

公的介護保険のサービスを保険適用で受けるためには、要介護認定を受ける必要があるのです。

要介護認定は、要支援(1~2段階)と要介護(1~5段階)、非該当の大きく3つの区分があり、申請が認められた場合のみ決められた介護サービスを受けられる仕組みになっています。

また、被保険者が65歳の第1号被保険者の場合は介護が必要になった理由が何であれ、要介護認定がされると介護サービスを受けられる一方で、40歳~64歳の第2号被保険者は原因が特定疾病でなければ公的介護保険が適用されないため注意が必要です。

公的介護保険のサービスは誰でも利用できるわけではない

公的介護保険の適用が認められると、今回紹介したサービスが利用できるようになります。しかし、そのためには、要介護認定を受けなければいけません。状況によっては公的介護保険の適用が認められない場合もあるのです。

そうした中で民間の介護保険に注目が集まりつつあります。公的介護保険の認定基準に即した保険だけでなく、保険会社が独自に設定した基準を元に保障対象者を決めている保険商品もあります。

公的介護保険の適用が認められなくても、民間の保険であれば利用できるケースもあるので任意加入の保険があれば保障を手厚くできるのです。

公的介護保険のサービスはたくさんありますが、誰でも利用できるわけではないことを念頭に置いておきましょう。国の制度に頼りきりになるのではなく、自分の老後に必要な資金は自分で用意することがポイントです。

関東、関西に限らず自治体によっては、介護保険について集中的に学べる講習を開いている場合もあるので、一度時間を取って行ってみるのもおすすめです。

 

本コンテンツは情報の提供を目的としており、保険加入その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。
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