介護保険とは?仕組みやサービスの種類を簡単にわかりやすく解説
そこで、今回は介護保険の仕組みやサービスの種類など基本的な内容を簡単にわかりやすく解説します。
この記事は、次のような人におすすめの内容になっています。
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介護保険とは?基本をわかりやすく解説
高齢化や核家族化の進行によって、2000年に介護保険制度が創設されました。
厚生労働省によれば、介護を理由に仕事を辞める人が年間約10万人もいます。
厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/2gou_leaflet.pdf
こうした状況を背景に、厚生労働省では企業に対して働く環境を改善するよう要請したり、介護をする家族に対して支援をしたりしています。
2020年代の始めまでに、介護離職者をなくす動き。
介護保険の被保険者は、年齢が65歳以上の第1号被保険者と40歳から64歳までの第2号被保険者に分けられます。
- 65歳以上の第1号被保険者
- 40歳から64歳までの第2号被保険者
65歳以上で要支援・要介護状態が認定されると介護保険の受給ができますが、40歳から64歳までの人は要支援・要介護状態が特定疾病に起因していなければ介護保険の受給はできません。
介護保険が適用される特定疾病は、次の16種類の疾病です。
- 末期がん
- 筋萎縮性側索硬化症
- 関節リウマチ
- 骨折を伴う骨粗鬆症
- 後縦靱帯骨化症
- 初老期における認知症
- 脊髄小脳変性症
- 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病
- 脊柱管狭窄症
- 多系統萎縮症
- 早老症
- 脳血管疾患
- 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
- 慢性閉塞性肺疾患
- 閉塞性動脈硬化症
- 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
要介護認定の種類
介護保険の要介護認定は、大きく要支援と要介護の2種類に分けられています。
- 要支援
- 要介護
要支援よりも要介護の方がより手厚い介護サービスが必要な状態です。
さらに要支援は認定者の状態に応じて1と2に種類分けされていて、要介護は1から5までに種類分けされています。
要支援1 | 一部サポートが必要だが、基本的な生活は自分でできる状態 |
要支援2 | 自分で生活できるが、日常的な生活に必要な動作が少し衰えている状態 |
要介護1 | 歩行が安定しておらず、排泄や食事などの動作に対して部分的なサポートが必要な状態 |
要介護2 | 歩行が安定しておらず、排泄や食事などの動作に対して少しサポートが必要な状態 |
要介護3 | 歩行や立ち上がり、排泄や食事のときにしっかりとした介護支援が必要な状態 |
要介護4 | 日常生活全般において介護支援が必要な状態 |
要介護5 | 生活において全面的な介護サポートが必要で意思の疎通や起き上がることができない状態 |
保険適用の介護サービスの種類
介護保険が適用される介護サービスの種類は非常にいろいろありますが、代表的なのは次の3種類です。
- 居宅サービス
- 施設サービス
- 地域密着型サービス
それぞれのサービスについて詳しく説明していきます。
介護保険では、具体的にどのような種類のサービスがあるのかも合わせてチェックしていきましょう。
居宅サービス
居宅サービスは、要支援・要介護に認定された人が住んでいる家でサポートが受けられるサービスです。
介護保険が適用されるサービスの種類を分かりやすく説明するために、今回は以下の4つに分けてそれぞれの種類について解説します。
- 通所サービス
- 訪問サービス
- 短期入所サービス
- その他のサービス
通所サービス
要支援・要介護認定者が施設に通所して介護保険のサービスを受けられます。
具体的には、排泄や食事、入浴などの介護やリハビリ、健康管理などの看護を受けられる種類のサービスです。
訪問サービス
介護職員が要支援・要介護認定者の自宅を訪問して排泄や食事などの介護をするサービスです。
衛生管理指導や健康管理などの看護はもちろん、掃除や買い物などのサポートも受けられます。
また、訪問サービスでは、居宅療費管理指導として歯の診断や治療を受けられる種類のサービスもあります。
人は、年を取ると前歯や奥歯を治療する必要性が出てきやすくなります。
身体的な問題で歯医者に行けなくても、自宅で歯を削ったり、差し歯治療をしてもらえたりできます。
ただし、セラミックで治療すると自費診療になるので注意しましょう。
短期入所サービス
一定期間だけ要支援・要介護認定者を施設に受け入れてもらえる種類のサービスです。
要支援・要介護認定者に対して、短期で排泄や食事などの介護、入浴やリハビリなどをするサービスの種類です。
その他のサービス
自宅で介護のサポートをするサービスの種類としては、特定施設入居者生活介護がある一方で、ケアハウスや老人ホームの入居者に対するサービスの種類には、特定福祉用具販売や福祉用具貸与、住宅改修費支給があります。
施設サービス
特別養護老人ホームでは排泄や食事、入浴などの介護サービスが提供されますが、介護療費型医療施設や介護老人保健施設は看護や療養上のサポートをする介護も提供されます。
施設サービスの種類ごとの具体的な提供サービスの種類は、次の通りです。
介護保険の 適用サービスの 種類 | 内容 |
---|---|
介護療養型 医療施設 入居者 生活介護 | 利用者を介護療費型医療施設に受け入れて介護サービスを提供する種類。 排泄や食事などの介護だけでなく、医学管理において適切なリハビリなども提供する。 |
介護老人 保健施設 入居者 生活介護 | 利用者を介護老人保健施設で一定期間受け入れて介護サービスを提供する種類。 排泄や食事だけでなく、医療処置などのサービスも提供する。 |
介護老人 福祉施設 入居者 生活介護 | 利用者を特別養護老人ホームで長期間受け入れて介護サービスを提供する種類。 排泄や食事の介護だけでなく、リハビリやレクリエーションなどの種類のサービスを提供する。 |
身の回りに介護をしてくれる子供や親戚がいない場合や独身者は、施設サービスを選ぶといいでしょう。
地域密着型サービス
地域密着型サービスは、介護サービスを提供する事業所がある市町村に住んでいる要支援・要介護に認定された人が利用できる種類のサービスです。
地域密着型サービスにもいろいろな種類がありますが、介護保険が適用される具体的な例として次の3種類のサービスを紹介します。
- 認知症対応型サービス
- 施設・特定施設型サービス
- 訪問・通所型サービス
それぞれのサービスについて、詳しく解説していきます。
認知症対応型サービス
グループホームに入居している認知症患者や自宅から施設に通所してくる人に対して、認知症のケアを提供するサービスの種類です。
その他の具体的なサービス内容の種類としては、掃除や買い物などの生活支援があります。
施設・特定施設型サービス
老人ホームや特別養護老人ホームに入所している人に対してリハビリや生活支援、介護を提供する種類のサービスです。
地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護や地域密着型特定施設入居者生活介護に対して、介護保険が適用されます。
訪問・通所型サービス
自宅で生活する要支援・要介護認定者を訪問したり、施設に受け入れたりして介護や生活支援、看護を提供するサービスの種類です。
介護保険のサービス利用方法
さまざまな種類がある介護保険のサービスを利用するためには、介護保険における要支援・要介護認定を受ける必要があります。
介護保険の要支援・要介護認定の手続きの流れと介護サービスの利用方法は次の通りです。
- 市町村の窓口で要支援・要介護認定の申請をする
- 要支援・要介護認定の判定や調査が実施される
- 原則、申請から30日以内に認定結果が通知される
- (要介護に認定されて在宅で介護サービスを受ける場合)ケアプランを作成する
- 介護保険負担割合証と介護保険被保険者証を提示して介護サービスを受ける
国の介護保険制度を利用すれば、ここまでに紹介した介護サービスが利用できますが、公的介護保険だけでは保障は十分とは言えません。
介護が必要な状態になってから準備するのでは遅いのです。
要介護認定の申請方法
親の介護や長年連れ添ったパートナーの介護では、わからないことがたくさんあります。
中でも、要介護者、介護者の生活に直結するのが介護サービスの利用です。
まずは、要介護認定を受けるための申請方法を理解しておきましょう。
要介護認定の申請までの流れ
要介護認定は、「介護がどの程度必要か?」などの判定を行い、そのランクにより受けられる介護サービスの内容が決まります。
したがって、介護サービスを受けるには、まず要介護認定を受けてから要介護・要支援のいずれかの判定をもらい手続きをすすめます。
要介護認定の判定と基準
要介護認定の判定は、2ステップで進められます。
- はじめに市区町村に申請後、1次判定が行われる
- その結果を介護認定審査会(※)により、2次判定が実施される
※介護認定審査会:医療・保険・福祉の学識経験者により構成
要介護認定では、次の5つの基準項目をチェックして、要介護の判定を行います。
2.生活機能 「食事摂取」「排尿」「上衣の着脱」「外出頻度」など、日常生活に伴う行動ができるかどうかを中心に確認します。
3.認知機能 「生年月日や年齢を言う」「自分の名前を言う」などの項目により、意思の伝達ができるかどうか、短期記憶できるかどうか、自分がいる場所を答えられるかなどを確認します。
4.精神・行動障害 過去1カ月を振り返ったときに「社会生活を送る上で不適当な行動があったか」「あった場合、頻度はどの程度だったか」を確認します。
5.社会生活への適応 薬の内服や金銭管理、買い物や簡単な調理といった社会生活を行う能力があるかどうかや、集団に適応することができるかどうかを調査します。
要介護認定の申請場所
家族が諸事情により窓口に行けない場合は、地域包括支援センター・居宅介護支援事業者・介護保険施設(入所中の場合)に申請代行を依頼することが可能です。
病院に入院中の人は、病院のソーシャルワーカーから地方自治体の介護保険窓口、地域包括支援センターに連絡を取り、手続きを進めてもらえます。
要介護認定に必要なもの
要介護者の印鑑と共に、以下の書類等を揃えて下さい。
- 介護保険要介護(要支援)認定申請書:市区町村の窓口やWebサイト
- 介護保険被保険者証:要介護者が40歳~64歳の場合は、健康保険被保険者証
- マイナンバー:本人の番号が確認できるもの
- 身分証明書:運転免許証などの顔写真付きのもの
- 主治医の意見書:主治医の氏名や病院名、連絡先などを提出すれば、市区町村が主治医に作成を依頼します。特定の主治医がいなければ、市区町村が依頼した医療機関にて受診し、申請書に医師の氏名および、医療機関、連絡先を記載します。
※本人以外が代行して申請する場合は、印鑑が必要です。
申請から認定されるまでの流れ
申請時には、申請書と共に、介護保険被保険者証などの必要書類を提出し、受理後に「介護保険資格者証」を必ず受け取りましょう。(提出した介護保険被保険者証の代わり)
2.訪問調査の日程調整
1次判定を実施するために市区町村の担当部署から、聞き取り訪問調査の予定等を相談するために連絡が入るので、希望日時を調整します。
3.1次判定
市区町村の要介護判定の担当者、または委託を受けた地域を担当するケアマネージャー(介護支援専門員)などが、直接自宅または、施設、病院に訪問し聞き取り調査が行われます。
聞き取り調査を基に、市区町村から要介護者本人の主治医に対して、意見書の作成も依頼されます。
要介護申請者本人の心身の状態と日常生活の様子、家族と住環境などさまざまな質問や確認事項があるので、家族も同席し認定調査員の調査漏れが無いよう、申請者の日常の様子などを記録して準備をしておきましょう。
訪問調査の結果と主治医の意見書の内容をコンピューターに入力し、一次判定が行われます。
4.2次判定
コンピューターの1次判定結果と主治医の意見書、専門員による認定調査時の特記事項などを踏まえ、保健、医療、福祉の専門家が2次審査を実施して2次判定が出ます。
5.要介護認定の結果通知
要介護認定の審査結果は、介護認定審査会による要介護度の認定と共に通知されます。申請から通知までおおむね、30日間ほど(地域によっては最大60日ほどかかることもある)の時間を要するので、早めに手続きを進めることが肝要です。
認定結果が不服なとき
認定の要介護度や申請が通らなかったときなど、不服があるときは、まず管轄する市区町村の担当部署に相談します。
自分にあった介護保険の選び方
自分にあった介護保険の選び方としては、老後に必要になるであろう保障がついている保険を選択することが重要です。
必要な保障がない保険や内容がかぶっている保険があれば、ケースバイケースで解約することもポイントです。
保険料の掛け金は一括だけでなく、積み立てもあるので保険料の支払い方法を検討することもおすすめします。
また、どのような種類の介護保険が人気を集めているのかランキングをチェックしたり、CMで宣伝されている介護保険を選んだりする方法もあります。
さらに、インターネットの保険会社各社のホームページで、加入する保険のシミュレーションをしていろいろな種類の保険を比較すると効果的です。
保険の知識がないと、なかなか自分に合った保険を探すのは大変です。
保険会社や無料の保険相談所を利用して、保障内容や月々の保険料の見積もりなどを出してもらい、自分に合う種類の介護保険を探してもらうのもいいでしょう。
どれくらいの値段で介護保険に加入できるのか、しっかり保険会社に確認しておくことをおすすめします。
まとめ
今回は介護保険の仕組みやサービスの種類など基本的な内容を簡単にわかりやすく解説しました。
日本では、国の介護保険が適用されるといろいろな種類の介護サービスが受けられますが、より保障を手厚くするためには民間の介護保険に賢く加入することが大切です。
将来を見据えていろいろな保険会社の介護保険の種類を比較して、自分に合った介護保険に加入しましょう。
保険商品のご検討にあたっては、「契約概要」「注意喚起情報」「ご契約のしおり」「約款」などを必ずご覧ください。
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