車が趣味の人はレストアしている!オーバーホールとの違いとは

車を趣味とする人のなかには、旧車の個性的なデザインや独特の操作感などに魅力を感じる人もたくさんいます。
しかし、趣味として旧車を持つためには「レストア」や「オーバーホール」しなければならないケースが多くあります。
このレストアやオーバーホールとは、具体的にどのようなことを指すのでしょうか。趣味を楽しむために、それぞれのメリットや費用について詳しくご紹介しましょう。
目次
車をレストアするとは?
車を趣味とする人のなかでもよく使われるレストアという言葉。このレストアはどのような意味を持つのでしょうか。確認してみましょう。
レストアとは
英語で「restore」と表記される「レストア」は、もともと“元の状態に戻す”や“復元させる”といった意味合いを持つことばです。
このレストアを自動車用語として用いる場合には、経年劣化した、もしくは故障によって廃車同然となった古い旧車を、新車同様に乗れる状態にまで戻すことを指します。
また、製造されてから数十年と長い年月が経った国内外の名車を、現代に蘇らせるという趣味的な要素を含んだ行為もレストアということばで表現されることもあります。
修理は、トランスミッションやエンジンなどのパワートレーンをはじめ、外装板金や外装塗装、シート表皮や内装など、車両全体に及ぶのが特徴です。
そのため、合致するパーツを探し出したり、地道な作業をコツコツと行なったりしなければならず、レストアするには膨大な時間と多額の費用を要してしまいます。
このことから、車を趣味とする人たちのなかではレストアを「究極の趣味」と呼ぶ声もあるほどです。
旧車の定義や魅力について
前述したように、旧車とは製造が数十年も前に及ぶような古い車のことを指します。
また、旧車は「ヴィンテージカー」や「クラシックカー」、または「ノスタルジックカー」や「ヒストリックカー」などと呼称されることもあります。
旧車の定義は、現在製造されていない車種であることというのが一般的です。
しかし、ほかにもさまざまな定義があり、たとえば製造から30年以上経過したものと唱える団体や、1919年~1945年に製造されたものと、具体的な対象時期を示しているところなどもあります。
これら旧車を持つことを趣味とする人たちは、旧車のどの点に魅力を感じているのでしょうか。
メーカーごとに異なった趣味趣向が凝らされた個性的なデザイン
現代の車はコンピューター上で設計されていて、流線型のデザインが多く取り入れられているのが特徴です。
しかし、旧車にはデザイナーの手によって生み出されていたものも多く、メーカーごとに趣味趣向が凝らされています。
趣のあるデザインは、現代において珍しく、旧車を趣味とする人のなかには、周囲とはまた一風異なったカーライフを楽しむことに醍醐味を感じる人も少なくありません。
旧車独特の操作感
現代の車はすべて電子制御式でコントロールされていますが、旧車は電力を使用していないシンプルなキャブレター式。
今のような自動ブレーキなどの安全装置は施されていないことから、ドライバーの操作がすべてとなります。この車との一体感が旧車の魅力でもあります。
また、エンジンや排気音も現代の車とは異なっていて、ダイレクトに感じるサウンドに魅了されて旧車を趣味とする人もいるようです。
レストアのメリット
レストアすることでどのようなメリットが期待できるのでしょうか。確認してみましょう。
古い車が蘇る
レストアは通常の車修理とは異なり、どれだけ古いものでも、またどれだけ廃車寸前のものであっても新品同様に復元して蘇らせることができます。
そのため、現在生産がストップしているような旧車や、かつて自分が憧れていた名車などもレストアすれば自分の車として手に入れることができるのです。
自分の趣味に合わせた仕様にカスタムすることも可能
人気の車種であれば、アフターパーツがたくさん販売されていることもあります。そのため、レストアすることで、自分の趣味に合わせた仕様にカスタマイズすることも可能です。
減税措置対象となる場合もある
東京都において環境負荷の大きい旧車は、自動車税の重課措置が取られています。
しかし、レストアを行って、都が指定している粒子状物質減少措置を装着するなど一定の条件を満たした旧車においては、重課分が減税される措置も行われています。
車をオーバーホールするとは?
つぎにオーバーホールについて見ていきましょう。
オーバーホールとは
「オーバーホール」は、英語で「overhaul」と表記され、“徹底的に見直す”や“分解して検査する”という意味を持ちます。
このオーバーホールが自動車用語として用いられる場合は、一定期間使用した大きな部品をパーツレベルにまで分解して検査し、洗浄や修理をして新品時と同様の状態にまで仕上げることを意味します。
特に車では、トランスミッションやエンジンがおなじみです。
精密部品の集合体であるトランスミッションやエンジンは、大切に扱ったとしても消耗を防ぐことはできません。
そのため、消耗が進んでしまうと、オイルシールの劣化や、油脂類の交換を適度に実施しなかった故に起こってしまう焼きつきや潤滑不良で壊れるなどの事態が生じてしまいます。
しかし、一般的にはオーバーホールしなければならないほど走るというのは稀なことです。
エンジンは約30~50万㎞まで寿命が持つとされていることや、オーバーホールするためには多額の費用がかかってしまうことから、車をよっぽどの趣味としているような、今後も長く乗り続けたいと強い意志を持っている人が行う行為と言えるでしょう。
オーバーホールのメリット
オーバーホールをする目的とはどこにあるのでしょうか。オーバーホールのメリットについて確認してみましょう。
改良済みのパーツに取り替えられる
オーバーホールを行う際はパーツ単位にまで分解をすることから、一部分に改良が行われたパーツを使用することが可能なケースもあります。
そのような場合には、新品の状態以上の性能や信頼を得られることもあるでしょう。
トラブルの早期発見ができる
パーツ単位にまで部品を分解することから、各部をすみずみまでチェックでき、トラブルの早期発見につながることもあります。
外からでは見えない細かな部分はメンテナンスを怠りがちですが、修理が必要となってしまってからでは多額の費用を要してしまうため、修理費用を抑えるといった点においてもメリットと言えるでしょう。
レストアとオーバーホールの違い
レストアとオーバーホール、どちらも車を趣味とする人のなかではおなじみのことばです。
しかし、両者とも“新品同様に復元・修理する”という行為を指すため、車が趣味でない人やこれから趣味にしたいと考えている人のなかには、それぞれのことばが持つ意味合いを混同してしまっている人も少なくありません。
まずレストアとオーバーホールの大きな違いは、修理を行う対象にあります。
レストアは、“自動車全体”を新品の状態に復元する場合に用いられるのに対し、オーバーホールは車体のなかでも、トランスミッションやエンジンなどの機械類が対象です。
また、レストアは“ゼロからの復元”であるのに対し、オーバーホールは“既存の機械の整備や点検”を意味する点でも異なっています。
そのため、オーバーホールを行うよりもレストアを行うほうが大掛かりな復元作業となり、その分時間や費用も費やしてしまう傾向にあります。
つぎでレストアとオーバーホールのそれぞれの気になる費用について確認してみましょう。
レストアとオーバーホールにかかる費用
レストアとオーバーホール、それぞれどのぐらいの費用が必要となるものなのでしょうか。具体的な費用についてご紹介しましょう。
レストアにかかる具体的な費用とは
車をレストアすると言っても、車の状態によって必要となる金額は大きく上下します。
旧車でもすでにレストアされているものであれば、比較的費用は安く抑えられますが、そうでない場合は自動車全体の大部分を換装しなければならず、高額な費用が必要となることが想定されるでしょう。
そのため、具体的には車の状態や程度を見ながら、作業メニュー一式でいくらと金額を出す形がほとんどと言えます。
たとえば、トランスミッションやエンジンなどの機械部品が比較的換装の必要性がなく、ボディの塗装やサビ落としだけだった場合。
この場合は、レストアの費用は数十万円程度に抑えられるケースもあるでしょう。しかし、サビの範囲が広い場合には、サビ落としだけでも100万円を超えてしまう場合もあります。
では、車体塗装やサビ落としに加え、機械部品もすべて交換する、つまりフルレストアとなった場合はどうでしょうか。
このような場合には、総額が1,000万円を超えてしまうこともあります。
このように、車の状態によって費用が大きく変わってしまうのがレストアであり、場合によっては新車を購入する以上の費用がかかってしまうケースもあるのです。
また、なかには自分でレストアを行う人もいますが、深い知識や技術を持ち合わせていないうえ、道具もそろっていないとなれば、時間も費用も膨大にかかってしまいます。
いずれにしても、車がいくら趣味の人であっても予算に余裕がないとレストアを行うことは難しいと言えるでしょう。
オーバーホールにかかる具体的な費用とは
つぎにオーバーホールでかかる費用についてご紹介しましょう。車両をオーバーホールする際の対象は、トランスミッションやエンジンがおなじみです。
ここでは、エンジンをオーバーホールする際の費用について着目してみましょう。
エンジンをオーバーホールする際にかかる費用の内訳は、主に工賃+部品代です。
この工賃の部分には、エンジンを分解して組み立てる作業をはじめ、パーツの洗浄やボディからの積み下ろしなどの作業も含まれています。
これらはとても手間がかかる作業となるため、エンジン着脱工賃だけでも10万円以上はかかると見ておいたほうがよいでしょう。
加えて、オーバーホールを必要とすると、付属するパーツの取り外しや要交換パーツの費用も追加されることとなります。
かかる費用は業者やエンジン形式によっても異なりますが、一般的な直列4気筒のエンジンの場合で、本体費用がだいたい30万円前後、工賃が20万円前後というのが相場です。
ちなみに外車の場合だと、海外からエンジンを取り寄せなければいけないケースもあり、高い場合では100万円を超えてしまうこともあります。
このようにエンジンをオーバーホールするには、中古車価格ほどの費用がかかってしまうこともあるのです。
そのため、金額をできるだけ安く抑えたいという場合には、中古エンジンを載せ替えることで対応を検討する人もいます。
レストアやオーバーホールした車の維持費
旧車に乗ることを趣味にしたいと検討している人にとっては、レストアやオーバーホールにかかる費用だけでなく、その後にかかる維持費についても気になる部分でしょう。実際に旧車を維持することは大変です。
たとえば、以下のような点で旧車の維持には費用がかかってしまいます。
修理頻度が現代の車に比べると高くなる
旧車は、車検のタイミングで定期的に点検しておけば安心というものでありません。どんなにメンテナンスを行っていても、現代の車と比較するとどうしても修理の頻度は高くなると言えるでしょう。
そのたびに高額な修理費用がかかってしまいます。なかには部品パーツが既に製造中止となってしまっていることもあるかもしれません。
その場合は、一からパーツを作らないといけないため、どうしてもその分高額となってしまうでしょう。
自動車税や自動車重量税が高い
車を所有している人は、自動車税と自動車重量税の2種類の税金を負担しなければなりません。この自動車税は、初年度の登録から13年経過すると15%割増になるのが特徴です。
また、自動車重量税においては、13年経過すると39%増に、18年目では54%増となります。
東京都では「ヴィンテージカー減免」という減税措置を導入しているところもありますが、ほとんどの旧車は所有しているだけで通常よりも高い税金を支払わなければならないのです。
燃費が悪い
旧車は現代の車と比べると燃費がよいとは言えません。現代の車の燃費は、15㎞~/ℓも多いなか、旧車のなかでも特にスポーツカーは5~7㎞/ℓほどと言われています。
また、経年劣化でエンジンが古くなり、さらに燃費が悪くなっているケースもあります。
保管場所が限られる
旧車は塗装が弱くサビやすいことから、屋外で保管することはあまり好ましくありません。また、珍しい旧車を狙った盗難やいたずらの心配もあります。
そのため、旧車を保管するのは、できるだけガレージで保管したいところです。しかし、自宅にガレージがない場合は別でレンタルしなければなりません。
その場合、青空駐車場よりも費用は高くなってしまうでしょう。
任意保険が高い
自動車保険の料率クラスが、旧車においては高く設定されていることが多いです。
特に車両保険や傷害保険は同じ排気量であっても、現代の新車と比較すると旧車のほうが、大幅に保険料が高くなる傾向にあります。
なかには、年間に支払う保険料が20~30万円というケースもあります。
まとめ:趣味の車をレストアするなら費用をしっかりチェックしよう
旧車はデザイン性や性能など車種によって趣味趣向があり、長い年月が経っても車好きのファンにとっては魅力的な存在。
しかし、ここでも紹介したようにレストアやオーバーホールするとなると多額な費用が必要となります。
そのため、旧車を持つというのは気軽に始められる趣味ではないでしょう。また、維持費においてもそれなりの金額がかかるため、長期的な目線で見て家計に無理のない範囲か見極めることも大切。
趣味を充実したものにするため、家計の見直しをプロに相談して、一度見直してみるのも方法のひとつでしょう。
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