生命保険の受取人を決める・変更する際の注意点とは

生命保険の受取人を決める際に知っておきたいポイント

生命保険に加入する際、保険金を受け取る人を誰にするか決める必要があります。

読者
受取人を決める時、とりあえず配偶者や子どもなど身近にいる親族の名前を書いてしまいました。
実は、生命保険の受取人に指定できる人物は、保険会社の約款によって定められているのです。

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そして、生命保険の契約者と被保険者、受取人の関係によって、受け取る保険金額に課せられる税金も全く違ってきます。

今回は、生命保険の受取人について、保険制度や税金の面から解説していきます。

この記事でわかること
  • 誰が受取人になることができるのか
  • 税金はどのように変わるのか
  • 受取人を指定する際の注意点
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※非喫煙優良体型の場合(2020年10月1日)

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生命保険の受取人は本人以外の誰でも良いか

生命保険を契約する際には、保険金受取人を指定しなくてはなりません。

読者
では、「この人に受け取ってほしい」という希望があった場合、本人以外ならだれでも指定することができるのでしょうか?

ほけんのぜんぶ
実は、保険金受取人は誰でも良いというわけではなく、指定できる範囲が決まっているのです。

生命保険に関わる3者とは

生命保険では、「契約者」と「被保険者」、「保険金受取人」の3者がいます。

契約者 保険会社と契約し、契約上の権利義務を有する。保険料を支払う人
被保険者 生命保険の保障の対象となっている人
保険金受取人 保険金、給付金などを受け取る人

契約者は保険会社と契約して保険料を支払う人で、被保険者は保障を付けたい人、保険金受取人は実際に保険金等を受け取る人のことをいいます。

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これらの3者の組み合わせによって、保険金を受け取る際にかかる税金が異なってくるのです(後ほど詳しくご紹介します)。

保険金受取人は「配偶者」または「二親等以内の親族」のみ

生命保険の受取人になれるのは、原則として以下の方のみとなっています。

保険金の受取人になりえる人
  • 配偶者
  • 二親等以内の親族

読者
どうして限定されているのでしょうか?

ほけんのぜんぶ
生命保険を利用した犯罪や不正行為を防ぐために、保険金受取人の範囲を決めているのです。
「二親等以内の親族」とは?
「二親等以内の親族」とは具体的に、「子供」「孫」「父・母」「祖父・祖母」「兄弟姉妹」です。

なお、婚姻によって親族になったいわゆる「姻族」は、保険金受取人に含まれませんのでご注意ください。

受取人は「被保険者が死亡した場合に困る人」にする

読者
受取人として指定できる範囲は決められていますが、その中で誰にするのかを決める際どのように決めたら良いでしょうか?

ほけんのぜんぶ
保険金の受取人は、「被保険者が死亡した場合に困る人」にすると良いでしょう。

たとえば、子どもがいる家庭で被保険者が夫の場合、保険金受取人は妻または子どもに指定しておけば、万が一のときでもスムーズに保険金をもらうことができます。

ただし、課税の都合上気を付けなければならないケースがあります。

注意点
  • 保険金受取人を子どもに指定して契約し、数年後子どもが未成年のうちに被保険者(この場合夫)が死亡したとします。
  • 子どもが受け取った保険金を配偶者(妻)に移転した場合、まず子どもが保険金を受け取ったときに「相続税」が、そして配偶者に移転したときに「贈与税」が課税されてしまいます。
  • そのため、子どもが成人になる前は保険金受取人を配偶者に指定する方が良いでしょう。

ほかにも、独身のときに契約した生命保険で保険金受取人を親にしてある場合、結婚後も変更することなく親のままにしてしまうことがあります。

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この場合、契約上の保険金受取人は親なので、配偶者や子どもは保険金を受け取ることができなくなってしまいます。
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契約途中で受取人の変更は可能?

生命保険の受取人は、保険契約中に変更することが可能です。

たとえば、生命保険の受取人を妻にしていたが、離婚を機に子どもに変更したいという場合、契約した保険会社に「保険金受取人変更届」を提出することで変更ができます。

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ただし、受取人を変更する場合も、二等親以内の血族を指定するのが一般的です。

生命保険を受け取る人物を変更する際には、契約者の一存だけでなく、「被保険者」の許可が必要なので、その点は注意しておきましょう。

受取人が死亡した場合

時には、生命保険の受取人が死亡してしまい、保険金を受け取る人がいなくなってしまうことがあるでしょう。

このような場合も、先ほどの受取人変更と同じ要領で変更することが可能です。

もし生命保険の受取人が死亡した後に新たな受取人を決めていなかった場合、支給される保険金はどうなってしまうのでしょうか?
この場合、保険金は受取人の相続人が代わりに受け取ることになります。

読者
相続人が複数いる場合はどうなりますか?

ほけんのぜんぶ
相続人全員で均等に分ける仕組みになっています。

この分け方は、通常の相続の際の「法定相続割合」に則って分ける方法とは違うため、注意が必要です。

 注意

法定相続割合とは、法律上定められた、被相続人の遺産を相続できる割合です。

血族の関係や、配偶者・子どもの有無などによって割合が変わります。

このように、生命保険の受取人が死亡していた場合にも、保険金は受取人の相続人へと支給されるのです。

しかし、きちんと受取人を変更していなかった場合、保険金を受け取る人物が正しく法定相続人である証明書類や、法定相続人全員分の捺印を集めるなど、手続きがとても複雑になります。

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生命保険の受取人が死亡した場合には、速やかに変更を申請するのが無難です。

保険金を受け取る人によって税金が変わる

生命保険の保険金を受け取る際には、保険契約者、被保険者、受取人の関係によってかかる税金が変わります

ここでは、死亡保険金を受け取る際にどのような税金が発生するのか、パターンに分けて解説します。

【死亡保険金の受取人パターン】

契約者 被保険者 受取人 税金の種類
A A BもしくはC 相続税
A B A 所得税
A B C 贈与税

相続税が生じる場合

契約者=被保険者で、受取人のみ異なる場合、相続税の課税対象になります。

なお、保険金に相続税が課税される場合には、下記の軽減措置が適用されるので覚えておきましょう。

死亡保険金に関して、法定相続人1人あたり500万円の控除

死亡保険金-(500万円×法定相続人)=相続税の課税対象

 

例:契約者=父、被保険者父、受取人=母・子の2人  死亡保険金1000万円
1000万円-(500万円×2人)=0 よって、課税額は0。

死亡保険金額が上記の式で求められる金額よりも大きかった場合には、その分だけ相続税の課税対象となります。

しかし、税額控除制度には、死亡保険金に関するものだけでなく、相続財産全体に適用される控除制度もあるため、よほど遺産額が大きくない限り、相続税はあまりかかりません。

相続税の控除

遺産の総額-{基礎控除3,000万円+(600万円×法定相続人数)}=課せられる相続税の課税対象額

相続人が配偶者の場合の税額控除

相続する遺産が1億6,000万円以下、もしくは配偶者の法定相続分までは非課税

所得税が生じる場合

契約者=受取人で、被保険者のみが異なる場合、死亡保険金は「一時所得」という扱いで所得税の課税対象となります。

一時所得として受け取った保険金額は、下記の税額控除を経て総所得額として算出されます。

なお、一時所得の金額には、保険金だけでなく他の所得も含まれます。

こうして求められた総所得額に対して、最終的に所得税が課せられる仕組みです。

 

死亡保険金を受け取った際の一時所得の計算
(死亡保険金-支払った保険料累計)-特別控除額50万円=一時所得の金額

一時所得の金額×1/2=総所得金額に算入する額

この時、支払った保険料が支給された死亡保険金額より少ない場合には、一時所得の金額は0になります。

贈与税が生じる場合

契約者、被保険者、受取人のすべてが異なる場合、保険金は贈与税の課税対象となります。

贈与税は、下記の計算式で求めることができます。

なお、贈与税には、保険金以外にも「贈与」の対象に当てはまる財産が加えられて計算されます。

 贈与税の計算方法
受け取った死亡保険金-基礎控除110万円=課せられる贈与税の課税対象額

以上のように、契約者と被保険者と受取人の関係によって、課税される税金が異なります。

ポイントになるのは、「誰が保険料を払って」「誰が保険金を受け取るのか」という点。

お金を払った人間と受け取った人間が同じなら所得税、違うなら相続税もしくは贈与税になります。

相続対策の一環で他人や子供にする場合の注意点

ここまで説明してきた通り、生命保険の受取人は所定の血族、もしくは事情があれば他人でも良い場合があります。

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しかし、「他人」と「子供」を指定する場合は、いくつか注意をしなければいけません。

他人を受取人にした場合は税金負担が重くなる

もし、生命保険の死亡保険金の受取人が、法定相続人の範囲に含まれない「他人」に決められていた場合、この受取人は、先ほど説明した税額控除制度を使うことはできません。

 2割増しの相続税が課せられてしまう

相続税額の2割加算と呼ばれ、相続によって財産を取得した人が、被相続人の一親等の血族(被相続人の実子が死亡している場合、その実子もこの範囲に含まれる。)

および配偶者以外の場合には、その人の相続税額に2割に相当する金額が加算されると法律で定められているのです。

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もし死亡保険金を受け取る人物を他人に指定した場合には、このような税額面でのデメリットが発生することを把握したうえで決める必要があります。

未成年の子供を受取人にした場合は手続きが煩雑

生命保険の死亡保険金は、原則何歳の人間が受取人になっても問題はありません。

そのため、子供が受取人になることも可能です。

 子供が未成年の場合は注意が必要

しかし、受取人に指定した子供が、未成年のうちに死亡保険金を受け取る場合、親権者もしくは未成年後見人が手続きを行う必要があります。

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この「未成年後見人」というのが、非常に手続きが面倒です。

というのも、未成年後見人は裁判所が選任するため、数ヵ月ほど時間がかかるケースがあり、保険金が請求できるようになるまで時間がかかるのです。

このような手間がかかるくらいなら、よほどのことがない限り未成年の子供を指定するのはやめ、父・母親など所定の親族を指定した方がよいでしょう。

受取人になれる人・なれない人【内縁・彼女・未成年は?】

読者
基本的には配偶者もしくは二親等の以内の血族に準ずるような関係でも、受取人にはなれないのでしょうか?

配偶者もしくは二親等以内の血族以外の人が保険金受取人になることを「第三者受取人」などと呼び、一部の保険会社は一定の条件のもとで第三者受取人を認めています。

内縁関係・事実婚の場合

正式に結婚はしていない(婚姻届を未提出)けれども、相当するような形で共同生活を送っている男女を「内縁関係」や「事実婚」などと呼びます。

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内縁と事実婚に法律上の違いはありません。

保険会社は内縁・事実婚の相手を第三者受取人として認めるケースが多いですが、内縁・事実婚と認められるためには、結婚に相当する関係として共同生活を送っている必要があります。

そのため、担当者との面談が必要など、保険会社の規定に従って審査を受けなくてはなりません。

 一つの策として

このとき、住民票をひとつにしておくことは必須ではありませんが、共同生活を証明するうえで重要なポイントになるでしょう。

住民票上では事実婚の相手を「夫(未届)」「妻(未届)」と表記することもできます。

これも、結婚に相当する関係であることを客観的に示す証拠になります。

婚約者・交際相手の場合

「共同生活には至っていないけれども、婚約している」または「いずれ婚約するかもしれないけれども今はまだ交際相手」という段階の相手はどうでしょうか。

この場合、保険金の受取人になることは難しいでしょう。

やはり、内縁・事実婚レベルの関係と認められる必要があります。

同性パートナーの場合

同性パートナーを配偶者に相当するものとして保険金受取人にできる保険会社もあります。

受取人の指定ができる保険会社でも、申し込みにあたって必要な手続きはそれぞれ異なります。

何が必要となりますか?
同居を証明する書類(住民票など)や、保険会社所定のパートナー関係を確認する書類への署名などが必要な場合が多いようです。

結婚していない相手との間の子の場合

結婚していない相手との間に子どもがいる場合はどうなるでしょうか。

子どもを認知している場合は、非嫡出子という形ではあっても戸籍上の子には違いありませんので、問題なく受取人になることができます。

 認知をしていないと厳しい

しかし、認知をしていない場合は、血縁であっても法律上は他人となってしまい、受取人になることはできません。

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いずれの場合も、第三者受取人の指定は保険会社の個々の規定や、ケースバイケースによるところも大きいため、事前に保険会社と相談しておくことが大切です。

保険金額に上限が課せられる場合もあります。

まとめ

さて、今回は生命保険の受取人について確認してきましたが、いかがでしたか?

生命保険の受取人には、配偶者もしくは二親等の以内の血族を指定することが可能ですが、同性のパートナーや事実婚の相手を指定することができる保険商品も増えてきています。

基本的には、生命保険の受取人は保険料を払う契約者の意思で決めるべきです。

しかし、受取人の死亡によって保険金を受け取る人が想定外の人物になってしまったり、思ってもいなかった相続税や贈与税が課税されたりする可能性もあります。

くれぐれもトラブルが起こらないように、時には遺言を用意するなど、生命保険の受取人や税金については慎重に検討することをおすすめします。

監修者
弁護士 石原 一樹
2013年ヤフー株式会社に入社。法務部等において、法令調査、契約書作成や子会社管理、役員会議事務局等の企業法務全般の業務に従事。2015年外資系法律事務所東京オフィスにて勤務し、同オフィスパートナーが独立し設立した窪田法律事務所に参画。 特許、商標等知的財産権に関する業務に加え、企業破産管財事件、契約書作成等の企業法務案件(係争案件・非係争案件)、刑事案件など幅広い業務に従事。2017年スタートアップ・ITベンチャー企業に特化したリーガルサービスを提供するSeven Rich法律事務所を設立。
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