親の介護にはいくら必要?費用負担と頼れる制度を解説!

そこで、1つのきっかけとして親の介護についてや、介護費用などについて考えていきましょう。
目次
親の介護費用はいくら用意しておくべきか
親の介護費用にどれくらいの費用がかかるか考えたことはありますか?
また、親の介護費用は貯蓄していますか?
しかし、それだけでは足りないとなった場合、子ども達に親の介護費用の負担がやってくる可能性があります。
そのときに慌てないように、親の介護にどれくらいの費用がかかるのか把握しておきましょう。
自己負担額は所得によって変動して、1割負担から3割負担までです。
多くの方は1割負担となりますが、介護の必要度によって介護サービスに使える金額が変動します。
そのため、さほど介護が必要ない人と認定されると介護サービスに使える金額が少なくなるでしょう。
*公益財団法人生命保険文化センター「平成30年度生命保険に関する全国実態調査」
ただし、月15万円以上という分布帯が15.8%と最も多いというのも事実です。
介護の何にどれくらいかかる?介護の費用と相場
親の介護費用で必要となるものは大きく4つに分類されます。
- おむつなどの介護用品
- 医療費
- 税金や社会保険
- その他
介護認定の種類によって費用の分布も変化してきますが、平均すると介護用品や税金・社会保険の割合が多いです。
そのほか、親の介護が必要となった時のために、家のリフォームや介護用ベッドを購入したりと介護における初期費用がかかる場合もあります。
家の中で歩きやすいように手すりをつけたり、段差をなくしたりといった家のリフォームについては自治体によっては一部補助している場合もあるようです。
*公益財団法人生命保険文化センター「平成30年度生命保険に関する全国実態調査」
そのため、親の介護における初期費用は家の状況や親の介護がどれだけ必要なのかなどさまざまな要因が関係するというのがわかるはずです。
どちらにしても介護には費用がかかるということを理解し、備えておく必要があります。
介護費用は誰が出すべき?兄弟での負担分担は?
親の介護が必要となったときに費用とは別に問題となるのが、誰が親の介護をして誰が親の介護費用を負担するのかということです。
子ども達で不足分を負担するとなっても、誰がどれだけ負担して誰が親の介護を主体となって行うのかなど子ども間でもめてしまいます。
昔は長男の家族が親の介護を行うといった風習がありましたが、現代ではそのような決まりは特にありません。
しかし、以前の風習を持ち出して長男家族に負担が強いられる場合もあるでしょう。
また、親の家の近くに住んでいるからという理由で親の介護を主体となって行わなければならないという場合もあるかもしれません。
また、親の介護をしている中でストレスがたまり体調を崩したり、親の介護をしていない他の兄弟が介護について口出しをしてきたりなど親の介護をめぐって多くの問題が出てくる可能性もあるかもしれません。
遠方にいるから親の介護費用を少しでも負担するという兄弟もいれば、自分の生活も大変だからと親の介護費用は負担できないと断る兄弟もいるでしょう。
こういったことが積み重なることで、相続時に親族間でいざこざが起きる場合もあります。
親の介護によってさまざまな問題が起きることが想定できますが、以上のことはほんの一部に過ぎません。
費用面だけでなく、家族関係、精神面などいろいろとシミュレーションしておく必要があります。
親が元気でいると親の介護の話や費用の話はしづらいものですが、後々家族みんなが嫌な思いをしないためにもお互い思いやりを持って、事前に話し合っておきましょう。
事前に専門家に相談してから家族と話し合ったり、家族と一緒に相談に行くのも一つの手です。
どのように備えるべき?介護保険?貯蓄?
親の介護には費用がかかるということはわかりましたが、親の介護費用はどのように備えておくべきなのでしょうか?
また、自分に介護が必要となった場合にも介護費用がかかります。
これらの介護費用はどのように準備しておくとよいのでしょうか?
親の介護費用は基本的には親に負担してもらうようになるかもしれませんが、不足分は子どもにも負担が強いられるかもしれません。
たとえば、民間の介護保険は保険会社で自ら条件を選択して加入できます。
選択した条件によって給付額や保険料が異なりますが、いざ介護が必要となったときに保険会社に申請することで給付金がもらえるので、安心できるでしょう。
ただ、条件によっては給付対象とならない場合もあるので、どういった条件の介護保険に加入するのかは保険会社のコンサルタントとしっかり相談しておく必要があります。
親の介護や自分の介護費用は貯蓄という方法で準備しておくのもおすすめです。
貯蓄には、預金や投資などさまざまな方法があります。
*公益財団法人生命保険文化センター「平成30年度生命保険に関する全国実態調査」
介護期間は人によってさまざまですが、必要最低限の費用を準備しておこうと考えると、月約8万円を約5年間で約480万円必要ということになります。
実際には年金や他の収入から充当できるので、480万円はいらないということもあるかもしれません。
しかし、介護期間が長くなったりその他のことで支出が多くなったりすると、480万円では足りないということもあり得るでしょう。
これらをもとに、親や兄弟と親の介護費用について話し合う機会を持ちましょう。
どのようにしていくべきか迷うときは、専門家を混じえて相談するのも良い案です。
次に、親の介護の方法は、自宅だけとは限りません。
老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅に入居するという場合もあります。
これらの場合、入居時や月々費用が必要となります。
自宅で介護しない場合も親の介護費用はかかってくるので、どういった方法をとるのがベストなのかということも考えておく必要があるでしょう。
まとまった貯蓄がある人やある程度の年金が支給されるという人の場合は、こういった施設を検討するのも方法かもしれません。
そのほか、親の介護費用で苦労したという人は、子どもに迷惑をかけないようにと貯蓄を始める人も多いです。
また、老後の資金ということで保険会社の個人年金に加入するのもいいかもしれません。
介護にかかる費用を把握することで、どれだけ貯蓄が必要なのかということが見えてくるので、家計や保険の見直しをしてみるのも良いでしょう。
親の介護費用が払えない場合、どうする?
まずは専門家や行政、施設に相談を
介護費用に困った場合、まずは家族だけで悩まず、関係各所に相談してください。
施設に入所している場合も、利用料を滞納したからといってただちに退去となることは少なく、ある程度は猶予があるのが一般的です。
その間に、施設の担当者に相談してみましょう。
介護費用については、高額介護サービス費制度や、負担限度額認定制度といった、公的な減免制度があります。
こうした制度を利用できないかを、ケアマネジャーや、住んでいる地域の福祉担当窓口などに相談するのが先決です。
融資を受ける場合は公的なもの、福祉目的のものを利用
減免制度などを活用してもお金が不足する場合は、融資(借り入れ)を検討します。
ただし、キャッシングやカードローンのようなものはおすすめできません。
金利負担が大きく、長期的な借り入れには向かないからです。
代表的なものとして、地域の社会福祉協議会を窓口とする「生活福祉資金貸付制度」が挙げられます。
自宅が持ち家で、担保不動産として価値があるなら、同じく社会福祉協議会を窓口とする「不動産担保型生活資金」という貸付制度もあります。
担保があるぶん、より多くの額を借り入れることが可能です。
やむをえない場合は生活保護の申請を
生活保護の申請は地域の福祉事務所が窓口になりますが、生活保護以外にも利用できそうな制度などがないか、相談に乗ってもらうことができます。
生活保護は、最低限の生活費とされる額から、受け取っている公的年金などの収入額を差し引いた差額(=不足分)を、「生活扶助」として支給するのが基本的な仕組みです。
介護を受ける必要がある人は、生活扶助とは別に、「介護扶助」として、介護サービス費にあたる実費が支給されます。
扶助は、行政から介護サービス事業者に直接支払われます。
知っておくと得をする介護休業制度
親の介護をする年齢の多くが40代から50代と、仕事上で重要な役割をしている立場の人が多くなります。
これは、出産後の育児休暇とも重なる問題で、育児と介護は似たような性質を持っています。
しかし、中高年で会社を辞めてしまうとなかなか新しい仕事に就けないなど、介護後の生活に行き詰ってしまう可能性もあります。
そういった介護離職を防ぐために生まれたのが、介護休業制度です。
対象となる家族の範囲も広く、配偶者や父母はもちろん、配偶者の父母や祖父母、兄弟姉妹、孫なども当てはまります。
配偶者にいたっては、事実婚の場合でも対象です。
休業中の保障は事業主と労働者との契約で異なりますが、不利益取り扱いの禁止や時間外労働の制限などいくつかの配慮によって労働者は守られることとなります。
親の介護などによって著しく賃金が低下した人は、申請することによって介護休業給付金が受けられます。
介護休業給付金はある一定期間で、決められた計算式によって算出されます。
通常勤務していたときの賃金より支給額は減ってしまいますが、無給で介護をしなければならないという場合よりも金銭面での不安は軽減されるでしょう。
働き方や給付金の有無なども異なってくるので、このような介護休業制度があるということを頭の片隅にでも入れておくだけでも違うのではないでしょうか。
介護休業制度を上手に活用して介護と仕事を両立し、介護される側も介護する側もストレスを軽減できるようにしましょう。
低所得者・1ヶ月の利用料が高額の際利用できる軽減制度
公的な介護保険制度を通じて介護サービスを受けた場合、サービスに対する費用の1割が自己負担とされています。
そこで、介護の費用負担が高額な場合に使える制度を紹介しましょう。
高額介護サービス費
高額介護サービス費は、月ごとに自己負担した介護サービス費が一定の限度額を超えた場合、超えたぶんが公的介護保険から支給されるというものです。
限度額は世帯の所得などによって異なります。
区分 | 負担額の上限(月額) |
現役並み所得者がいる世帯 | 44,400円(世帯) |
世帯のだれかが市町村民税を課税されている | 44,400円(世帯) |
世帯の全員が市町村民税を課税されていない | 24,600円(世帯) |
世帯の全員が市町村民税を課税されておらず、 前年の合計所得金額と公的年金収入額の合計が年間80万以下の方など |
24,600円(世帯) 15,000円(個人) |
生活保護を受給している方等 | 15,000円(個人) |
つまり、介護サービス費については、毎月この表にある限度額以上にはかからないということです。
さらに、1年間に医療費の自己負担額と介護サービス費の自己負担額を合算した額が一定以上であれば、やはり超えたぶんが支給される高額介護合算療養費という仕組みもあります。
ただし、ここでいう介護サービス費には、次のものは含みません。
- 施設サービス利用の場合の住居費・食費
- 住宅改修費
- 福祉用具の購入費
負担限度額認定制度
負担限度額認定制度は、介護保険施設を利用する際の住居費・食費を軽減できる制度です。
ショートステイでも利用できます。
介護保険施設とは、以下のようなものです。
- 特別養護老人ホーム(特養)
- 介護老人保健施設
- 介護療養型病床
この制度では、所得や預貯金などの額から、1~4の段階のいずれかの認定を受けます。
第1段階 | 世帯全員が住民税非課税で老齢福祉年金の受給者または生活保護等の受給者 |
第2段階 | 世帯全員が住民税非課税で合計所得金額と公的年金等の収入額の合計が年間80万円以下の方 |
第3段階 | 世帯全員が住民税非課税で上記2段階以外の方 |
第4段階 | 上記以外の方(※限度額なし=この制度の対象ではないということ) |
上記に加え、預貯金などの資産の合計額が、配偶者と合わせて2,000万円以下(配偶者がいない場合は1,000万円以下)であることが条件になります。
これらの条件を満たすことを市町村に申し出て認定を受け、事前に負担限度額認定証を発行してもらうことで利用できます。
この制度を利用すれば、たとえば第3段階の人であれば、食費は1日あたり650円が限度額となり、それ以上はかかりません。
まとめ
元気な人に介護の話をしたり、親がどれだけ貯蓄があるのかを聞いたりするのは家族といえども話しにくいことでしょう。
家族同士の関係がこじれてしまうと、他人同士よりも修復が難しい場合があります。
話し合いの場は、そういったことを事前に防ぐ役割もあるのです。
そのほかには、親の介護が必要となった場合に誰が主体となって動くのか、費用についてはどのように負担するのかということも話し合っておくと安心です。
自分の親の介護だからこそ、本人が介護に対してどういった意向があるのかということも把握しておく必要があります。
介護付きの老人ホームに入りたいというかもしれませんし、自宅で介護してほしいというかもしれません。
家族全員が集まる機会があれば、ぜひみなさんで話し合ってみてください。
保険商品のご検討にあたっては、「契約概要」「注意喚起情報」「ご契約のしおり」「約款」などを必ずご覧ください。
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