出産費用は平均でどれくらい必要?助成金制度も忘れずに活用!

出産を控え、新しい家族との出会いを心待ちにする一方、入院や分娩に平均いくらぐらいの費用が必要になるのか不安な女性も多いですよね。
出産費用の平均額は入院・分娩をする医療機関や分娩方法によって大きく異なります。
ここでは、それぞれの医療機関や分娩方法別の費用平均、都道府県別の費用平均などをご紹介。
また入院・分娩にかかる高額な出産費用を抑えるための公的な補助制度についても解説しています。
かかるお金ともらえるお金をきちんと理解し、安心して出産を迎えられるように準備していきましょう。
出産にかかる費用の平均はいくら?
出産を迎えるにあたって最も高額になるのが入院・分娩にかかる費用です。
医療機関や分娩方法によって平均額に数十万円の差が出ることもあるので、旦那さんとよく相談して選ぶようにしましょう。
まずは各医療機関と分娩方法による費用平均について解説していきます。
医療機関別の費用平均
出産前は検診や準備のため平均で6日ほどの入院が必要となり、入院費や検診料金が発生します。
入院・分娩に対応している医療機関は主に次の3か所です。
- 病院
- 診療所
- 助産院
それぞれの特徴と費用平均を見ていきましょう。
病院
国民健康保険中央会が発表した平成28年度のデータによると、病院で入院・分娩をした場合の費用平均は51万1,652円。
出産育児一時金として42万円を受け取ることができるので、差し引きして残った9万円程度が平均的な自己負担額となります。
病院には「総合病院」と「個人病院」があり、それぞれ特徴が異なります。
総合病院は病院の規模が大きく、産婦人科以外の科も整っているため、持病の症状に不安がある方や合併症のリスクがある方などは総合病院の方が安心です。
個室を選ぶと室料差額が発生しますが、大部屋であれば平均より安い値段で入院することも可能でしょう。
個人病院は全室個室となっているところやエステ・食事などのサービスが充実しているところが多いです。
オシャレな空間で快適な入院生活を送りたいという方は個人病院がおすすめ。
ただしサービスがしっかりしている分、入院費用の平均はやや高めです。
また産婦人科以外の科を受診する必要がある場合は他の病院へ搬送されるため、移動などの手間がかかります。
診療所
診療所とは、病院よりも規模が小さく、ベッドが19床以下の医療機関を指します。
平成28年度の費用平均は50万1,408円となっていました。
病院と診療所のサービスには違いがほとんどありませんが、施設の大きさや医師の人数が縮小されている分、入院費用の平均も安くなっているようです。
自宅から通いやすい位置に診療所がある場合は、診療所での入院・分娩でも問題ないでしょう。
助産院
助産院はベッドが9床以下の医療機関のことで、医師ではなく助産師が入院・分娩の対応をしています。
平成28年度の費用平均は46万4,943円。
出産育児一時金と相殺すれば平均的な自己負担額は5万円程度になります。
助産院は地域密着でアットホームな雰囲気のところが多く、リラックスして過ごしたいという方におすすめです。
自宅で出産したいといった希望にも融通を利かせてくれるのが特徴となっています。
ただし、助産師は医療行為を行うことができないため、帝王切開による出産や陣痛促進剤などの投薬を要する場合は他の医療機関を利用することになります。
費用平均は病院や診療所よりも安いので、普通分娩で出産できる状態であれば助産院の利用も検討してみましょう。
分娩方法別の費用平均
出産方法は大きく以下の3つに分けられます。
- 普通分娩(自然分娩・正常分娩)
- 帝王切開(異常分娩)
- 無痛分娩
それぞれの特徴と費用平均を見ていきましょう。
普通分娩(自然分娩・正常分娩)
前述した各医療機関での入院費用の内、平均25万円程度が分娩費用にあたります。
普通分娩ではメスを入れたり投薬をしたりせずに母体の力のみで出産を行うため、公的医療制度の対象にはなりません。
全額が自己負担になることを覚えておきましょう。
帝王切開(異常分娩)
帝王切開は手術を伴う出産になるため、公的医療制度の対象として認められ、実費の3割負担で済むという特徴があります。
とは言え処置や投薬分の料金が上乗せされるので、最終的には普通分娩よりも平均10万円程度金額が高くなることが多いです。
帝王切開だけでなく切迫早産や切迫流産、人工妊娠中絶による堕胎(金銭的な理由の場合を除く)、死産なども保険を適用することが可能。
民間の医療保険も併用できる場合があるので、一度加入している保険会社へ手続き方法を確認してみましょう。
無痛分娩
無痛分娩は麻酔薬を使うことで出産時の痛みを軽減する分娩方法のことです。
麻酔の有無以外は普通分娩と変わらず、こちらも保険などは適用外となります。
麻酔の料金などが追加されるため、普通分娩と比べて平均10万円~20万円程度金額がアップします。
金銭的に余裕があり、痛みを避けたい方は無痛分娩を選択することも検討してみてくださいね。
都道府県別の費用平均
入院・分娩費用は都道府県によっても平均が異なることをご存知でしょうか。
平成28年度の都道府県別の出産費用平均データでは、最も高額な費用がかかるのが東京都、最も安いのが鳥取県という結果でした。
出産費用の平均額が高い都道府県は以下の通りです。
都道府県 | 出産費用の平均(平成28年) |
東京都 | 62万1,814円 |
神奈川県 | 56万4,174円 |
栃木県 | 54万3,457円 |
宮城県 | 53万5,745円 |
埼玉県 | 53万1,609円 |
続いて、出産費用の平均額が低い都道府県は以下の通りです。
都道府県 | 出産費用の平均(平成28年) |
鳥取県 | 39万6,331円 |
熊本県 | 41万5,923円 |
沖縄県 | 41万8,164円 |
宮崎県 | 42万8,157円 |
大分県 | 43万141円 |
このように、関東圏や都市部では費用平均が高く、九州・沖縄エリアでは比較的平均額が低いことが分かります。
中でも鳥取県は40万円を下回っており、出産育児一時金を利用すれば実質無料で出産ができることになります。
東京都と鳥取県の平均額の差は20万円以上にもなるので、地方に実家がある場合は里帰り出産を選択するのも1つの方法かもしれません。
その他の費用
入院・分娩にかかる費用の他にも、入院から出産、更に産後の育児と様々なシーンでお金が必要です。
妊娠期間にかかる主な費用として、妊婦さんと胎児の健康をチェックするための妊婦健診の受診料があります。
平均14回ほど受診することになり、検査項目によって毎回3,000円~15,000円程度かかります。
ただし妊婦健診費用については自治体から補助券を交付してもらえることが多く、大半は補助券で賄うことが可能です。
それでも初診料や一部の費用は自己負担が必要なので、平均5万円程度は想定しておきましょう。
またお腹に負担がかからないリラックスウェアや靴、クッションなどのマタニティ用品の購入も必要です。
産後・退院後は赤ちゃん用の服やチャイルドシートなどベビーグッズにもお金がかかりますし、内祝いのお返しなども考えなければいけません。
この辺りの購入費用は当然ながら全て自己負担となります。
妊娠が分かってから産後に至るまで、総額で平均50万円~100万円の費用を見ておく必要があると言えます。
出産費用の平均負担額を減らす6つの制度
妊娠から産後にかけて、平均50万円以上のまとまったお金が必要になることが分かりました。
とは言え、授かり婚など急に妊娠が分かった場合はお金を準備するのが間に合わないかもしれません。
ここからは、国や自治体が行っている出産費用に対する公的な補助・制度についてご紹介。
- 出産育児一時金
- 出産手当金
- 高額療養費制度
- 傷病手当金
- 医療費控除
- 育児休業給付金
中には一定の条件を満たさなければいけないものもあるので、自分が対象になるかどうか確認しつつ読み進めてみてくださいね。
出産育児一時金
出産育児一時金は、健康保険に加入している方もしくは加入者の扶養家族の方が受けられる補助になります。
補助額は子供1人につき42万円(産科医療補償制度に未加入の医療機関では40万4,000円)となっており、入院・分娩にかかる費用の大半を賄ってくれる嬉しい制度です。
また、「妊娠4か月以上の出産」が条件のため、流産や死産、またやむを得ず胎児を降ろす判断をした場合でも期間が該当していれば支給してもらえます。
出産育児一時金は、出産後に必要書類を申請することで健康保険組合から口座へ入金されます。
先に立替払いをすることが難しい場合は、「直接支払制度」または「受理代理制度」の利用がおすすめ。
直接支払制度では、健康保険組合から医療機関へ直接入金という形になり、支払うのは差額分のみで済みます。
また受理代理制度では、被保険者の代理人として医療機関を指定し、出産育児一時金の受け取りを委任することができます。
どちらも事前申請・承認が必要となるので、事前に医療機関へ相談するようにしましょう。
出産手当金
出産手当金は産休期間中に給料の代わりとして支給される手当のことで、健康保険に加入している方であれば対象となります。
産休以前の給料平均の3分の2(67%)を日割り計算した金額を受け取ることができます。
中には出産手当金ではなく、満額~8割程度の給料を支給してくれる企業もあるので一度確認しておくと良いでしょう。
例として、月給平均20万円の女性が産休を取得して出産手当金を受け取る場合の計算をシミュレーションすると以下のようになります。
20万円 ÷ 30日(日割り) × 0.67 × 98日(産前42日・産後56日間) = 約43万7,000円
上記の産休日数はあくまで平均値であり、必ずしも上記の通りではありません。
いつから産休に入るか、産後はいつから育休に切り替えるかを踏まえて計算してみてください。
傷病手当金
傷病手当金は切迫早産や妊娠悪祖(つわり)など妊娠中のケガや病気によって連続4日以上仕事先を休んだ場合に支給される手当金です。
国民健康保険は対象外となり、自身が仕事先の健康保険に加入している必要があります。
計算方法は出産手当金と同じく、給料平均の3分の2(67%)を日割りしたものという形です。
ただし傷病手当金と出産手当金の受給時期が重なる場合は出産手当金が優先されるので注意。
双方の支給開始日がずれており、傷病手当金の方が高くなる場合については出産手当金との差額が追加支給されます。
高額療養費制度
高額療養費制度は、帝王切開による出産や切迫早産、妊娠中の合併症などによる手術・治療で発生した費用の一部を負担してくれる制度です。
3割負担が適用されても費用が高額になるという場合に利用できるものなので、はじめから保険適用外の普通分娩や無痛分娩の方は利用できません。
また医療費として認められるのは手術・治療に対する費用のみ。
帝王切開であっても分娩費用以外は自己負担となりますので注意しましょう。
また所得や年齢によって補助金の上限額が変動するため、一度確認しておくことをおすすめします。
健康保険・共済組合の場合は各窓口、国民健康保険の場合は市役所が申請先となります。
医療費控除
医療費控除は年間の医療費が10万円を超えた場合に、確定申告によって一部を還付してもらえる制度です。
年末調整では処理できないため、会社員やパート勤務の方でも確定申告が必要となります。
確定申告で控除できる医療費は、通院時の交通費や病院での食事代、入院・分娩費用など出産に直接関わる費用のみ。
里帰りの帰省費用や入院中に購入したパジャマ・洗面用品、病院食以外の食費などは含めることができません。
また医療費控除を申告することで戻ってくるのは、控除額に所得税率をかけた金額です。
申告した医療費そのものが戻ってくるわけではないので計算を間違えないように注意しましょう。
出産した本人だけでなく、旦那さんや子供のケガや病気にかかった治療費も合算することができます。
出産年に後回しにしていた治療をまとめて行い、家族で最も所得の高い人が確定申告をすると高い節税効果が期待できます。
育児休業給付金
育児休業給付金は産後の育児のために会社を長期間休む場合に支給される給付金のことです。
育休以前に支払われていた給料平均の50%(最初の180日間は67%)が支給額となります。
ただし育児休業給付金には下記の条件があり、全てを満たしている必要があります。
- 雇用保険に加入している65歳未満
- 育児休業開始前の2年間で被保険者期間が12カ月以上ある
- 育児休業中の給料が8割未満
- 育児休業中の就業日が毎月10日以下
- 育児休業終了後は退職せず復帰予定
育児休業給付金は雇用保険に加入していることが必須条件のため、自営業や専業主婦の場合は適用外です。
また妊娠を機に退職する場合や、育休後の退職が確定している場合も適用されません。
最近は旦那さんも育休を申請する割合が高まっているので、女性側だけのことと思わず協力して育児に取り組める体制を整えましょう。
まとめ
- 入院・分娩にかかる平均費用は約50万円
- その他の費用を含めると平均100万円以上かかる可能性も
- 国や自治体による補助を有効活用すれば費用は大きく抑えられる
赤ちゃんを産むためには高額な費用がかかりますが、公的な補助を使いこなせばほとんどを賄うことが可能になります。
妊娠が分かってから慌てなくて済むように、あらかじめ夫婦できちんと話し合っておくことが大切です。
保険商品のご検討にあたっては、「契約概要」「注意喚起情報」「ご契約のしおり」「約款」などを必ずご覧ください。
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