帝王切開の費用はいくら?出産の助成制度や保険を確認!

妊娠が分かったあと、健診での経過が順調なら問題ありませんが、お腹の赤ちゃんが双子だったり、逆子の状態が治らなかったりすると帝王切開による出産を勧められることもあるでしょう。
ここでは、帝王切開による出産にかかる費用と保険・助成制度について詳しくご紹介します。
この記事は5分程度で読めます。
自己負担を抑える方法を理解し、出産に対するお金の不安を解消していきましょう。
帝王切開とは?出産費用はいくらかかる?
妊婦さんまたは胎児の状態に何かしらの問題があり、普通分娩(自然分娩・正常分娩)が難しいと判断された場合に実施される手術となります。
帝王切開が選択されるケースと帝王切開にかかる費用、普通分娩の費用との違いについて詳しく見ていきましょう。
帝王切開となるケース
帝王切開による出産を勧められる理由は様々ですが、以下のようなケースでは帝王切開になる可能性が高いようです。
- 多胎妊娠
- 逆子
- 前置胎盤
- 児頭骨盤不均衡
- 妊娠高血圧症候群
これらについて、少し詳しく見ていきましょう。
多胎妊娠
双子や三つ子など複数の胎児を出産する場合は帝王切開になりやすいです。
逆子
中には出産前に自然と治り、直前になって普通分娩に戻せることもあるようです。
前置胎盤
妊娠後期から出産にかけて出血のリスクが高まり、母子の生命にかかわることもあるため、帝王切開での出産となることがほとんどです。
児頭骨盤不均衡
赤ちゃんの頭が大きい(もしくは妊婦さんの骨盤が小さい)と、赤ちゃんが骨盤を通り抜けられず、出産が難しくなってしまいます。
妊娠高血圧症候群
妊娠高血圧症候群になると、子宮や胎盤で血流が滞り、胎児が栄養不足や酸素不足の状態になってしまいます。
最悪の場合、子宮内胎児死亡となる可能性もあるため、早めの帝王切開が必要です。
あらかじめ帝王切開の日程を決めて準備していくことを「予定帝王切開」、母子の健康状態に問題が生じて急きょ帝王切開となることを「緊急帝王切開」といいます。
妊婦健診では普通分娩が可能とされていた女性であっても、お産が始まってから帝王切開に切り替わる可能性もゼロではないのです。
また、過去に帝王切開で出産している場合は2人目以降も帝王切開になることが多いです。
帝王切開で出産した場合の費用
入院費用や検診費用、病院で提供される食費など入院にかかる費用が約25万円、出産時にかかる分娩費用が約25万円という内訳です。
また、普通分娩の場合と同じく、妊婦健診費用や肌着・リラックスウェアなどマタニティ用品の購入にもお金が必要です。
産後は赤ちゃん用のロンパースやカバーオールといったベビー服・おむつ・ベビーカーなど次から次へと必要なものが増えていきます。
帝王切開は健康保険が適用できる
通常、妊娠・出産はケガや病気ではないため健康保険の適用ができず、出産にかかる費用は全額自己負担となります。
帝王切開の場合は手術などの医療行為を伴うため、健康保険が適用され費用は3割負担で済むのです。
とは言え、全ての費用に対して保険が使えるわけではありません。
帝王切開での出産にかかる費用の中で保険が適用される部分を覚えておきましょう。
保険が適用される費用の種類
健康保険が適用できるのは、ケガや病気の治療にかかる医療費の部分のみとなっています。
新生児の保育や検査の費用も基本的には全額自己負担ですが、NICUでの入院・治療が必要な場合などは保険を適用することができます。
帝王切開による出産割合は増えている
厚生労働省が発表したデータによると、一般病院での帝王切開実施割合は平成2年では11.2%、平成20年で23.3%でしたが、平成29年度は25.8%でした。
- 高齢での出産率が増加したこと
- 医療技術の進歩により帝王切開のリスクが減ったこと
など
医療保険に加入している場合、保険はおりる?
帝王切開は入院給付金・手術給付金の対象に
入院した日数に応じて入院給付金が支払われますし、帝王切開を保障対象の手術とみなして所定の手術給付金も支払われます。
手術給付金は入院給付金の日額を基本保険金額として、手術の程度に応じて日額の5倍、10倍、20倍などといった形で支払われます。
入院給付金日額1万円、手術給付金10倍の保険に加入していて、10日間入院し、帝王切開を受けた場合、
入院給付金:10万円(1万円×10日)
手術給付金:10万円(1万円×10倍)
として、合計20万円が受け取れます。
また、「女性疾病特約」など、所定の女性疾病の場合に給付金を支払う特約がありますが、帝王切開はこの「所定の女性疾病」に含まれます。
保険加入時の注意点
医療保険に加入していれば帝王切開の費用についても保険でカバーすることが可能ですが、それを見越して保険加入を考える際は注意してください。
すでに妊娠している場合、新たに医療保険に加入できなかったり、できたとしても、帝王切開を含めた妊娠・出産に関係する治療などの費用が保障対象外になる場合があります。
つまり「条件付きの加入」しか認められないということです。
また、まだ妊娠していない場合でも、過去に帝王切開を経験した人は、やはり妊娠・出産関連については不担保となることがほとんどでしょう。
保険会社は、起こるかどうかわからない出来事(=保険事故)が起こる確率を統計的に予測することで、保険の加入者を制限したり、保険料を決めたりしています。
すでに妊娠中の人や、次回も帝王切開になることがほぼ確実な帝王切開経験者を加入させることは、保険会社の予測を超えた保険金支払いにつながるため、加入者間の公平性のためにも受け入れられないのです。
出産費用を抑えるために有効な補助制度
授かり婚など急に妊娠が分かった場合は貯蓄の準備ができていませんし、赤ちゃんが双子以上だった場合は追加のベビー用品を購入しなくてはいけません。
ここからは、国や自治体、また民間の企業が行っている出産費用に対する以下の補助・制度についてご紹介します。
- 出産育児一時金
- 出産手当金
- 高額療養費制度
- 傷病手当金
- 医療費控除
- 育児休業給付金
- 医療費助成制度
- 民間の医療保険
中には補助を受け取るために条件を満たす必要があるものや、あらかじめ自信で加入・申請しなくてはならないものもあります。
出産育児一時金
出産育児一時金は普通分娩や帝王切開などの分娩方法にかかわらず、健康保険から支給される補助金のことです。
- 健康保険に加入している方もしくは加入者の扶養家族の方が対象
- 子供1人につき42万円(産科医療補償制度に未加入の医療機関では40万4,000円)を受取可能
- 妊娠4か月(85日)以上であれば早産や流産(死産)、人工妊娠中絶などの場合でも支給対象
出産育児一時金は、出産後に必要書類を申請することで健康保険組合から口座へ入金されます。
通常は先に費用の全額を支払ったあとで一時金を受け取る流れになりますが、中には費用の立替払いが難しい方もいるでしょう。
直接支払制度を選択すると医療機関へ直接一時金が入金されるため、窓口では差額分の費用のみの支払いで対応できます。
受理代理制度の場合は、医療機関を被保険者の代理人として登録することで、出産育児一時金の受け取りを委任できます。
出産手当金・傷病手当金
出産手当金・傷病手当金は産休期間中に給料の代わりとして支給される手当のことです。

傷病手当金は切迫早産や妊娠悪祖(つわり)など妊娠中の体調不良によって連続4日以上会社を休んだ場合に支給される手当金です。
ただし、この2つの手当金を同時に受け取ることはできないので注意が必要です。
出産手当金と傷病手当金の受給時期が重なる場合は出産手当金が優先されます。
高額療養費制度
高額療養費制度は、一定の金額を超える医療費用を支払った場合に、超過分を返還してもらえる制度です。
健康保険から支給されるものなので、保険が適用となる帝王切開の医療費は高額療養費制度の対象となります。
ただし、医療費として認められるのは保険の適用範囲と同じく手術・治療に対する費用のみとなるため、帝王切開であっても入院費など分娩以外の費用は自己負担となります。
医療費控除
医療費控除は、年間の医療費が10万円を超えた場合に、確定申告をすることで一部を還付してもらえる制度です。
確定申告では、通院時の交通費や病院での食事代、入院・分娩費用など出産に直接関わる費用を控除額に含めることができます。
ただし、里帰り出産をする場合の帰省費用や入院中に購入したパジャマ・洗面用品、病院食以外の食費などは含めることができません。

- より所得の高い人が確定申告を行った方が高い還付金を受け取ることが可能
- 出産した本人だけでなく、配偶者や子供のケガや病気にかかった治療費も合算することが可能
育児休業給付金
育児休業給付金は、育児のために会社を長期休業し、その後復帰する見込みがある場合に支払われるお金です。
育休以前に支払われていた給料の50%(最初の180日間は67%)が支給額となります。
育児休業給付金には下記の条件があり、全てを満たしている場合のみ受け取ることが可能です。
- 雇用保険に加入している65歳未満
- 育児休業開始前の2年間で被保険者期間が12カ月以上ある
- 育児休業中の給料が8割未満
- 育児休業中の就業日が毎月10日以下
- 育児休業終了後は退職せず復帰予定
また、妊娠を期に退職する場合や、育休後の退職が確定している場合も適用されません。
医療費助成制度
医療費助成制度は各自治体が独自に行なっている助成金の制度です。
費用の助成額や対象年齢などは自治体によって大きく異なるほか、所得による制限が設けられている場合もあります。
一定の年齢までは医療費が無料になったり、育児に必要なお金が支給されたり、全国共通のお買い物券や割引券を配布している自治体もあります。
ただし、中には他の地域で出産した場合に助成の対象外とされる自治体もあるようです。
まとめ
- 帝王切開による出産の場合、普通分娩より10万円~20万円程度費用が高額になる
- 帝王切開は保険や助成金を活用することで費用を大幅に抑えられる
- 国や自治体からの費用補助だけでなく、民間の医療保険の利用もおすすめ
結婚して妊娠が分かり、出産を迎えるまでの一連の期間は楽しみや嬉しさがある一方で不安も大きいはず。

出産にかかる費用と補助についてきちんと理解し、安心して赤ちゃんを迎えられるように準備しましょう。
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