出産費用は都道府県によって違う!東京の平均費用を解説

出産費用は保険が適用できず、どうしても自己負担が大きくなりがち。
更に、地域によってもかかる費用が異なり、中でも東京都は最も高いということをご存知でしょうか。
東京都内は家賃なども高いですから、結婚・出産が続くと家計を圧迫してしまうかもしれません。
ここでは、全国の出産費用の相場と、出産に際してかかってくる費用の種類をご紹介していきます。
東京は高い!都道府県別の出産費用額

国民健康保険中央会が出した平成28年度の出産費用平均データ(https://www.kokuho.or.jp/statistics/birth/lib/h28nendo_syussan5.pdf)
では、最高値が東京都の62万1,814円、最安値が鳥取県の39万6,331円という結果でした。

全国平均は50万5,759円ですので、東京都は全国平均より10万円以上もの費用がかかることになるのです。
医療機関や出産方法によって前後するとは言え、この差を大きな負担に感じる家庭も多いはず。
地域ごとの費用の違いをもう少し詳しく見ていきましょう。
東京都は平均62万円で全国最高値


都道府県 | 出産費用の平均(平成28年) |
東京都 | 62万1,814円 |
神奈川県 | 56万4,174円 |
栃木県 | 54万3,457円 |
宮城県 | 53万5,745円 |
埼玉県 | 53万1,609円 |
この他、茨城県・群馬県・千葉県・愛知県・兵庫県など合計14の都道府県で平均値が50万円以上となっていました。
関東圏は全体的に出産費用が高く、中でも東京都は群を抜いて費用がかかることが分かります。
土地代や人件費といった様々な事情が影響しており、東京都だけでなく全国的にも年々出産費用は高騰しています。
出産時に国から支給される出産育児一時金が42万円ですので、上記地域での出産は10万円以上の費用を自己負担しなければなりません。
全国で最も安いのは鳥取県


都道府県 | 出産費用の平均(平成28年) |
鳥取県 | 39万6,331円 |
沖縄県 | 41万8,164円 |
熊本県 | 41万5,923円 |
宮崎県 | 42万8,157円 |
大分県 | 43万141円 |
40万円を下回っていたのは鳥取県だけ。
この他、山口県・高知県・鹿児島県など合計11の都道府県で平均値が45万円以下となっていました。
出産費用が安い都道府県は九州・沖縄エリアが中心であることが分かります。
東京都など都市部は出産費用が高く、地方に行くほど出産費用は安くなるということになります。
妊娠・出産にかかる費用の種類
上記の出産費用とは、出産直前の入院費用と、実際に出産をする際の分娩費用の合計金額のことです。
入院は一般的に産前の6日程度ですが、1日ごとに20,000円程度の入院費がかかります。
この期間に必要となる検診や処置・手当料金や、大部屋ではなく個室を希望した場合の室料差額などは全て入院費用に含まれます。
分娩費用は普通分娩(自然分娩・正常分娩)の場合で約25万円程度。
帝王切開や無痛分娩を選択した場合は10万円~20万円程度の上乗せ料金がかかります。
また、分娩が夜間や土日になった場合に時間外料金が必要となる医療機関もあるので覚えておきましょう。
更に、出産にかかるお金は入院・分娩の費用だけではありません。
妊娠時から出産、産後の育児に渡って必要となる費用には以下のようなものがあります。
- 妊婦健診費用
- マタニティ用品・ベビー用品購入代金
- 交通費など雑費
妊婦健診とは、妊婦さんと胎児の健康状態をチェックするために行う定期健診のことです。
妊娠から出産までの期間に約14回の受診が推奨されており、受診項目によって3,000円~15,000円の費用がかかります。
妊婦健診は保険が適用できないので全額自己負担となりますが、多くの自治体では妊婦健診の補助券を交付しており、こちらで賄うことが可能。
服や靴などのマタニティ用品・赤ちゃん服やチャイルドシートなどのベビー用品には10万円~15万円程度の費用がかかります。
この他、通院に利用する電車・バスなどの交通費や病院食以外の出前・外食費などがかかる可能性もあります。
東京は交通機関が発展しているため、電車・バスを利用する方も多いでしょう。
東京都は助成制度も豊富
東京での出産は他の都道府県よりも高額になりますが、一方で出産に対する東京都内の各区からの助成も充実しているという特徴があります。
続いては東京都内23区の中でも特に出産支援に力を入れている区をご紹介。
該当区に在住で出産を控えている方や、出産を機に東京へ引っ越しを考えている方はぜひ参考にしてみてくださいね。
東京都港区
港区と言えば東京都内でもセレブな街として多くの女性が憧れる人気のエリアですよね。
「港区での出産は高いのでは?」と不安になる方も多いかもしれませんが、港区は他の区よりも高額な補助を受けることができるのでご安心ください。
通常、出産育児一時金は子供1人につき42万円(産科医療補償制度に加入していない医療機関の場合は40万4,000円)が支給されます。
港区では更に18万円が上乗せされ、最大60万円までの補助金を受けることが可能となっています。
入院・分娩にかかった費用から出産育児一時金を差し引いた額が助成されるということです。
例えば出産費用が62万円だった場合、出産育児一時金の42万円を差し引いた20万円の内18万円が助成され、自己負担は2万円で済みます。
安い医療機関を利用すれば、実質無料で出産ができることになるので、費用を抑えたい方には嬉しい制度と言えます。
また東京都世田谷区も同様の制度を導入しており、第3子以降であれば48万円までの補助が受けられます。
ただし赤ちゃんが双子や三つ子だった場合は出産育児一時金の支給額の方が上回るため、追加の補助はないという点に注意しましょう。
東京都渋谷区
渋谷区には「ハッピーマザー出産助成金」という制度があり、子供1人につき最大10万円の補助が受けられます。
港区ほどではないものの、10万円の補助は高額な出産費用の手助けになってくれることでしょう。
この他、渋谷区では中学を卒業するまでの期間で保険診療にかかる自己負担分を助成してくれる「子ども医療費助成」という制度も準備されています。
子供はケガや病気で病院にかかる機会が多いので、無料で診察を受けられるのはありがたいですよね。
長期に渡って補助が受けられるのが渋谷区の特徴となっています。
東京都練馬区
練馬区では第3子以降を出産した場合に「第3子誕生祝金」という形で1人につき20万円の助成が受けられます。
出生から1年以内に申請しなくてはならないため、忘れずに届け出を行いましょう。
また里帰り出産などで練馬区以外に住民登録をする場合は助成を受けることができないので注意が必要です。
東京都中央区
中央区では妊娠の届け出を行った際に「出産支援祝品」としてタクシー利用券が1万円分支給されます。
医療機関への通院に電車やバスを使っている方は体力的な負担が大きいので、タクシーでの移動は助かるのではないでしょうか。
マイカーで通院している場合も駐車場代などを節約できますし、緊急時など運転できる状態にない場合にも活用できます。
また出産後は「新生児誕生祝品」として区内で使える買物券が3万円分支給されます。
子育てに必要な日用品や生活雑貨はたくさんあるので、3万円の助成は意外と大きいはず。
こちらは区役所の他、日本橋特別出張所・月島特別出張所でも申請が可能です。
東京都千代田区
千代田区では次世代の社会を担う子供の育成を支援するという目的で、高校生に対する手当を支給しています。
支給額は対象の子供1人につき毎月5,000円となっており、高校生の子供がいる間は助成を受け続けることが可能。
これから産む子が1人目の場合はあまり関係ないかもしれませんが、高校生になる兄弟がいるといった場合は活用をおすすめします。
千代田区に住民登録があれば、子供が他の区で生活していたり海外へ留学をしていたりする期間も受給することができます。
こちらは事前に申請が必要となりますので、高校に入学するタイミングや転入時に区役所で手続きを行いましょう。
この他、東京都江戸川区では0歳児の子育てを行っている家庭への手当支給、東京都江東区ではチャイルドシートの割引など様々な補助を展開しています。
自治体ごとの助成制度は申請や予約が必要な場合がほとんどなので、事前にチェックしておくことをおすすめします。
出産費用を安く抑えるコツ
ここまで東京での出産にかかる費用と区別の助成制度についてお伝えしました。
続いては、出産する際の費用を安く抑えるコツと国が行っている補助について解説していきます。
国からの支援は東京に限らず全国で利用できるものなので、東京以外での出産を予定している方もぜひ覚えておきましょう。
病院の選び方
妊娠・出産・産後のケアなどを担う医療機関の選択は非常に重要です。
出産に対応している医療機関は主に以下の4種類となります。
- 総合病院
- 個人病院
- 助産院
- 周産期母子医療センター
サービスや費用面で大きな違いがあるので、それぞれの特徴や使い分けを理解しておきましょう。
総合病院
総合病院は大部屋と個室の両方が用意されており、大部屋であれば比較的安い費用で抑えられることが多いです。
個室でなくても気にならないという方は総合病院の利用がおすすめ。
また総合病院なので産婦人科以外の検査も受けやすいというメリットがあります。
持病を抱えている場合や合併症が起きた場合に迅速な対応をしてもらえるのが魅力です。
ただし、一般の風邪患者なども多く行き交うため、きちんと予防していないとうつされてしまうリスクがあります。
個人病院
個人病院では、全室個室やエステ・カフェなどの総合病院にはないサービスを展開していることが多いです。
入院中の期間を快適に過ごしたい方におすすめです。
ただしサービスが充実している分、入院費用は総合病院と比べて高額になる傾向があります。
また産婦人科以外の検査や手術が必要になった場合は他の病院へ搬送される可能性もあるでしょう。
助産院
助産院とは、助産師さんが開業している施設のことです。
地域密着型でリラックスできる雰囲気が特徴で、昔ながらの出産方法で自然なお産を行いたい方におすすめ。
設備が少ないこともあり、総合病院や個人病院よりも費用は安く抑えられます。
ただし助産師さんは医師ではないため、帝王切開などの医療行為を行うことができません。
妊娠中の経過が良好で、普通分娩(自然分娩・正常分娩)が可能な状態であれば助産院の利用も検討してみてください。
周産期母子医療センター
周産期母子医療センターとは、出産及び新生児の医療に対して高度な医療を行うことができる認定医療機関のことです。
MIFICU(母体胎児集中治療管理室)・NICU(新生児集中治療管理室)などの設備があり、出産に大きなリスクを持っている方などに対応しています。
通常の出産ではあまり利用することはありませんが、命にかかわる緊急時などに搬送される可能性があります。
また周産期母子医療センターは東京だけでなく全国的にも数が少ないので、通院に負担がかかるかもしれません。
出産方法による費用の違い
出産方法は大きく以下の3つに分けられます。
- 普通分娩(自然分娩・正常分娩)
- 帝王切開
- 無痛分娩
普通分娩の場合にかかる費用は平均25万円程度です。
医療行為を伴わない出産方法のため、保険適用外となり全額を自己負担することになります。
帝王切開は投薬や検査が必要となり、出産時にはメスを入れるなど医療行為が伴うため、保険を適用することが可能。
しかし処置の内容が増えるので、3割負担であっても実際には普通分娩より10万円程度高い費用がかかります。
無痛分娩は麻酔によって痛みを抑えて出産する方法で、こちらも保険適用外です。
麻酔の費用が追加されるので、普通分娩より10万円~20万円程度高くなります。
公的な補助制度の活用
東京だけでなく、全国の方が利用できる国からの公的補助制度も豊富に用意されています。
代表的な制度が「出産育児一時金」で、子供1人につき42万円の補助を受けることが可能です。
出産費用が安い地域であれば、出産育児一時金だけでも十分に出産費用を賄えるでしょう。
また、産休中に会社から支給される「出産手当金」や、妊娠中の病気などに対する「傷病手当金」では給料の3分の2を日割りした金額が支給されます。
産休や育休中はどうしても収入が減るので、これらの手当を活用して計画的に生活することが大切です。
更に、出産にかかった費用を医療費控除として確定申告することで、払い過ぎた税金を還付してもらう方法もあります。
領収書の保管など面倒な部分もありますが、出産した年だけでなく、翌年の住民税が安くなるなどお得な面が大きいのでぜひ活用しましょう。
まとめ
- 東京都は全国の中で最も出産費用が高い
- 東京都内23区ではそれぞれ独自の助成制度が用意されている
- 国からの支援や入院時の選択によっても費用は大きく変わる
東京は出産費用が高い反面、助成制度や補助が充実しており、産後の子育てを手厚くサポートしてくれます。
思わぬ出費で困らないよう夫婦できちんと話し合い、計画的に貯蓄・子育てを行いましょう。
保険商品のご検討にあたっては、「契約概要」「注意喚起情報」「ご契約のしおり」「約款」などを必ずご覧ください。
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