生命保険を解約する際のポイントとは?返戻率や税金に注目

生命保険に現在加入しているけれど、保険料負担が困難になったり、見直しに伴い他の商品に変更したくて解約を考えたりしている人もいるかと思います。
生命保険は契約者が望めば好きな時に解約をすることができますが、タイミングに注意が必要だということを知っていますか?
今回は、そんな生命保険加入者を対象に、解約手続きの方法や返戻金など知っておいて損はないポイントについて詳しく説明していきます。
生命保険の解約手続き方法
まず、生命保険を解約する際の前提として、手続きを行うのは原則契約者本人とされています。
もし、契約者本人による手続きが難しい場合には、代理人を立てることも可能です。
この場合、下記の条件を満たす必要があります。
- 契約者の正当な代理人であること
- 契約者本人が記した委任状があること
- 解約返戻金がある場合、支払口座が契約者本人の名義であること
または、下記のような限定的な場合においては、被保険者から申し立てることで生命保険の解約を請求できるケースがあります。
- 生命保険の契約者または保険金の受取人が、保険金の給付を目的として被保険者をわざと死亡させた、または死亡させようとした場合
- 保険金の受取人が、保険金の請求について詐欺を行った、または行おうとした場合
- 保険の契約者、または保険金受取人に対する被保険者の信頼を損ない、死亡保険契約の存続を困難にさせるような重大な事柄がある場合
- 被保険者が生命保険の加入について同意した際の事情に、著しい変更があった場合(契約者と被保険者の親族関係が終了したなど)
そのため、生命保険を解約する時には、契約者本人が手続きを行うことが無難でしょう。
では、実際の解約する方法や手順について見ていきましょう。
生命保険を解約するためには、3つの方法があります。
なお、どの方法で生命保険を解約する場合でも、必ず保険証券が必要になるため、事前に手元に用意しておいてください。
①コールセンターに電話する場合
生命保険を契約したコールセンターに連絡することで、手続きを進めます。
電話に出た担当者に「証券番号」を聞かれるので、用意しておいた保険証券を確認して答えましょう。
この時、連絡は契約者本人からしか受け付けてもらえないため、注意が必要です。
その後、担当者が生命保険の解約に必要な「解約請求書」という書類を契約者のもとに郵送するよう手配してくれます。
あとは、請求書が届いてから書類に必要事項を記入しましょう。
②生命保険会社の営業担当者へ連絡する場合
自分が生命保険に契約した際に担当してくれた営業担当者に連絡をした場合にも、生命保険を解約することができます。この場合も、請求書をもらって必要事項を記入しましょう。
③生命保険会社の窓口で解約を申請する場合
生命保険会社によっては、生命保険の解約を受け付ける窓口を用意している会社があります。
その窓口でも、手続きを行うことが可能です。
手続きは先ほどと同様、請求書をもらって記入しましょう。
この時、捺印や本人確認が必要な場合があるため、窓口に出向くときには印鑑や身分証を持っていくことを忘れないようにしましょう。
生命保険のよくある解約理由
一般的に、生命保険に加入した人はどれくらいの割合で解約をするのでしょうか?
生命保険文化センターの統計調査「平成30年度生命保険に関する全国実態調査」(※)によると、平成27年から平成30年までの3年間における民保(かんぽ生命を除く)の解約・失効の経験率は、9.2%(回答数:3,983世帯 )でした。
この9.2%の人たちが解約した理由も、同じ調査内で結果が発表されています。
理由 | % |
---|---|
他の生命保険に切り替えたので | 33.0% |
掛金を支払う余裕がなくなったから | 31.9% |
掛金が更新により高くなってしまったから | 14.4% |
まとまったお金が必要となって | 11.2% |
義理で入ったものなので | 10.4% |
高額な保障が必要なくなったから | 7.6% |
期間が長すぎるのでいやになった | 3.3 % |
少額すぎて生命保険として役に立たないので | 3.0% |
イメージしていた商品内容と異なるため | 3.0% |
離婚や子どもの独立など家族の構成が変わったから | 3.0% |
加入後のアフターサービスが不満だったので | 2.7% |
他に有利な貯蓄手段があったので | 1.9% |
生命保険はインフレに対応できないと考えて | 0.8% |
経営内容が不安だったので | 0.8% |
http://www.jili.or.jp/research/report/pdf/h30zenkoku/p116-122.pdf
解約の理由として最も多いのが、「他の生命保険に切り替えたため」。次いで、「掛金を支払う余裕がなくなったため」となっています。他にさらに良い保険商品を見つけて加入しなおした、または経済的な負担が主な理由のようです。
特に保険料の負担は、当初は払い続けることができても、契約者の状況が変われば継続して払うことが困難になることは十分考えられます。保障を得るために家計を圧迫させては本末転倒なので、解約を検討するのも1つの手と言えるでしょう。
解約に伴う返戻金の注意点
生命保険を解約した時、保険商品によっては「解約返戻金」を受け取ることができる場合があります。
解約返戻金とは、契約者が払い込んだ保険料に応じて、一定の割合が返金されるというものです。
返戻金がある生命保険の種類は、主に下記の生命保険です。
終身保険
被保険者が死亡した際に死亡保険金が支払われる保険で、保障が一生涯続きます。死亡保障だけでなく、貯蓄性もある生命保険です。
養老保険
保険期間中に被保険者が死亡した場合には死亡保険金、生存したまま保険期間満了を迎えた時には満期保険金が支払われる保険です。生死混合保険とも呼ばれています。
学資保険(子供保険)
保険料を支払うことで、あらかじめ決めていた時期になると貯めていた保険料が学資金として支給される生命保険です。主に子供の教育費の準備のために活用されます。
上記のように、いわゆる「積み立て型」と呼ばれる生命保険は、一般的には解約返戻金があります。一方、解約返戻金がない、あったとしてもかなり少額という保険商品は、下記です。
定期保険
被保険者が保険期間中に死亡した場合に死亡保険金が支払われる生命保険。保険期間は一定です。
医療保険
被保険者が所定の病気にかかり、入院・手術をした場合に給付金が支給される保険です。保険商品によっては、解約返戻金があるものもありますが、かなり少額です
収入保障保険
被保険者が保険期間内に死亡した場合、死亡保険金がお給料のように毎月支払われる生命保険です。
これらの保険は、いわゆる「掛け捨て型」に分類される生命保険で、「無解約返戻金型保険」という名前で呼ばれることもあります。
貯蓄性がないため返戻金はほとんど期待できません。
では、「積み立て型」の生命保険に入っていた場合、解約返戻金はいくらくらいもらえるのでしょうか?
解約返戻金の金額を求めるには、下記の計算式を使います。
解約返戻金の金額=(契約者価額-解約控除)×払戻率
契約者価額
返戻金やその他の被保険者のために積み立てるべき額を基礎として計算した金額のこと
契約者に対し、以前に保険金を支払っていた場合には、契約者価格はその分少なくなります。
解約控除
生命保険の契約を締結する際などにかかる費用のうち、まだ回収できていない金額のことを指します。
- 払戻率:払い込まれた保険料に対し、払い戻される金額がどれくらいになるかを表した割合
この割合が大きいほど、解約返戻金の額は大きくなります。
なお、この払戻率は保険商品のパンフレットに書いてあるため、自分でも確認することが必要です。
生命保険を解約する際の注意点
生命保険の契約を解除する際に、必ず注意をしなければいけないのが「返戻金が少ないタイミングで解約することにならないか」という点です。
通常、払戻率は契約開始から時間がたつにつれて大きくなっていきます。
そのため、早期に生命保険を解約した場合には、返戻金が少額になってしまう可能性があるのです。
特に、生命保険の中でも「低解約返戻金型保険」という生命保険の場合、返戻金が少額になってしまうため、注意が必要です。
低解約返戻金型保険
保険料を払い込む期間中、返戻金を小さく抑えることで保険料を割安に抑えている生命保険です。
払込期間を終えると、返戻金は大きくなり、払い込んだ保険料よりも多くの返戻金が戻ってくる場合があります。
このように、生命保険を解約するタイミングによっては、せっかく貯めてきた返戻金が少なくなってしまうケースがあります。
そのため、解約する時期はくれぐれも気を付けるようにしましょう。
返戻金の税金支払いや確定申告の必要性
生命保険を解約して受け取る返戻金には、実は税金がかかります。
返戻金は、基本的には生命保険の契約者が受け取ることになるため、「一時所得」として所得税の対象になります。
ただし、返戻金は、どんな場合も一時所得としてみなされるわけではありません。
払い込んだ保険料の金額より返戻金が大きい場合にのみ、払い込んだ保険料の金額を超えた部分が所得税とされます。
払い込み済みの保険料<解約返戻金
⇒払い込み済みの保険料を超えた分の金額が一時所得に。
さらに、最終的な一時所得の金額を出すためには、ここからさらに50万円の特別控除額を引いた金額を1/2にします。つまり、
(解約返戻金-払い込み済の保険料-50万円)×1/2=一時所得
もし、「解約返戻金-払い込み済の保険料-50万円」が0円以下なら、非課税となります。
いっぽう、0円を超えた場合には所得税がかかるため、確定申告をする必要があります。
最適なタイミングはいつ?
先ほども説明した通り、生命保険を解約する時には、返戻金が少なくなってしまうなど注意すべきポイントがあることはお分かりいただけたかと思います。
そのため、まずは返戻金が少なくなってしまわないタイミングを見極めることが重要です。
また、生命保険を切り替えるために古い保険を解約する場合にも、タイミングに注意する必要があります。
もし、次に加入する生命保険をすでに決めている場合、古い生命保険は早く解約してしまいたいと思う人がほとんどでしょう。
しかし、新たな生命保険に加入する際には、告知をして審査結果を待たなければいけません。
場合によっては、新しい保険に加入する前に、すでに入っている保険を解約してしまうと、新しく加入しようとしている保険に加入できなかった場合に、どちらの保険も無くなってしまうリスクがあります。
このように、新規加入するつもりの保険に落ちるリスクを考えて、しっかり加入できたことを確認してから保険を解約するべきです。
保険を解約するにも、適切なタイミングがあります。
後から「やめておけばよかった」とならないように、タイミングは慎重に検討しましょう。
生命保険をやめる場合は慎重に考えよう
生命保険の解約は、契約者本人であれば手続きすることができます。
しかし、すぐに決断してしまうと、新しく加入するつもりだった保険に入れなかった場合に非常に困ってしまいます。
必要ない保険を解約するのは金銭面からみても良いことではありますが、くれぐれもタイミングには気を付けるようにしましょう。
分からないときは保険相談などを活用してみることもおすすめです。
保険商品のご検討にあたっては、「契約概要」「注意喚起情報」「ご契約のしおり」「約款」などを必ずご覧ください。
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