【あなたの年金はいくら?】支給される金額で老後の生活費は足りる?

あなたは自分が老後にもらえる年金がいくらか知っていますか?
年金制度はとても複雑なので「老後に一体どのくらいの金額の年金をもらえるのかわからない」、「受け取った年金だけで生活できるのだろうか」と不安に感じている人もいるでしょう。
そこで今回は、現在年金をもらっている人の平均金額や老後に必要な生活費がいくらかというポイントなど、さまざまな観点から年金について詳しく説明していきます。
また、老後の資金作り方法も合わせて説明するので、ゆとりある老後生活をおくるためにも、改めて年金や老後資金について考えてみましょう。
目次
年金の平均支給金額はいくら?
私達が暮らす日本では、「厚生年金」と「国民年金(基礎年金)」という2つの公的年金制度があります。「厚生年金」は会社勤めしている人が加入する制度。「国民年金」は日本在住の20歳から60歳の人が加入する制度です。厚生年金加入者は、同時に国民年金にも加入していることになります。この公的年金を10年以上支払っていると、年金をもらうことができるという仕組みです。
以前は60歳から支給を受けることができましたが(特別支給の老齢厚生年金)、現在は、支給年齢が段階的に引き上げられているため、1961年4月2日以降に生まれた男性と、1966年4月2日以降に生まれた女性は65歳以降から支給されます。
65歳からもらえる年金は、厚生年金積立から計算した老齢厚生年金と国民年金の積立から計算した老齢基礎年金という2つの年金の合計額です。
ここからは、それぞれの制度について詳しくみていきましょう。
老齢厚生年金の支給額
老齢厚生年金は、厚生年金加入期間が1年延びる度に支給される金額が約1万~約5万円増えます。支給額に大きな差があるのは、加入期間以外に平均給与が影響を与えるからです。そのため加入期間が長く平均給与が高ければ、支給される金額も高くなります。
老齢基礎年金の支給額
老齢基礎年金は、保険料を払った月数から支給額が計算されます。保険料を1年納めると毎年約1万9,500円増えていくため、40年間払い続ければ年間約78万円受け取ることができます。
ここからは、厚生労働省が発表している公的年金の平均受給額をみていきましょう。
2015年から2017年までの平均受給額(月額)
年 | 国民年金 | 厚生年金 |
---|---|---|
2015 | 55,157 | 145,305 |
(50,826) | ||
2016 | 55,373 | 145,638 |
(51,221) | ||
2017 | 55,518 | 144,903 |
(51,528) |
厚生労働省年金局が発表した「平成29年度 厚生年金保険・国民年金事業の概要」によると、2019年の国民年金支給平均月額は5万5,518円、厚生年金支給額は14万4,903円です。国民年金支給額は2015年度より増加傾向ですが、厚生年金支給額と比べると約9万円低い金額となっています。
自営業で厚生年金受給権を持たない人の支給額は、カッコ内の金額となっており国民年金額より低い水準です。
国民年金の支給金額は年金を納めた期間によって決まるため、年金加入期間が少ないほど受け取る金額が減ってしまいます。基礎・厚生年金の2つが受給できる厚生年金は、国民年金受給者より高い金額を受け取ることができますが、結婚やなんらかの理由で会社勤めを辞めてしまった人は加入期間が短いため、支給される金額が少なくなります。
老後の生活費はいくら必要?
全国共済農業協同組合連合会がおこなった「老後の生活費についてのアンケート」によると、月々の生活費は20~25万円未満という意見が最も多く、次いで15~20万円となっています。
内訳は下記の通りです(各金額は月額平均値)。
費用 | 金額 |
---|---|
食費 | 8.0万円 |
住居費 | 2.6万円 |
保険・医療費 | 2.5万円 |
水道・光熱費 | 2.4万円 |
教養・娯楽費 | 2.2万円 |
通信費 | 1.4万円 |
教養費 | 0.2万円 |
それぞれの家庭によって各項目の金額は増減しますが、毎月かなりの金額がかかってくることがわかります。
老後の生活費の内訳
定年退職すると現役時代とは生活が変わり、自宅で過ごす機会が増えてくる人もいるでしょう。現役時代に必要だった仕事関連の支出や、厚生年金・健康保険・雇用保険等の料金はかからなくなりますが、代わりに娯楽費や医療・介護費、国民健康保険料などの出費が増えます。また老後になったからといって、基本的な生活費の金額が大きく減るとは限りません。
老後でも必要になってくる生活費の主な支出項目を、改めて確認しておきましょう。
生活費の主な支出項目
住居費
賃貸か持ち家かによって住居費は大きく変化します。持ち家の場合はローンを完済していれば管理費のみの支払いで済むためコストを抑えられますが、賃貸だと家賃がそのまま住居費になるため、賃料が高いと生活費もかさみます。
食費
夫婦2人で生活をおくる場合、食費は1日当たり約2,000円かかるといわれています。そのため1か月の食費は、最低でも約6万円はかかると見込んでおきましょう。
また外食すれば、食費も増加するので注意が必要です。
通信費・光熱費
老後は自宅で過ごす時間が増えるため、子どもが巣立って夫婦2人になっても光熱費が大幅に減るとはいえません。
通信費の主な項目は、固定電話・インタ―ネット費用・携帯電話代です。携帯電話代は節約の仕方によっては大きな違いが出てきますが、夫婦2人で1万円前後の金額がかかるでしょう。
交際費・教養娯楽費
交際費や教養娯楽費の一般的な平均値は、交際費が約2万7,000円、教養娯楽費が約2万5,000円といわれています。交際費や教養娯楽費は、多趣味の人や付き合いの多い人ほど高くなるため、他の項目の中でも個人差の大きい費用といえるでしょう。
医療費
医療費は高齢になるほど増えるとされる項目です。現役時代より医療費負担が減るとはいえ、医療機関を受診する機会が増えるので、夫婦2人でも2万円前後の金額がかかるといわれています。
被服生活費
老後になると、自宅で過ごす時間が増え、洋服代が減るという人が増えるそうです。ただしその代わりに、トイレットペーパーなど生活用品の金額が増えます。
2016年に生命保険文化センターがおこなった意識調査によると、老後に夫婦2人が生活をする上で必要とされる最低日常生活費の金額は、平均22万円という結果が出ています。この金額に旅行やレジャー・趣味や教養といった、生活に潤いを与えるために必要な金額を上乗せすると、平均34万9,000円ほどの費用が必要になるそうです。
医療が発達したことにより、日本人の平均寿命は年々伸びてきているので、老後に必要になってくるお金も多くなります。老後を20年と仮定すると毎月22万円(最低日常生活費)が20年間で、5,280万円もの資金が必要です。
ゆとりのある生活をするためにはこの金額にさらに上乗せされるため、これを年金だけでまかなうことは難しいのが現状です。
紹介したデータを参考にして、自分の家計の状況によって、老後にかかるお金を算出してみるといいでしょう。
もらえる年金額がわかる「ねんきん定期便」の見方
日本年金機構は、毎年誕生日月に自分の年金記録が記載された「ねんきん定期便」を厚生・国民年金加入者に向けて送っています。この「ねんきん定期便」には将来自分が受け取ることのできる年金の金額が記載されているため、老後のプランを練るのに役立つ資料です。
「ねんきん定期便」は、書類を受け取る年齢によって見方が変わってきます。
ここからは、「ねんきん定期便」の見方について詳しく説明していきましょう。
50歳未満
50歳未満の人の「ねんきん定期便」には、問い合わせ番号、これまでの加入期間、加入実績に応じた年金額、保険料納付額といった内容が記載されています。
こちらに記載されている年金の金額は、現在までに支払っている保険料をもとに算出されたものなので、保険料の納付額に比例して金額も増えます。
50歳以上
50歳以上の人の「ねんきん定期便」は、現状のまま保険料を60歳まで年金を支払った場合を想定して計算された金額が記載されています。
いつからどのくらいの金額がもらえるか記載されているため、実際にもらえる金額をイメージしやすいでしょう。
「ねんきん定期便」を確認する際には、3つのポイントに注意してください。
加入期間等の記載ミスがないか確認する
「ねんきん定期便」に記載ミスがあると、将来もらえる金額が少なくなってしまうこともあります。そのため情報にミスがないか、よく確認してください。また、自分が年金をもらえる条件をクリアしているかという点もチェックしておきましょう。
支給開始年齢がいつか確認しておく
特別支給の老齢厚生年金対象者は、支給年齢が複数あるので特に注意が必要です。対象者は、1961年4月1日以前に生まれた男性、1966年4月1日以前に生まれた女性となっています。その他にも条件があるので、対象年齢の人はよく確認しておきましょう。
将来どのくらいの年金がもらえるのか確認した上で、ライフプランを考えておく
ライフプランを立てる上で、老後にどのくらいの金額の年金がもらえるのかというポイントは重要になってきます。「ねんきん定期便」で、老後の生活のイメージをつかんでおきましょう。
いつでもどこでも年金記録を見たいという人は、スマートフォンやパソコンから自分の情報を確認できる「ねんきんネット」に登録しましょう。「ねんきん定期便」には、ねんきんネットのアクセスキーが記載されているので、届いたら忘れないうちに登録しておくことをおすすめします。
年金だけでは不安…老後資金を貯める方法
前述したように、老後に最低限必要な生活費の金額は、1ヶ月平均22万円といわれています。しかし老後に受け取れる年金の金額や、必要になってくる生活費の金額は人それぞれ異なります。若い頃思い描いていたような老後生活が送れるかはわかりませんし、年金をもらう頃になって思わぬところで出費があるかもしれません。
「現役時代は毎日一生懸命働いてきたから、余生はゆっくりと過ごしたい」と思っていても、生活費が足りなかったりギリギリだったりすると、ゆとりのある生活はおくれませんよね。有意義な老後生活をおくるためにも、若い頃から老後資金を貯めておけば将来の不安が減らせるでしょう。
将来安心して過ごすために老後資金を貯めようと決めたら、「定年までにローンを完済しておく」、「退職するまでの間に老後資金をいくら貯めるか決める」ようにしましょう。
退職金は老後生活の重要な財源になります。そのため退職金をローン返済にあてようと考えている人は、老後のために貯蓄しておくことをおすすめします。また、ゆとりのある老後生活をおくりたいなら、ローンは定年するまでに完済しておくといいでしょう。
やみくもに貯金をしようとしても、なかなかお金は貯まりません。まずは、老後資金をどのくらいの金額貯めたいのか目標設定することが重要になってきます。
ここからは、老後資金を貯める方法を3つ紹介していきます。自分に合った老後資金の貯め方をみつけてみましょう。
老後資金を貯める方法
元本割れのリスクのない預金は、安心してお金を貯められる方法の1つですが、低金利化が進む日本では、お金を銀行に預けているだけでは貯金を増やすことは難しいでしょう。
老後の資金を貯めるためにも、貯蓄と投資のバランスをとりながら資産運用していくことをおすすめします。
1.投資信託
投資経験がない人におすすめなのが、投資のプロにお金を預けて運用してもらう「投資信託」という金融商品です。「投資信託」は、少額から買えるものも多く、面倒な運用はプロのファンドマネージャーがおこなってくれるので知識や技術がなくても投資することができます。
ただし、運用が上手くいかないと元本が減る可能性もあるため、元本割れするのが嫌という人には向いていません。
2.iDeCo(イデコ)
「iDeCo」とは、毎月一定の金額を60歳になるまで積み立て、そのお金で金融商品を運用し、60歳以降になると運用した資産を受け取れるという制度です。
「iDeCo」のメリットは、年末調整や確定申告をおこなうと税金が戻ってくるところや利益に税金がかからないところです。自分自身の投資のやり方次第では、資産を増やすことができるため、老後資金を貯めるのに向いている制度といえるでしょう。
60歳まで資産を引き出すことできないのが「iDeCo」のデメリットといえますが、老後資金作りが目的なら、無駄にお金を使わずに済むので安心です。また「iDeCo」も元本が保証されているわけではないので、ご利用の際はお気をつけください。
3.保険
老後の貯蓄保険というと「個人年金保険」をイメージする人がいるのではないでしょうか。「個人年金保険」は、定額と変額の2種類があり目的によって選ぶことができます。積み立てたお金を確実に年金として受け取りたい人は、「定額個人年金保険」を解約返戻金が元本割れのリスクがあるものの、積み立てたお金よりもらえる金額を増やしたいと考える人は、「変額個人年金保険」を選ぶといいでしょう。
他にも「低解約返戻金型終身保険」や「養老保険」などさまざまな種類の保険があるので、自分にあったものを選ぶことが重要です。
いずれの方法もメリットやデメリットがありますが、老後の資金を貯めたいと考えているならば、一度検討してみるといいでしょう。
年金と老後資金は家計の見直しも含めて”おかねのプロ”に相談!
老後の資金作りは、30代から貯金を始めるのが理想といわれていますが、早く準備しておくことに損はないでしょう。しかし、仕事や家事で忙しいと家計の見直しをするタイミングを逃してしまうことがあります。また若い頃は特に、結婚したり子どもが生まれたりと家庭環境に変化がおきやすいので、老後のことを考える余裕がないという人もいるでしょう。
自分がどのくらいの金額の年金をもらえるのか理解していないと、老後に必要なお金もわかりません。老後の生活を楽しむためには、早いうちから年金や老後の資金について考え、家計を見直して貯蓄しておくことが重要になってきます。
しかし、自分だけでは家計の見直しポイントや老後の資金作りのやり方がわからない人もいますよね。特に年金制度や保険・投資などは複雑で難しいものが多く、何から始めればいいのか、どうすればいいのかわからなくなりがちです。そんなときは、迷わずファイナンシャルプランナーに相談しましょう。ファイナンシャルプランナーなら分かりやすく簡単説明してくれるので、安心して相談できますよ。
まとめ:充実した老後を過ごすために、正しい年金の知識をつけ上手に老後資金を貯蓄しよう
若いうちは、年金について考える機会が少ないかもしれませんが、いざ年金が必要になる頃には、「あのとき(の)お金を老後の資金を(として)貯めておけば困らなかったのに…」と思うこともあります。
もらえる年金の金額は人それぞれ異なるため、正しい年金の知識をつけて自分が老後にどれくらいの資金が必要なのか、ゆとりある老後過ごすために今何をすべきかを一度ゆっくりと考える時間をとってみてくださいね。
保険商品のご検討にあたっては、「契約概要」「注意喚起情報」「ご契約のしおり」「約款」などを必ずご覧ください。
本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。
本コンテンツの記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。
また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。