税金対策の方法とは?個人・サラリーマンが考えるべきポイントを解説!

暮らしの上で、私たちは様々な税金を払っています。代表的なものを挙げると所得税、住民税、消費税、固定資産税などがありますが、個人でそれら税金を軽減する対策はあるのでしょうか。
納税は国民の義務であり、税金は国や地方団体にとって大事な財源ですが、なるべく個人の負担は減らしたいもの。もしかしたらあなたも支払わなくて済む税金を納めているかもしれません。
ここでは税金と上手に付き合うための個人としてできる対策を解説していきます。
目次
税金対策1:ふるさと納税(寄付金控除)
近年、大変注目を集めているふるさと納税。都市部に人口が集約している現代、税収入も都市部と地方に差があります。これをなんとか是正するため、地方の財源も確保するために始まったのがふるさと納税です。
ふるさと納税が人気を集める理由は、個人で税金対策ができる点とそのお得さにあります。過激な競争を避けるため、ふるさと納税の制度が変わりつつありますのでそちらも合わせて解説します。
ふるさと納税の仕組み
ふるさと納税は、都道府県や市区町村への寄付にあたります。この寄付金のうち、控除上限額内の2,000円を超える金額については所得税と住民税から全額が控除されます。
これにより個人の税金対策になると注目を集めているのです。
「ワンストップ特例制度」という確定申告を必要としない制度もありますので合わせてチェックしておくとよいでしょう。
確定申告 | ワンストップ特例制度 | |
---|---|---|
寄付できる自治体数 | 寄付できる自治体数→ 制限はなし 複数自治体に寄付が可能 |
寄付できる自治体数→ 1年間で5自治体まで |
申請の方法 | 確定申告時期に税務署に寄附金受領証明書を提出 | 寄付の度に各自治体に申請書を提出 |
仕組み | 住民税からの控除(減額) 所得税から控除(還付) ※自己負担額は実質2,000円 |
住民税から全額控除 ※自己負担額は実質2,000円 |
ワンストップ特例制度は確定申告不要で便利な制度です。個人でふるさと納税を手軽に楽しみたい方におすすめですが、医療費控除や白色・青色申告など、確定申告の必要がある方はこの制度は活用できません。
また、ふるさと納税による控除額には上限があり、年収や家族構成により個人個人で異なるので事前に確認しておきましょう。
ふるさと納税の競争の激化
ふるさと納税が注目を集める理由には控除のほかにもう一つあります。それが寄付金のお礼として届くお礼の品、いわゆる「返礼品」です。
人気の特産物や話題の電化製品を返礼品として用意している自治体が多くあります。後々税金が控除されることを加味すると、寄付金2,000円で様々な返礼品が手に入るので、個人にとってはふるさと納税は税金対策にもなり返礼品ももらえる大変お得な制度といえるでしょう。
しかし、自治体によっては納税額以上の価値があるような品物を返礼品とし、多額の寄付金を集めており、近年競争が激化しているのが現状です。これらの競争を鎮静化するため、総務省は過剰な額の返礼品は控えるよう市町村へ働きかけています。
※一部ふるさと納税での控除が対象外の自治体もあります。
税金対策2:特定支出控除と住宅ローン控除(住宅ローン減税制度)
特定支出控除の仕組み
特定支出控除とは、その年の特定支出がその年の給与所得控除額の1/2を超えた際に、その超えた部分の金額が個人の給与所得控除後の所得金額から確定申告により差し引かれる制度です。
通勤のための支出(通勤費) |
転勤に伴う転居による支出(転居費) |
職務に直接必要な知識や技術を得るために研修を受けた際の支出(研修費) |
職務に直接必要な資格を取得した際の支出(資格取得費) ※平成25年分以降、弁護士、税理士、公認会計士などの資格取得費用も対象 |
単身赴任などで、勤務地や居所と自宅の間の移動に必要な支出(帰宅旅費) |
65万円以内で、給与等の支払者が職務に直接必要なものとして認めたもの (勤務必要経費) ・書籍、定期刊行物、図書 (図書費) ・制服、作業服、事務服など勤務で着用が必要となる衣類の購入費(衣服費) ・交際費、接待費その他の費用 (交際費等) |
これらはサラリーマン家庭には当てはまる可能性があるもの。税金対策にもつながるので、家庭の支出をチェックし直してみるとよいでしょう。
住宅ローン控除の仕組み
住宅を購入してローンを組んでいる方、これから住宅を購入される予定がある方にぜひ知っていただきたいのが住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)です。
住宅ローン控除とは、一定の基準を満たした住宅購入の際に、毎年40万円を上限として年末の住宅ローン残高の1%を最長10年間、所得税から控除されるというものです。
住宅購入の際にローンの金額と期間を長く設定するほど控除額は多くなります。
例えば、3,000万円の住宅を30年ローンで購入した場合と10年ローンで購入した場合を比較してみましょう。
住宅ローン残高(万円) | |||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1年目 | 2年目 | 3年目 | 4年目 | 5年目 | 6年目 | 7年目 | 8年目 | 9年目 | 10年目 | … | |
30年ローン | 2900 | 2800 | 2700 | 2600 | 2500 | 2400 | 2300 | 2200 | 2100 | 2000 | |
10年ローン | 2700 | 2400 | 2100 | 1800 | 1500 | 1200 | 900 | 600 | 300 | 0 |
住宅ローン控除額(万円) | |||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1年目 | 2年目 | 3年目 | 4年目 | 5年目 | 6年目 | 7年目 | 8年目 | 9年目 | 10年目 | 合計 | |
30年ローン | 29 | 28 | 27 | 26 | 25 | 24 | 23 | 22 | 21 | 20 | 245 |
10年ローン | 27 | 24 | 21 | 18 | 15 | 12 | 9 | 6 | 3 | 0 | 135 |

※金利は加味していません
住宅ローンの金額にもよりますが、一般的に長期間ローンを組んだ方が、住宅ローン控除として恩恵を受けられる金額は大きくなる傾向にあり税金対策となります。
住宅購入を検討されている方はこちらの制度も念頭において資金返済計画を立てるとよいでしょう。長期でローンを組むことで金利に不安がある場合は10年間住宅ローン控除を受けた後に繰り上げ返済をするという方法もあります。個人でできる税金対策として金額が大きな対策となりますのでぜひフルに活用したい制度です。
住宅ローン控除は、初年度に確定申告が必要です。忘れないよう注意しましょう。
また、増税に関わる対策として政府は2019年10月の増税以降に住宅を購入される方を対象に、住宅ローン控除期間を10年から13年に延長することを発表しています。
税金対策3:医療費控除・セルフメディケーション税制
医療費控除では、自身や扶養の家族が医療費を支払った際、年間の医療費の合算額が一定額を超えていた場合、その超えた金額に対して所得控除を受けることができます。
セルフメディケーション税制では、薬局やドラッグストアなどで対象の医薬品を購入し、その年間購入金額が12,000円を超えていた場合、その超えた金額が所得から控除されます。
医療費控除の仕組み
1月1日から12月31日までの期間において、納税者自身やその家族が支払った医療費の合計金額が10万円を超えた場合に所得控除を受けることができます。自身の加入する保険からおりた保険金や高額医療費、出産育児一時金などで補填があった場合は、その金額をのぞいて10万円以上の支払いがあった場合、控除の対象となります。
控除の上限金額は200万円で、医療費控除を受けるためには個人で確定申告が必要です。その際に医療機関の領収書が必要となりますので、捨てずにとっておきましょう。
意外と知られていないのが、医療機関にかかる際の交通費も医療費控除の対象として認められている点です。タクシーを利用した際は領収書を忘れずにもらいましょう。電車やバスを利用した際は運賃をメモするなど記録を残しておくことをおすすめします。少し大変ですが、こまめに領収書を残しておくことが個人でできる税金への対策となります。
また、出産にかかわる費用は高額になることが多く、出生育児一時金を差し引いてもその年の医療費が10万円以上になる傾向が高いので、家族に出産があった年はこの医療費控除を意識しておくとよいでしょう。
セルフメディケーション税制の仕組み
医療費控除の特例として平成29年にでき、平成29年1月1日から令和3年12月31日までと期間が定められているのが特徴の制度です。
健康の維持増進や疾病の予防のために必要な取り組みを行い条件を満たした個人が、対象のスイッチOTC医薬品を年間12,000円以上購入した際に、その超えた金額について所得金額から控除を受けられます。スイッチOTCとは医療用医薬品が一般向けに転用されたもので、対象となる医薬品には「スイッチOTC」と表示があります。この制度の控除の上限は88,000円です。
この制度の対象となるための「健康の維持増進や疾病の予防のために必要な取り組み」とは、特定健康診査などの健康診断や予防接種を受けることです。個人の健康管理への行動、対策が伴っていることが必要とされています。
セルフメディケーション税制は医療費控除の一部で、控除を受けるためには通常の医療費控除と同じく確定申告が必要となります。通常の医療費控除とセルフメディケーション税制はいずれか一方の適応となりますので二重に申告しないよう注意しましょう。
医療費 控除 |
セルフ メディケーション 税制 |
|
---|---|---|
控除 対象 額 |
10万円以上の支出 | 12,000円以上の支出 |
上限額 | 200万円 | 88,000円 |
対象 となる もの |
治療費、医薬品購入費 通院のための交通費 妊娠時の定期健診費用 検査費用 |
制度対象のスイッチOTC医薬品 |
制度を 受ける ために 必要な 条件 |
特になし | 下記のいずれかを受けること ・特定健康診査 ・定期健康診断 ・健康診査 ・がん検診 ・予防接種 |
制度 有効 期間 |
特になし | 平成29年1月1日から 令和3年12月31日 |
税金対策4:生命保険料控除・地震保険料控除
生命保険料控除と地震保険料控除も個人の税金対策として見逃せない制度です。
生命保険に加入している方は申告を忘れずに!生命保険料控除
生命保険料控除とは、支払った生命保険料に応じて所得金額から一定の金額が差し引かれ
る制度です。これにより、所得税、住民税が減額します。
生命保険料控除には一般生命保険料控除、個人年金保険料控除、介護医療保険金控除の3種類があります。
所得税 | 住民税 | |||
---|---|---|---|---|
区分 | 年間 払込み 保険料 |
控除 される 金額 |
年間 払込み 保険料 |
控除 される 金額 |
一般生命保険料 介護医療保険料 個人年金保険料 |
20,000円以下 | 払込保険料全額 | 12,000円以下 | 払込保険料全額 |
20,000円~40,000円 | (払込保険料×1/2) +10,000円 |
12,000円~32,000円 | (払込保険料×1/2) +6,000円 |
|
40,000円~80,000円 | (払込保険料×1/4) +20,000円 |
32,000円~56,000円 | (払込保険料×1/4) +14,000円 |
|
80,000円以上 | 一律40,000円 | 56,000円以上 | 一律28,000円 |
生命保険料控除の手続きはサラリーマンの場合は年末調整でできます。
「給与所得者の保険料控除等申告書」に生命保険会社のから届く「生命保険料控除証明書」を添付し、勤務先に提出すれば完了です。
自営業や、サラリーマンでも年収額が2,000万円を超える場合は個人で確定申告での手続きが必要となります。
住まいの保険にも控除を受けられるチャンスが!地震保険控除
地震保険は、地震や噴火、津波といった火災保険で補償されない損害をカバーしている保険です。通常、地震保険のみで契約することはできず、火災保険と合わせて加入します。
こちらの保険に加入をしていると、課税所得金額から地震保険の全額(最大5万円)が控除されます。これを地震保険控除といいます。地震保険に加入している方は個人でできる税金対策として見逃さないよう注意しましょう。
この控除を受けるためにはサラリーマンは年末調整、自営業の方は個人で確定申告をする必要があります。
生命保険料控除と地震保険料控除は、控除を受ける際に保険会社から送付される控除証明書が必要です。年末調整の時期が近づいてきたら、郵便物をこまめにチェックしましょう。
税金対策5:iDeco(個人型確定拠出年金)
iDeCoとは個人型確定拠出年金のことで、iDeCoを活用することにより節税対策をしながら老後の資金を貯めることができます。
iDeCoは、会社員であれば年間14.4万円~27.6万円、専業主婦であれば年間27.6万円を上限に最長70歳までの期間、資金を積み立てできるシステムです。最大のポイントは積立額が全額所得控除という点です。
積立額が所得から差し引かれるので所得税がその分減額され税金対策となります。所得金額が減ることで住民税も減額されます。
iDeCoへの掛け金は60歳まで引き出すことはできませんが、老後に一括で受け取る際は「退職所得控除」を受けることができ、年金のように少しずつ受け取る場合でも「公的年金控除」を受けることができます。
老後への対策を盤石なものとするため、会社での確定拠出年金に加えて個人型確定拠出年金で資金を運用する方が増えているのが近年の傾向です。個人の税金対策としても有効な制度となります。
まとめ:支出を見直して個人で賢く税金対策を
資産運用の基本として貯蓄、保険、投資の3本柱があります。資産に対して税金は必ずかかってくるものですが、支出の種類によって、また保険、投資の方法によっては税金が控除される側面も多々あることがお分かりいただけたでしょうか。
支出を見極めることにより、個人にかかる税金が控除されるチャンスがあるかもしれません。こまめな家計のチェックや定期的な保険の見直しも個人の税金対策に有用です。活用できる制度は積極的に利用して賢く税金対策をしていきましょう。
保険商品のご検討にあたっては、「契約概要」「注意喚起情報」「ご契約のしおり」「約款」などを必ずご覧ください。
本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。
本コンテンツの記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。
また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。