事業ローンとは?ビジネスローンの種類や仕組み・手続きの流れ

ローンと言えば、住宅ローンやカードローンなど一般消費者向けのローンを思い浮かべる人もいると思いますが、事業者向けのローンもあります。
ローンの利用には、事前に情報を集めたり知識を身に付けたりすることが欠かせません。今回のテーマは、事業ローンです。
ローンの種類や手続きの流れ、返済方法など、これから事業ローンの利用を考えている人に向けた情報をご紹介します。
目次
事業ローン(事業者ローン)とは?ビジネスローンとの違いやローンの仕組み
まずは事業ローンがどんなものなのか見ていきます。ビジネスローンとの違いや仕組みも合わせてチェックしましょう。
事業ローンについて
事業ローンは、名前の通り事業者のためのローンのこと。事業者ローンや事業者向けローンと呼ばれることもあります。
事業者とは、株式会社の法人をはじめ、公益法人や個人事業主、自営業者なども含みます。給料生活者であるサラリーマンは事業者に含まれませんが、不動産投資などの副業をしている場合は事業者に。
つまり、サラリーマンでも副業のための事業ローンを利用することは可能です。
事業ローンにはいくつか特徴があります。
- 無担保
- 第三者の保証人不要
- 最短で即日融資が可能
- 事業性資金であれば使い方は自由
- 金利が高めの設定
- 審査が比較的緩い
- ローンカードで借りるローンもあり
これらの特徴はメリットとデメリットに分かれますが、メリットの部分が大きいため、中小企業や個人事業主でも利用しやすく、いざというときにすばやく借りられるローンと言われています。
ビジネスローンとの違いは?
事業ローンとイコールのイメージもあるビジネスローンですが、厳密には誕生の経緯が違っています。
事業ローンは、預金の受け入れをせず資金の貸し付け業務を行う金融会社、ノンバンクがはじめたサービスです。
一方、ビジネスローンは銀行がはじめたサービス。多くの銀行がビジネスローンをはじめた結果社会的な認知度が上がり、ノンバンクもローン商品に対してビジネスローンの言葉を使うようになりました。
このように誕生の経緯が違う2つの名前のローンですが、サービス内容は同じものとされています。
事業ローンのメリットとデメリット
事業ローンのメリットはいくつもありますが、デメリットは金利の高さが多くを占めています。
メリット
項目 | 内容 |
---|---|
最短で即日融資が可能 | 自動審査が採用されているので、審査に時間がかからない。 |
銀行融資よりも審査が甘い | 銀行融資よりも金利が高い分、審査基準が低くなっている。 |
銀行やコンビニのATMで24時間借り入れ可能 | ローンカードを発行するタイプの事業ローンのみ該当 |
第三者保証人なし | 保証人が必要ない |
無担保 | 担保となるものが必要ない |
デメリット
項目 | 内容 |
---|---|
金利が高い | 事業ローンの大きなデメリット。平均金利は約12パーセント。 |
このように、事業をはじめる人にとってのメリットは多くありますが、デメリットである金利の高さは返済時に大きな負担となります。
ビジネスローンの種類とそれぞれの特徴と注意点
事業ローンは、ローンカード型のビジネスローン、事業融資型のビジネスローン、銀行ビジネスローンに分かれます。ここではそれぞれの特徴を見ていきましょう。
ローンカード型のビジネスローン
ローンカードが発行される事業ローンのこと。ローンカードを使えば、銀行ATMやコンビニATMでいつでも借り入れと返済が可能です。
限度額が設けられていますが、限度額まで余裕があれば何度も借りられる極度方式を採用しているところが特徴。ローンカード型のビジネスローンを扱っているのは、大手消費者金融やその子会社などです。
ローンカード型のビジネスローンには、ATMを使って簡単に借り入れと返済ができること、何度も借り入れができること、最短で即日融資も可能なこと、などのメリットがあります。事業融資型の事業ローンと比較して、審査が厳しいところはデメリットと言えるでしょう。
事業融資型のビジネスローン
借りる段階で全額を借り入れて、その後に返済していく事業ローンのことです。
多くの事業者金融が扱っているもので、ローンカード型のビジネスローンよりも審査が甘いところや、やや高額な借り入れも可能なところがメリット。一方、ローンの提供先が中小規模の事業者金融で安心感に欠ける、即日融資ができないという場合もあります。
銀行ビジネスローン
銀行が扱う事業ローンのこと。最近では、メガバンクは事業ローンから撤退する傾向にあり、地方銀行は“保証協会の保証付融資”を事業ローンの名称で扱うことが多いという特徴があります。低金利で限度額が大きいところはメリットですが、審査がかなり厳しいところはデメリットと言えるでしょう。
事業者ローンの申し込み手続きの流れと必要なもの-審査から融資まで
続いて、事業ローンの申し込み手続きの流れと必要なものを見ていきましょう。
申し込み手続きの流れ
申し込みから融資までの流れは、申し込み、審査、契約、融資(借り入れ)の4ステップに分かれます。
- 申し込み:インターネット、FAX、郵送などの手段で申し込みます。
- 審査:審査結果が有効なうちに正式な手続きに入ります。
- 契約:必要書類を用いて正式な手続きを行い、契約します。
- 融資(借り入れ):契約した口座に借り入れ金が振り込まれます。
以上の流れにかかる時間は、最短で約1~2週間と言われています。
申し込みに必要なものは?
事業ローンの申し込みに必要な書類については、どのローンを利用するかによって変わります。
事業ローンの種類 | 必要な書類 |
---|---|
ローンカード型ビジネスローン | ・本人確認書類 ・収入証明書 |
事業融資型ビジネスローン | ・本人確認書類 ・収入証明書 ・決算書 ・登記事項証明書 |
銀行ビジネスローン | ・税務申告書(決算書、法人税申告書、明細書、法人事業概況説明書) ・納税証明書 ・登記事項証明書 |
ビジネスローンの借り換えとは?メリット・デメリット
これから事業をはじめる人をサポートする事業ローンですが、返済していく中で「事業ローンを利用した結果、金利の高さが負担になっている」「返済総額を少しでも減らしたい」と思うこともあるでしょう。そんなときに借り換えすると、借り主にとっての負担軽減につながります。
まず借り換えとは、もともと借り入れしていたローンを現状よりも有利な条件で借り入れし直すこと。借り換えすることで金利が低くなったり、借り入れ期間が長くなったりすると、借り主にとっての負担軽減になります。
事業ローンは、借り入れ先にとってきちんと返済してもらうことが目的。そのため、B社で新たに事業ローンを組み、もともと借り入れのあったA社への返済に充てる、という借り換えが行われても、借り入れ先にとっては全く問題ないのです。
借り換えで得られるメリットは?
事業ローンを借り換えることで得られるメリットは、金利を減らせること、月々の返済額を減らせること、この2つです。
まず金利を減らせるというメリットは、事業ローンの借り主にとって大きなメリットとなります。金利が減れば、トータルの返済額だけでなく月々の返済負担も減らすことに。借り換えにかかる諸費用を考えても、少しの金利差でも長い目で見れば結果的に負担軽減につながるのです。
事業ローンは高めの金利設定が基本なので、他社の事業ローンへ借り換えるよりも、低金利の銀行融資に借り換えたほうが返済額を大きく減らせるでしょう。「審査に時間がかかっていた銀行融資の結果がOKだった」「事業ローンを借りているうちに銀行審査に通った」などの場合は、銀行融資の借り換えも検討してみましょう。
月々の返済額を減らせるというメリットは、借り入れ期間をのばして月々の負担を減らす、という意味です。事業ローンは基本的に返済期間が短めで金利が高いもの。短期間で返済しようとすればその分、月々の返済負担が増えてしまいます。毎月の資金繰りが厳しい場合は、こちらのメリットをより大きく感じられるでしょう。
借り換えにはデメリットもある
事業ローンの借り換えにはデメリットもあることを知っておきましょう。
デメリットとしてまず挙げられるのは、返済期間がのびることでトータルの返済額が多くなる場合があること。金利の低いものに借り換える=負担軽減と単純に考えるのではなく、返済期間をふまえたうえでのシミュレーションが欠かせません。
また、借り換えにかかる諸経費もデメリットのひとつ。借り換えには印紙代や保証料など各種手数料がかかり、借り入れ金額が多いほど高くなります。借り換えの前に諸経費の計算をしておかないと、結果的に借り換えの意味がなかったと感じる場合も。
特に、借り換え先と金利の差が小さいなら、諸経費をかけること逆に返済額が多くなる、というケースが多いようです。
他にも、借り換え可能な金融機関が少ない、審査に時間がかかる、などのデメリットもあります。
事業ローンの返済方法・返済期間と注意点
事業ローンを利用するにあたり、チェックしておきたい返済方法や返済期間、注意点を見ていきましょう。
事業ローンの返済方法
返済方法には、元本一括返済方式、残高スライドリボルビング返済、元利均等返済の3つがあります。
元本一括返済方式
借入期間の最終日に元本を一括で返済する方法です。借入期間の最終日までは、月々の利息のみを支払います。月々の返済負担をなるべく抑えられる返済方法と言えるでしょう。
返済の負担を抑えられるところはメリットですが、借入期間の最終日に借入金の全額を用意しておくことを忘れずに。まとまったお金を用意しておく必要があります。
残高スライドリボルビング返済
一般消費者向けのカードローンでも利用されている返済方法です。スライドのイメージがわくよう、借り入れ金額の例を挙げた表を見てみましょう。
借り入れ残高 | 月々の返済額 |
---|---|
50万円~100万円以下 | 2万円 |
100万円~200万円以下 | 3万円 |
200万円~300万円以下 | 4万円 |
こちらはあくまで一例ですが、このように借り入れ残高によって月々の返済額がスライドし、少しずつ返済負担が減っていきます。月々の返済額を抑えられるところはメリットがある一方、完済までに時間がかかるデメリットもある返済方法です。
元利均等返済
元金と金利を含めた毎月の返済額が一定になっている返済方法のこと。完済まで毎月一定の返済が続いていきます。月々の返済額が一定になっている分、借り主にとっては“毎月のコスト”として計算しやすく、返済計画を立てやすいと言えるでしょう。
事業ローンの返済期間
どの事業ローンを利用するかによって最長の返済期間に差が出ますが、一般的には5~10年での返済が必須とされています。事業ローンは返済期間を長く設定できますが、メリットとデメリットが発生することも意識しておきましょう。
返済期間が長いと、月々の返済負担が少なく、事業を拡大しながら少しずつ返済していくことができます。返済に追われることなく確実に返済を続けられるところがメリットです。
一方で、返済期間が長いほどに返済総額がふくらむところはデメリット。返済期間が5年と10年の場合では、同じ金利でも10年の方が返済総額は大きくなります。100万円の事業ローンを金利15%で完済する場合の例を見てみましょう。
返済期間 | 5年間 | 10年間 |
---|---|---|
金利 | 15% | 15% |
返済総額 | 1,427,396円 | 1,936,019円 |
このように、返済期間が違えば返済総額が大きく変わります。もちろん金利の違いでも差が出てくるので、なるべく早く完済することをおすすめします。
事業ローンを返済方法で比較するポイントは?
いくつか種類のある返済方法ですが、中でもおすすめなのが残高スライドリボルビング返済と元利均等返済です。
返済方法 | 魅力 |
---|---|
残高スライドリボルビング返済 | 月々の返済額を軽減できる |
元利均等返済 | 計画しやすい |
他にも、繰り上げ返済できる事業ローンや無利息期間がある事業ローンも検討してみましょう。繰り上げ返済すれば完済までの期間が短くなる、無利息期間中は金利が0パーセントなので返済負担を減らせる、などそれぞれに魅力があります。
まとめ:事業ローンの利用は計画的に
事業ローンの利用を考えている場合は、返済方法と返済期間を考えたうえでの計画的な利用が欠かせません。まずは自身に合った種類の事業ローンを選ぶことからはじめ、場合によっては借り換えも視野に入れてみましょう。今回ご紹介した情報を参考にしながら、事業ローンに関する知識を深めてくださいね。
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