CMやテレビでもよく耳にする言葉「過払い金」。
言葉自体は聞いたことはあるけれど、過払い金とは何かをきちんと理解できている人は少ないのではないでしょうか？
この記事では下記について詳しく解説していきます。
- 過払い金の仕組み
- 過払い金の対象者
- 過払い金請求のメリット・デメリット
- 過払い金請求方法
- 過払い金費用
過払い金の仕組み
過払い金とは簡単に説明すると「支払いすぎた利息」のことを指します。
借金を返済する際には債務者（借金をした人）は貸金業者に利息を支払いながら返済をしなければなりません。
利息は「利息制限法」という法律によって以下のように定められています。
| 10万円未満 の借金 | 20% |
| 10万円から 100万円未満 の借金 | 18% |
| 100万円以上 の借金 | 15% |
このような法律があるにもかかわらず過払い金が発生してしまったのは以下の原因が考えられます。
- 利息制限法には罰則がない
- 出資法の存在
- みなし弁済
ひとつずつ詳しくみていきましょう。
1利息制限法には罰則がない
借金をする際に適用される利息制限法には罰則がありません。
そのため、20%を超える金利を超えて利息を取る業者が多くいたのです。
2出資法の存在
利息制限法の他に「出資法」でも貸金業の利息の上限について決められていました。出資法での金利の上限は29.2%。
「出資法」では利息制限法と異なり29.2%を超えた利息を設定していると刑事罰が科されていました。
そのため、貸金業者は利息制限法の上限より高く出資法の上限である29.2%よりも低い金利を設定していたのです。
その間の金利のことを「グレーゾーン金利」と呼びます。
3みなし弁済
みなし弁済とは貸金業者が一定の要件を満たす場合に利息制限法の金利上限を超えても有効であるとされていた規定のことです。
みなし弁済が適用されていたためグレーゾーン金利が広まってしまいました。
しかし、こちらも2010年に正式に撤廃されたため新たな過払い金の発生を心配する必要はありません。
過払い金の対象者とは？
「過払い金については理解できたけれど自分が過払い金を支払っているかわからない…」という方が多数だと思います。
グレーゾーン金利が廃止された日が2010年6月18日のためそれ以前に借金があった方は注意です。
特に以下の方は過払い金を支払っている可能性が高くなります。
- 借金・キャッシングを利用したをしていた方
- 借金を全額返済してから10年以内の方
1借金・キャッシングをしていた方
2010年以前に借金やクレジットカードのキャッシング費用をしていた方は注意が必要です。
改正前はほとんどの業者が利息制限法での金利上限よりも高い金利でお金を貸し付けていたため過払い金を支払っている可能性が高いです。
ただし、こちらもショッピング利用のみの場合には過払い金は発生しません。
過払い金の発生が考えられる消費者金融やカード会社は以下の通りです。
| 消費者金融 | クレジット カード |
|
|
上記以外の会社でも過払い金が発生している可能性があるため気になる方は専門家に相談してみましょう。
2借金全額返済から10年以内の方
実は過払い金の請求には時効が設けられています。過払い金の返金請求期限は完済日から10年です。
そのため、借金の返済を終えてから10年以内の方は過払い金を請求するチャンスがあります。
また、借金の返済を始めた日が10年以上前だとしても今でも返済が継続されていれば過払い金の請求をすることができるので心配いりません。
過払い金請求をするメリット・デメリット
ここからは過払い金の請求について解説していきます。
過払い金は債務者が余分に支払っていた利息のため返済を要求することができます。
過払い金請求メリット
過払い金を請求すると今まで払いすぎていた利息を自分の手元に戻すことができます。
過払い金の請求にはメリットが3つあります。
- 完済後に請求した場合ブラックリストに掲載されない
- 周りにバレる可能性が低い
- ほとんどの過払金が手元に戻ってくる
1ブラックリストに掲載されない
債務整理を行うとブラックリストに載ってしまうため勘違いしてしまう人も多いようですが、借金が完済した後の過払い金請求ではブラックリストに載ることはありません。
ブラックリストに掲載されるとクレジットカードやローンの審査に通りにくくなってしまいますが完済後の過払金請求に関してはその心配はいりません。
こちらについてはデメリットのところで詳しく説明します。
2周りにバレる可能性が低い
過払い金の請求は裁判所に依頼しない限り周りの人にバレることはありません。
一般的に貸金業者との直接交渉で過払金を請求します。
そのため、債務者と貸金業者（専門家に依頼した場合にはプラス専門家）で手続きを行うことができます。
3ほとんどの過払い金が手元に戻ってくる
過払い金請求を専門家に依頼するとほとんどの手続きや交渉を完了させてくれるため債務者は待っているだけで終了します。
実績豊富な専門家をきちんと選ぶことで100%の過払い金が返還されることもあります。
専門家選びは慎重に行いましょう！
過払い金請求デメリット
過払い金の請求にはほとんどリスクがありません。
しかし、過払い金を請求した人の中で以下に当てはまってしまう場合にはデメリットが発生することがあります。
- 借金返済中に過払い金を請求するとブラックリストに掲載されることがある
- 請求した債権者から今後お金を借りれない可能性がある
借金を返済中に過払い金を請求しようと考えている人はデメリットやリスクについてもよく確認しましょう！
1ブラックリストに掲載される可能性がある
メリットで紹介した通り借金を完済した後に過払い金を請求してもブラックリストに載ることはありませんが、借金を返済中に過払い金を請求するとブラックリストに載ってしまうことがあります。
ブラックリストに掲載されるデメリットは以下の２点です。
- クレジットカードを新規作成できなくなる
- ローンを申し込めなくなる
ではどのような時にブラックリストに載ってしまうのでしょうか？
過払い金請求でブラックリストに載ってしまう時は、「過払い金を借金の返済に当てても借金を完済することができない場合」です。
借金の総額よりも過払い金を含めた今までの返済額が多いとブラックリストに載ることはありません。
ただし、過払い金を借金の返済に当てても借金総額に満たない時には債務整理と同じ扱いをされてしまうためにブラックリストに載ってしまいます。
2請求した債権者から今後お金を借りれない場合がある
これは、貸金業者にもよりますが一度過払い金を請求すると今後そこの会社からお金を借りることができなくなることもあります。
しかし、またお金が必要になった時には他の貸金業者を利用することもできるのでそんなに心配する必要はありません！
過払い金請求方法
過払い金の請求には
- 自分だけで行う
- 弁護士・司法書士に依頼する
の２つの方法があります。
自分で過払い金の請求を行うと専門家への報酬金などを節約することができますが、膨大な時間と手間がかかることに加え期待通りの金額の回収が難しいといったデメリットがあります。
そのため、ここからは専門家に依頼した時の過払い金の請求手順を説明します。
- 弁護士・司法書士の専門家に相談&依頼
- 受任通知送付・取引履歴開示要求
- 引き直し計算
- 過払い金返還請求書送付・交渉開始
- 裁判所に提起（4までで解決しなかった場合）
1相談・依頼
過払い金の請求は専門家への相談から始まります。
過払い金は
- 弁護士
- 司法書士
に相談することができます。
弁護士と司法書士の違いとして金額の上限があげられます。司法書士は一社あたり140万円以上の過払い金があった場合に訴訟代理をすることができません。
そのほかに弁護士と司法書士に大きな違いはないため、専門家を選ぶ際には報酬金などの費用・口コミに合わせて今までの実績などを総合的に判断して決めていきましょう！
過払い金の請求をする際に必要な物は以下の通りです。
- 身分証明書
- 契約書
- 印鑑
- 取引明細書
取引明細書はなくても自分が借金をしていた貸金業者が分かれば過払い金の請求は可能です。
2専門家による調査
弁護士や司法書士の専門家に正式に依頼した後、過払い金が発生しているかの調査が始まります。
調査では専門家が貸金業者に受任通知送付と取引履歴開示を直接行ってくれるため依頼者は特に何もする必要がありません。
受任通知と取引履歴の開示は同時に請求されることが多いです。
| 受任 通知 | 弁護士などの専門家から貸金業者宛に過払い金の手続きを始めたことを通知する書類のこと。 専門家から受任通知を送付された貸金業者は、取り立てを止めなければなリません。 |
| 取引履歴 開示要求 | 取引履歴とは今までのお金のやりとりを記録した明細書のこと。 取引履歴の開示を求められた場合貸金業者は拒否することができないため、専門家達はこれをもとに過払い金を計算していきます。 |
3引き直し計算
取引履歴が貸金業者から送られてきたら次に過払い金がいくらあるのかを引き直し計算を用いて計算していきます。
計算ソフトを使って自力で引き直し計算することも可能ではありますが、手間と時間がものすごくかかってしまうため専門家に依頼した方が良いでしょう。
引き直し計算では利息制限法で定められている利息よりも高い金利で依頼者が返済をしていないか確認し、もし過払い金があった場合は貸金業者に返還を請求します。
4過払い金返還請求書送付・交渉開始
引き直し計算で過払い金を計算したら次に貸金業者に過払金がいくらあったか「過払金返還請求書」を送付し伝えます。
貸金業者が「過払金返還請求書」を受け取った後に弁護士などの専門家は過払い金を返還するように交渉しますが、この時点で全額の返済を受け入れる貸金業者はほとんどいません。
もし、貸金業者と依頼者（専門家）の双方が納得する返還額が決まった場合には和解し過払い金請求は完了します。
訴訟をすると過払い金の返還額の増加が見込めますが専門家への報酬金が増えるため慎重に考えましょう。
5裁判所に提起
ここまでで、貸金業者と依頼者が和解できなかった時には裁判所に提起し訴訟を行います。
訴訟に関する書類も専門家が全て準備してくれるため依頼者の皆さんは特にすることはありません。
裁判所に訴状を提出し、初回の裁判日が決まります。
初回の日から和解するまで裁判は1ヶ月に1回開かれますが、判決が出る前に和解で終わることも少なくありません。
過払い金請求費用
過払い金請求を弁護士や司法書士に依頼すると以下の4種類の費用がかかります。
- 相談料
- 着手金
- 報酬金
- 実費
●相談料
相談料は5000円が相場になっています。
しかし、無料にしているところや報酬金に含まれているところも多いです。
●着手金
着手金とは過払い金を回収できたかどうかにかかわらずかかる手数料です。
1〜4万円と設定しているところが多いですが無料のところもあります。
着手金は司法書士に相談した際にはほとんどかかりますが、弁護士だとかからないことも多いです。
●報酬金
報酬金には以下の4種類があります。
| 基本報酬 2〜3万円 | 過払い金の調査や引き直し計算、借入先との交渉を依頼する際にかかる費用のこと。 |
| 解決報酬 0〜2万円 | 債務者と貸金業者が和解した時に発生する報酬金のこと。 解決報酬が設定されていない事務所もある。 |
| 成功報酬 和解時：20%以下 裁判時：25%以下 | 過払い金の回収が完了した時に発生する費用のこと。 回収した過払金のうち決められた割合が成功報酬としてかかる。 |
| 減額報酬 減額分の10%以下 | 過払い金を借金の返済に当てても借金を完済できず「任意整理」として手続きされた時にかかる費用のこと。 |
●実費
実費としては
- 書類郵送時の郵便切手代
- 交通費
- 裁判にかかる費用
の3種類が考えられます。
裁判を起こす前に和解できた場合には、裁判への費用を払う必要はありません。
裁判にかかる費用は以下の通りです。
| 収入印紙代 1000〜3万円 | 過払い金請求の裁判にかかる手数料を裁判所へ収入印紙で納付する際の費用。 請求する過払い金が高くなればなるほど収入印紙の代金も高くなる。 |
| 郵券代 約6000円 | 裁判所から貸金業者に訴状の副本を送る際にかかる費用のこと。 裁判で依頼者が勝った場合には貸金業者が郵券代を払う。 多く郵券代を支払っていた場合にも返還される。 |
| 代表者事項 証明書代 約600円 | 訴状と一緒に裁判所へ出す書類のこと。 貸金業者の詳細情報が記入されている。 |
これらの他に弁護士や司法書士が裁判に出向く費用として訴訟手数料や交通費を別途請求してくることもあります。
裁判には費用がかかりますが、過払い金の回収金額が増える可能性も高くなるため慎重に考えましょう。
相談無料！過払い金請求におすすめの弁護士・司法書士事務所
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まとめ
ここまで、過払い金について説明してきました。法律が改正されたため、今後新しい過払い金が発生することはありません！
以前に借金やキャッシングなどを利用していて「過払い金を支払っていたかも…」という心配がある方は、すぐに弁護士や司法書士などの専門家に相談しにいきましょう。
少しでも不安な方はすぐに相談を！
弁護士や司法書士を選ぶ際は以下の基準をよくチェックしましょう。
- 今までの過払い金請求の実績
- 過払い金請求にかかる費用
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- 弁護士事務所・司法書士口コミ・評判
中には過払い金請求の依頼者への詐欺紛いなことをしてくる専門家もいるため、慎重に選ぶことが過払い金請求の成功に近づく第一歩です！
